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人身売買潰しのミーティング

*****


モニター越しに集合した面々は、

指示部隊が、社長、タニ、ユゲの3人。

実行部隊のうち先鋭が、コウ、リク、シキミ、タマキ、イオリの5人。

後衛が、オキ、レイ、ザビの3人。


『人間狩り』の時と同じようなメンツとなる。


タニが説明を始める。

「まず、トップを殺る。現場へ向かう車を襲う。

これはコウがやる。


次に、これが現場の埠頭の衛星写真。

現場にはリク、シキミ、タマキ、イオリが潜り込むが、極力戦闘は避ける。


衛星写真を見てわかるように、コンテナで迷路のようになっている。

しかも当日はこの通りとは限らない。


そこで、ユゲがドローンを操作して、見張りを避けるルートを誘導する。

リク、シキミ組、タマキ、イオリ組の2組に分かれて、目指すコンテナまで進む。


途中出くわした敵は無力化していいが、なるべく周囲に気づかれないようにやること。

目指すコンテナは、先にドローンで見張りの多い場所からアタリをつける。


コンテナの中に被害者を見つけたら、オキ、レイ、ザビが待つ場所まで誘導する。

今回は船で逃がす。


相手側の船は、おそらく北側に停泊していると思われる。小型船に乗せて、沖で大きな貨物船に移動させるだろうから、北側が適しているだろう。


俺たちは西に着ける。

しかし、これも決定ではない。当日じゃないとはっきりしないからな。


まあ、これが概要だが、ここまでで質問あるか」

タニが言う。


「ドローンの操作するのって、ユゲだけだろ、カバーできんの?」

イオリが聞く。


「ああ、できる。現場で2組に分かれるが、カメラは可動式のものを2台取り付ける。

心配するな」

ユゲが頼もしく言い切った。


イオリがニヤリと笑い、親指を立てる。


「当日じゃないとはっきりしないことが多いからな、例えば被害者のコンテナが見つからない、オキたちと合流できない、などのトラブルも想定される。

その場合のプランもいくつか準備しておく」

タニが言い、概要の説明が終了した。


3日後に再度ミーティングということで解散する。




リクはコウの部屋にいた。

「どう? わからないところはなかったか?」


コウが尋ねる。

「はい、今のところ大丈夫です」

リクが答える。


コウがリクをじっと見つめている。

リクは、少し首を傾げてコウを見返す。


コウが言いたいことを躊躇っているように見える。珍しいことだ。

リクが黙って待っていると、コウが徐に口を開いた。


「リクに話しておきたいことがあるんだ」

リクはなんとなく覚悟した。


「今回の仕事に染谷という外部のコーディネーターが関わっている。

以前、李を殺ったろ、そいつの情報提供をしてきた男だ」


コウはリクの反応を窺う。

リクは染谷という名前に心当たりはないようだ。


「染谷は、リクとナツのことを知っていた」

コウが言うと、リクがはっと息を飲んだ。


(俺とナツのことを…ということは、俺たちの過去を知っているということ…)

リクは動揺していた。


たぶんコウは気づいているのだろうが、リクは自分から言うつもりはなかったし、できれば知らずにいてほしかった。コウにだけは…。


コウが少し間をおいて続ける。

「俺は何も知らないし、知る必要もないと思ってる。

前にも行ったけど、俺がリクを傍に置いてるのは、リクの才能に惹きつけられてるからなんだから…それだけ」

コウはニッと笑う。


「で、なんで染谷の話をするかって言うと、染谷はリクとナツのことを知ってはいるが、特に手を出すとかそういうことではない。逆に守ろうとしている気がする」


「守る? 俺たちを?」


「ああ、だけど…当日なんかしでかしそうな予感がするんだよね」

コウが苦笑する。


「何か?」

リクは考えてみるが、全く何も思い浮かばない。

そもそも染谷という男が俺たち側なのか、俺たちを傷つけた側なのかすらわからないのだ。


「リク、心配しなくていい。この話をしたのは、心構えをしてほしいからだ。

当日、俺は別行動だ。もし染谷が何かをしかけてくるとしても何もできない。

だから、自分で判断するんだ。染谷と対峙した時に、自分がどうすべきか。

俺のところに戻るために、何をするべきかをね」


わかった?というように、コウがリクの顔を覗き込む。


リクはコウの、その包み込むような仕草が好きだ。

何も心配はいらない、と思わせてくれる、そんな顔、声、手の温かさ…。


リクは自分でも気づかないうちに涙が流れていた。


コウはリクの涙を指でそっと拭った。

今まで、どんな辛い人生を歩んできたのだろう。


大丈夫だ。これから幸せになるさ。

コウはそう思いながら、いつまでも止まらないリクの涙を受け止めていた。



*****



そして3日後、再度ミーティングが開催された。

今回は染谷も社長のそばで聞いているが、顔は見せていない。


タニが説明を始める。


「当日の船の出向予定は午前0時。

買い手の幹部が、それまでに被害者の選別をするのであれば、コンテナから出すのは22時から23時くらいだな。


それまでに被害者を救出しておく必要がある。

そうすると、侵入するのは遅くとも21時。


こっちのトップも選別に立ち会うだろうから、22時頃には到着するつもりで来るだろう。


コウの襲撃も21時頃だと、相手が連絡を取り合っても混乱させることができるというわけだ。


船は今のところ西側の予定だが、相手が着岸している場所次第で変える場合もある。

そこはユゲに任せる。


各自の動きは把握できてるか」

タニが確認する。


「オッケー」イオリが答える。

タニはそれを皆の総意と判断した。

当日の集合場所と時間をそれぞれのグループで確認し、解散となった。



社長は染谷に向き直り、話しかけた。

「どうかな。うまくやれると思うが」


染谷は満足そうに答えた。

「ああ、思った通りだ。うまくいく。

やっと俺の悲願の1つが叶うよ。

当日は、俺は別の場所にいる。邪魔しちゃ大変だからな」


そう言うと、染谷は社長に一礼し、

「よろしくお願いします」

と言って、部屋を出て行った。


*****



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