助っ人の参加
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3日後、会社の入っている図書館のロビーにあの女性の姿があった。
社長が出迎え、会社内へ案内する。
会社の部屋へ入ると、タニが出迎えた。
「管理部のタニと申します。
お待ちしておりました。よろしくお願い致します」
いつになく丁寧な挨拶だ。
女性は、
「警察庁、デジタル犯罪分析センター所属、警部補、弓削かおる。
ここでは今言った肩書は捨てますので、ただのユゲと呼んでくれ。
こちらこそよろしく」
と言って、手を差し出した。
タニは握手をしながら、少し戸惑っていた。
ミズキから聞いていた印象と違う。
だから、最初にバカ丁寧に挨拶したのだ。
しかし、ほっとした。この会社に女性はいない。このくらいさっぱりしている方がやりやすい。
タニはシステム等について一通り説明をし、今まで得た情報、これから欲しい情報などについて詳しく話していった。
ユゲはその都度頷いたり、質問したりしてタニと情報を共有していった。
社長は一安心、とばかりに自分の仕事に戻っていった。
ユゲが加わり、必要な情報が増えていった。
染谷からもたらされる情報もあったが、こちらからは全てを渡しはしなかった。
染谷の最終的な目的がはっきりしないまま、全てを渡すにはまだリスクがあった。
そしてその時はやって来た。
染谷が実行に移したいと言ってきた。
染谷が狙っている組織が動くという情報を得たらしい。
集めた商品(人間)が引渡される日時と場所が判明したとのことだった。
今回は大きな取引であり、組織のトップと引き渡し先の幹部が揃うらしい。
しかも、商品の選別を日本でしてから運ぶ、というのだ。
選別というのは、臓器売買、性的搾取、労働搾取、などの目的に合わせて人間を分けるということ。
分けてから、それぞれ送り先を決めるのだろう。
そこまでは理解した。
では、どこまでやるのか、ということだ。
染谷がどこまで望んでいるのか。
まさかその現場に踏み込むなどと考えてはいないだろうな。
うちは殺しはやるが、銃撃戦は想定していない。
社長は染谷と顔を突き合わせて話し合う必要があると感じた。
そして2日後、社長、タニ、コウ、そして染谷がモニター上で集まった。
染谷が最初に口を開いた。
「私としては、目的の組織の殲滅をしたいと考えています」
やはりそうか…社長が苦い顔をして言う。
「私たちは、そういう仕事のやり方はしません。そこはご存知だと思っていましたが」
「組織のトップがわかってんなら、そいつを先にやればいいんじゃないの」
コウが言う。
「相手の幹部には手を出さない方がいいでしょ。これはこちら側の都合だ。
捕らえられてる人たちの保護は前回みたいに警察に任せれば…」
「それでは駄目なんです。
向こうの市場にもダメージを与えなければ…」
染谷が力を込める。
「やっぱり、あんた向こうの市場も狙ってたんだ。
キリがないんじゃなかったの」
コウが言う。
「あんたが何を抱えてるか知らないけど、悪いが、そこまでは付き合えないよ。
俺たちは正義の味方でもないし、世の中を変えるつもりもない。
その組織がリクたちに関係があるのなら、俺はそれを潰す。でもその先は俺たちの仕事じゃない」
はっきりとコウは言い、社長たちも頷きながら聞いている。
染谷は黙った。
「そう…ですよね…」
やがて染谷は呟いた。そして、
「わかりました。やり方はお任せします。
組織のトップと被害者の保護、その過程での敵の排除、ということでよろしいでしょうか」
「では、そういうことで。必要な情報をいただき、段取りをします」
社長が答え、会議は終わった。
部屋には社長、コウ、タニ、ユゲが顔を揃えていた。
「信用できねぇな」
コウが言う。
「だよね、何かしそうだよね」
社長も同意する。
「染谷が勝手に動いたら、こっちが危険に晒されるぞ」
タニも言う。
「ふむ」ユゲが腕組みをして頷く。
「とりあえず準備をしながら、染谷を監視するか」
「そうだな、オキとレイに張り付かせよう」
引き渡しの日にちは今日から2週間後だ。
できれば直前にトップを殺って、取引が順調に進んでいるように見せかけるのがベストである。
ありったけの情報を精査し、段取りを決める作業が始まった。
その間にも依頼は入るので、シキミやタマキ、イオリコンビが仕事をこなしていた。
リクは、というと、コウから大きい仕事があるから訓練をするよう言われていたので、射撃の訓練やトレイルランニングで、日々体を鍛えていた。
ただ、リクは最近コウが違う仕事にかかりきりなので、寂しい思いをしていた。
しかし、アメリカでの厳しい訓練を、今はナツも受けていると考えると、甘えてはいられない、と自分を奮い立たせるのだった。
コウたちの計画が具体的になり、集合がかかったのは1週間後だった。
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