人身売買潰しのミーティング
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モニター越しに集合した面々は、
指示部隊が、社長、タニ、ユゲの3人。
実行部隊のうち先鋭が、コウ、リク、シキミ、タマキ、イオリの5人。
後衛が、オキ、レイ、ザビの3人。
『人間狩り』の時と同じようなメンツとなる。
タニが説明を始める。
「まず、トップを殺る。現場へ向かう車を襲う。
これはコウがやる。
次に、これが現場の埠頭の衛星写真。
現場にはリク、シキミ、タマキ、イオリが潜り込むが、極力戦闘は避ける。
衛星写真を見てわかるように、コンテナで迷路のようになっている。
しかも当日はこの通りとは限らない。
そこで、ユゲがドローンを操作して、見張りを避けるルートを誘導する。
リク、シキミ組、タマキ、イオリ組の2組に分かれて、目指すコンテナまで進む。
途中出くわした敵は無力化していいが、なるべく周囲に気づかれないようにやること。
目指すコンテナは、先にドローンで見張りの多い場所からアタリをつける。
コンテナの中に被害者を見つけたら、オキ、レイ、ザビが待つ場所まで誘導する。
今回は船で逃がす。
相手側の船は、おそらく北側に停泊していると思われる。小型船に乗せて、沖で大きな貨物船に移動させるだろうから、北側が適しているだろう。
俺たちは西に着ける。
しかし、これも決定ではない。当日じゃないとはっきりしないからな。
まあ、これが概要だが、ここまでで質問あるか」
タニが言う。
「ドローンの操作するのって、ユゲだけだろ、カバーできんの?」
イオリが聞く。
「ああ、できる。現場で2組に分かれるが、カメラは可動式のものを2台取り付ける。
心配するな」
ユゲが頼もしく言い切った。
イオリがニヤリと笑い、親指を立てる。
「当日じゃないとはっきりしないことが多いからな、例えば被害者のコンテナが見つからない、オキたちと合流できない、などのトラブルも想定される。
その場合のプランもいくつか準備しておく」
タニが言い、概要の説明が終了した。
3日後に再度ミーティングということで解散する。
リクはコウの部屋にいた。
「どう? わからないところはなかったか?」
コウが尋ねる。
「はい、今のところ大丈夫です」
リクが答える。
コウがリクをじっと見つめている。
リクは、少し首を傾げてコウを見返す。
コウが言いたいことを躊躇っているように見える。珍しいことだ。
リクが黙って待っていると、コウが徐に口を開いた。
「リクに話しておきたいことがあるんだ」
リクはなんとなく覚悟した。
「今回の仕事に染谷という外部のコーディネーターが関わっている。
以前、李を殺ったろ、そいつの情報提供をしてきた男だ」
コウはリクの反応を窺う。
リクは染谷という名前に心当たりはないようだ。
「染谷は、リクとナツのことを知っていた」
コウが言うと、リクがはっと息を飲んだ。
(俺とナツのことを…ということは、俺たちの過去を知っているということ…)
リクは動揺していた。
たぶんコウは気づいているのだろうが、リクは自分から言うつもりはなかったし、できれば知らずにいてほしかった。コウにだけは…。
コウが少し間をおいて続ける。
「俺は何も知らないし、知る必要もないと思ってる。
前にも行ったけど、俺がリクを傍に置いてるのは、リクの才能に惹きつけられてるからなんだから…それだけ」
コウはニッと笑う。
「で、なんで染谷の話をするかって言うと、染谷はリクとナツのことを知ってはいるが、特に手を出すとかそういうことではない。逆に守ろうとしている気がする」
「守る? 俺たちを?」
「ああ、だけど…当日なんかしでかしそうな予感がするんだよね」
コウが苦笑する。
「何か?」
リクは考えてみるが、全く何も思い浮かばない。
そもそも染谷という男が俺たち側なのか、俺たちを傷つけた側なのかすらわからないのだ。
「リク、心配しなくていい。この話をしたのは、心構えをしてほしいからだ。
当日、俺は別行動だ。もし染谷が何かをしかけてくるとしても何もできない。
だから、自分で判断するんだ。染谷と対峙した時に、自分がどうすべきか。
俺のところに戻るために、何をするべきかをね」
わかった?というように、コウがリクの顔を覗き込む。
リクはコウの、その包み込むような仕草が好きだ。
何も心配はいらない、と思わせてくれる、そんな顔、声、手の温かさ…。
リクは自分でも気づかないうちに涙が流れていた。
コウはリクの涙を指でそっと拭った。
今まで、どんな辛い人生を歩んできたのだろう。
大丈夫だ。これから幸せになるさ。
コウはそう思いながら、いつまでも止まらないリクの涙を受け止めていた。
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そして3日後、再度ミーティングが開催された。
今回は染谷も社長のそばで聞いているが、顔は見せていない。
タニが説明を始める。
「当日の船の出向予定は午前0時。
買い手の幹部が、それまでに被害者の選別をするのであれば、コンテナから出すのは22時から23時くらいだな。
それまでに被害者を救出しておく必要がある。
そうすると、侵入するのは遅くとも21時。
こっちのトップも選別に立ち会うだろうから、22時頃には到着するつもりで来るだろう。
コウの襲撃も21時頃だと、相手が連絡を取り合っても混乱させることができるというわけだ。
船は今のところ西側の予定だが、相手が着岸している場所次第で変える場合もある。
そこはユゲに任せる。
各自の動きは把握できてるか」
タニが確認する。
「オッケー」イオリが答える。
タニはそれを皆の総意と判断した。
当日の集合場所と時間をそれぞれのグループで確認し、解散となった。
社長は染谷に向き直り、話しかけた。
「どうかな。うまくやれると思うが」
染谷は満足そうに答えた。
「ああ、思った通りだ。うまくいく。
やっと俺の悲願の1つが叶うよ。
当日は、俺は別の場所にいる。邪魔しちゃ大変だからな」
そう言うと、染谷は社長に一礼し、
「よろしくお願いします」
と言って、部屋を出て行った。
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