リクの捜索④
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リクが乗せられた車は東へ走り続けていた。
2時間ほど走り続けた頃、道の駅らしき駐車場に入って停まった。
「休憩な」
そう言って運転手は車を出た。
あとの2人も交代でトイレにいこうとしている。
「俺もトイレに行きたいんですけど」
リクが言うと、
「ああ、俺が連れて行く」と厳つい男が言った。
車を降りた時に、リクが
「これ、せめて前にしてくれませんか」
と、拘束されている手を示した。
男は何も言わず車から結束バンドを持ってきて、後ろのバンドを切り、前で拘束し直した。
「ありがとうございます」
リクが礼を言うと、男は意外そうな顔をしてリクを見た。
そりゃそうだ、拘束されているのに礼を言うなんて、リクくらいのものだ。
みんながトイレを済ませて、運転手が煙草を吸い終わってから、また発車した。
リクは、今逃げようと思えば逃げられた。
前で拘束されている結束バンドは、膝を使うとすぐに切ることができるし、3人と比べたら足の速さはリクの方が上だろうという自信はあった。
しかし、ここで逃げてもコウたちに連絡する手段はない。
ここがどこかもわからない。
もう少し待つか、目的地まで行った方がいいかもしれない。
リクはそう判断した。
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調査部がめぼしいヨットハーバーをピックアップした。
3時間で行ける場所はいくつかあるが、方角がバラバラなので絞り込むのが難しい。
外国人の男の名前はグエン・ティ・ズンという。
発音が難しく聞き取りにくかったので、ズンと呼ぶことにした。
ズンには、コウが撃った足のケガもあるので、しばらくここにいて協力してもらうことになった。
ズンのような、日雇いの見張りを雇うくらいなので、実際ソリマチは人手不足なのだろう。
リクの能力があれば、喉から手が出るくらいほしいことがわかる。
ズンにリクが乗った車の車種やナンバーを覚えていないか聞いてみたが、車は黒でセダン、ということしかわからなかった。
しかし、拉致して連れ去っても、リクが言うことを聞くはずがない。
そこをどう考えているのか、どういう策があるのか、どうせ卑怯な手を使うに決まっているが、それゆえに対応が難しい。
とにかく場所を特定することが先決だ。
社長が最終手段ということで、海外出張中のユゲに連絡を取った。
ユゲから折り返しがあったのは、1時間ほどしてからだった。
「私、マジで懲戒処分かも」
そう言いながら送ってくれたデータは、爆破前にあの建物から出て行った車の衛星写真だった。
「おおーっ」
とみんなが叫ぶ。
「ユゲ、お手柄だ!
懲戒処分を受けないよう、全力を尽くすから」
社長がそう言うと、
「頼みます」
と言って、ユゲはあっさり電話を切った。
衛星写真は何枚かあり、ところどころで同じ車が撮られていた。
「東だな」
タニが言うと、調査部が東方面にあるヨットハーバーを絞り込む。
「ヨットハーバーだとしたら、この中のどれかだ」
「とにかく向かおう。
ここらへんまで一緒に行って、あとは3班に分かれる。
いいか」
コウが言うと、皆が頷く。
車3台で出発した。
リクがあの建物を出てから、すでに3時間は経っている。
予定通りなら、向こうは既に目的地に到着しているはずだ。
リクを傷つけるとは考えられないし、リクも訓練を重ねてきている。
いざとなれば自分の身は守れるだろう。
それよりも…とコウは思う。
囚われている、ということがとにかく気に入らない。
リクがやっと自由を手に入れた矢先にこんなこと、決して許さない。
ナツも同じ気持ちなのだろう。
ずっと拳を握り続けている。
「もう少しだ、もう少しでリクに辿り着くからな」
コウは微笑みながら、ナツに言葉をかけた。
ナツはふっと力を抜いて、
「そうだな、みんながいるからな」
そう言うと、ニカッと笑った。
1時間ほど経って、最初の目的地に着き、3台が停車する。
コウがタニに電話する。
「どのヨットハーバーか、見当は?」
「船を調べてみたが、ソリマチに関係した船はどこにもない。
ヨットハーバー近くの建物も探ったが、何も出てこない」
「周辺の防犯カメラはどうだ」
「ああ、それも今片っ端から見ていってる。
老人会も総動員だ」
「そうか、頼む」
コウは電話を切ると、シキミに向かって、
「どう思う?」と尋ねる。
「うん、防犯カメラのどれかには映っているだろうが、時間がかかるな。
やはり手分けするか」
「ああ」コウが答え、予定通り3班に分かれて出発した。
コウの車に、ナツとアガタ
シキミの車に、オキとレイ
イオリ、タマキとザビ
コウがしばらく運転していると、珍しくアガタが交代すると申し出た。
ありがたく交代することにして、駐車場に停まる。
コウが車を降りた時、何かが目についた。
何か、大事なもの…見過ごすべきではないもの…。
「あっ」とコウが小さく叫ぶ。
アガタが、どうした、とコウを見る。
コウが何かを拾うのを見ている。
「これ、結束バンドを切ったやつだよな。
リクが拘束されてやつかもしれねぇ」
コウが言うと、アガタが
「あー、そうかもしれねぇけど、よくあるやつだしな。
そうとは限らねぇんじゃないか」と言う。
「いや、ここでトイレをするのに、一旦切らせたのかもしれない」
コウは、こじつけかもしれないことは重々承知していた。
しかし、今は何でもいいから手掛かりが欲しかったのだ。
「わからんが、もしもそうだとしたら、俺たちが行く場所が合ってるということだ。
よし、出発するぞ。
アガタ、飛ばせ」
「オッケー!」
アガタは水を得た魚のように、車を急発進させた。
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