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埠頭突入

*****


そして、その日がやってきた。


目的地の埠頭は、コウらの会社からは車で4時間ほどかかる。

皆それぞれ、昼過ぎには出発して潜入場所の近くで待機していた。


コウが予定している襲撃場所はいくつかあった。

ターゲットが走るルートがいくつか考えられるからだ。

どのルートになってもすぐに向かえるよう、コウは構えていた。


トップが出発したとタニから連絡が入ったのは17時だった。

そこからも約4時間かかるため、途中休憩をしても順調にいけば22時前には埠頭に到着する予定である。


コウは20時になると、ルートを絞り車を出発させた。

しばらく走らせると、案の定目的の車を発見した。


何台かの車を挟んで後ろにつける。

目的地はわかっているので焦ることはない。


だんだん走る車も少なくなり、山道に入っていく。

コウは車間距離をあけて、しばらく後を追う。

21時…埠頭まであと50キロといった辺りで、コウはスピードを上げた。


片側1車線の道路、前後に車はいない。

たまに対向車線を通り過ぎる車はいるが、邪魔になるほどではない。


コウの車が近づくと、前を走る車も少しスピードを上げた。

さらに近づくと、ハザードランプを点灯して左へ寄せた。

先に行け、という合図だ。


コウは追い越し、すぐ前に停車した。

相手は当然警戒している。


運転手が降りようとするのを、後部座席の男が止めているようだ。

コウは車を降り、近づいた。


後部座席の窓を開けるよう指示をする。もちろん応じない。


運転手に外から銃を突きつける。

後ろの男が窓を開けるよう、運転手を促す。

後部座席の窓が開き、男が見えた。


「こんばんは。警察庁公安部参事官の宇羅さんですね」

コウが丁寧な口調で尋ねる。


「そうだが、何者だ。こんなことをしてただでは済まんぞ」

判を押したようなセリフだ。


「埠頭までお出かけですか」

コウがさらに質問する。


宇羅がくっと喉を鳴らす。

当たりだ。


「私もね、これから人身売買の現場へ向かうところなんですよ。

仲間が先に行ってるのでね」


コウがそう言ったとき、宇羅の電話が鳴った。

「電話、取ってください」


コウが言うと、相手を確認して宇羅が電話を取った。

「なに…」宇羅はそう言ったまま固まってしまった。


「そういうことです」

コウはそう言うと、宇羅の頭を吹き飛ばし、運転手の後頭部を殴り気絶させ、エンジンを切った。


電話の向こうでは、必死に呼びかけていた誰かが、ぐっと言って電話が切れた。




21時、埠頭。


ユゲが操作するドローンが小さな音を立てて飛んでいた。

現場のリクたちをインカムで誘導する。


既に目的のコンテナは確定済みである。

リクが先を行き、シキミが後方を確認しながら進む。2人は左方から回り込んでいる。

コンテナとコンテナの間を抜ける時だけ、敵の有無を確認する。


タマキ、イオリ組も同じように、2人は右方から回り込んでいる。

見張りがいる場所に近づくと、ユゲが待ったをかける。


シキミが、最初に見つけた見張りに銃を突き付け、宇羅に電話をかけさせた。

「襲われてますって言え」

シキミが命令すると、男はその通りに伝えた。


その後も何度か呼びかけていたが、シキミが首に腕を回し締め付ける。

男はすぐに気を失った


その後もユゲの指示で見張りを避けながら進む。

見張りが動かない場合は、近づいて無力化する。主にシキミが腕を回して首を絞め気絶させる。


一方のタマキ、イオリ組は、タマキが鳩尾を一突きする。

そうやって無力化した者たちをコンテナの陰に隠しながら、目的のコンテナに近づいていく。


目的のコンテナの周辺には、やはり見張りの人数が多い。

ユゲからの情報では10人はいるようだ。


4人は合流し、身を潜める。

4人対10人…やれないことはないが、素早くやらないと、他の見張りが集まってくるだろう。

4人はサイレンサー付きの銃を持っている。


「仕方ないか」シキミが言い、皆が頷く。

4人が一斉にコンテナの陰から出ていくと、見張りたちは驚き、手に持っていた銃を構える。

だが遅い。

その時には既に4人の銃が10人を撃ち抜いていた。



コンテナを開けると、被害者たちはいた。

助けに来たことを告げ、リクや双子たちが中心になって安心させる。


こんな時、シキミは後ろで黙っている。見た目の問題だ。

ようやく助けが来たことを理解し、みんながコンテナから出てきたところで、ユゲがインカムに叫ぶ。


「伏せろっ!」


リクや双子がすぐに反応し、みんなを庇うように伏せさせる。

同時にマシンガンがコンテナに穴を開けていく。


さすがに商品を傷つけるつもりはないようだ。

「お前ら、何もんだ、あー?」

ガラの悪い声が飛ぶ。


リクが振り向くと、数人の男たちがマシンガンを構えてこちらに近づいてくる。

被害者たちは、悲鳴を上げ、パニックになっている。

しかし商品を傷つけないとわかればこちらも強い。


シキミと双子が被害者たちのパニックを利用して、隙間から男たちを撃つ。

その間にリクが被害者たちをコンテナの裏側に誘導する。

被害者はおそらく50人はいるだろう。


インカムでオキに応援を要請し、リクが先頭に立って船の方角を示しながら走らせる。

撃ち終わったシキミたちも合流し、被害者を船へと走らせる。


リクが遅れている者がいないか確認しながら、最後尾を走る。


その時、目の端に人影が見えた。


*****


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