人間狩り殲滅
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「人間狩り」の主催者『ITソリューション』の角裕大。
こいつだけは、夜を待たずすぐに殺る必要がある。
調査部の情報によると、こいつは今日の狩りが失敗したことで、隠れ家へ逃げ込んだらしい。
場所は当然、確定済みだ。
コウは車を2時間程走らせて、海を見下ろせる高台まで来た。
車を停めた場所から、道路沿いにカーブを曲がると、大きな家が1件だけ建っている。
(こんな目立つ家が隠れ家かよ)
コウは心の中で突っ込み、近づいていく。
家の裏に廻ると、車が1台停まっている。
角がいるのは確からしい。
コウはそっと裏口から入り込み、奥まで進む。
すると、後ろの方からカチッと音がした。
横に飛びのくと同時に、ライフルの弾がコウがいた場所に撃ち込まれた。
さすがに狩りに慣れているようだ、と思いながら、コウは角と向かい合った。
「お前が俺の楽しみをぶっ壊した奴か」
角が憎々しげに吐く。
「あー、お前が趣味の悪いゲームを楽しんでいたクソガキか」
コウがいかにも馬鹿にしたように答える。
角は「くそーっ」と言いながら、ライフルを構える。
しかしコウの方が早かった。
角はライフルの引き金に指を当てる間もなく、額に銃弾を受け、倒れた。
コウは車まで戻りながら、煙草に火をつけた。
(ふー、今日は長かったな…ブラック企業じゃん)
コウは呟くと、また2時間かけて会社へ戻るのだった。
やっと自室へ戻ってきたコウは、ソファに寝転がると、目を瞑った。
夢の中で電話が鳴っている。
なかなか鳴りやまない電話の音が、現実だと気づくまでにだいぶかかった。
ゆっくり起き上がると、電話をとる。
同時にモニターにタニが映し出された。
「すまん、寝てたか」
タニが言う。
「ああ、何時だ」
「午後6時だ」
「もうか、いい。起きる時間だ。何かあったか」
コウが尋ねる。
「あーアガタが捕まらねぇ」
タニが言う。
「あのポンコツが」
コウが毒づく。
「いいよ、どうせみんな今日中には終わらせられないだろう。
終わった時点でまだアガタが捕まらなかったら、他の奴に回そう」
「ああ、すまんな」
「お前が謝ることじゃないだろ」
コウは言い、通話を切る。
シャワーを浴び、頭をすっきりさせて身支度をする。
自分の担当のリストを見て、段取りを考える。
それからリクに電話した。
リクはすぐに出た。部屋にいるというので、コウはリクの部屋を訪ねた。
リクは既に準備ができており、出かける時間を待っていた。
「問題ない?」
コウが聞くと、
「大丈夫です。ザビさんとも打ち合わせをして、表で待ち合わせています」
リクが答える。
「頼もしいな」
コウが言うと、
リクが、
「全部コウさんに教えてもらったので」
と可愛いことを言う。
ぎゅーっとしたいのを、仕事前だから、と自分に言い聞かせ、コウは我慢した。
他愛のないことを話していると、時間になった。
2人が一緒に出ると、ザビがロビーでリクを待っていた。
「じゃ、気をつけてな」
とコウが言うと、リクは頷き、ザビは敬礼をして出て行った。
コウはリストの1人目の住所へ向かった。
少し離れた駐車場に車を停めると、徒歩で向かう。
一戸建ての自宅の電気は全部消えている。
こいつは一人暮らしのはずだな…家にいるのか…。
とりあえず裏に廻り、気配を窺う。裏口の鍵を開け、そっと中に入る。
2階からかすかに何かの音が漏れている。
1階に気配はない。
足音を立てないよう2階へ上がる。
開けっ放しになっているドアがある。
1人暮らしなら、わざわざ締めないだろう。
空いているドアからそっと中を覗くと、ヘッドホンをした男の後ろ姿が見えた。
男が向かい合っているモニターを見ると、ゲームをしているようだ。サバイバルゲームだ。ヘッドホンからは銃声や悲鳴が漏れてきている。
一応本人確認をしなければならない。
コウは近づき、肩に手をかける。
相手は驚き、振り返って目を見開く。
本人に間違いない。
コウは黙って引き金を引いた。
その晩は1人目と同じような簡単な仕事だった。
3人まで終わらせ、夜明けが近づいたので、残りは翌日ということにした。
今日は自宅マンションに戻りたいと思ったが、リクのことが気になった。
会社に電話をすると社長が出た。
報告をし、リクの様子を聞くと、リクも今日は2人で終わり、自宅に帰らせたとのこと。
コウは安心して自分も自宅に戻ったのだった。
翌日もコウたちはリストの消化をし、ほとんどが終わった。
シキミがあと1人ということなので、明日には終わるだろう。
問題はアガタだ。
相変わらず捕まらない。
アガタの分3人をコウが2人とリクが1人ということで、明日またやることにした。
それにしても、アガタはどうしたのだろう。
アガタはどちらかと言えば、仕事をやりたがる奴なので、こんなに捕まらないことはない。
社長がレイに、アガタの自宅を見に行かせた。
アガタはおらず、部屋も荒らされていない。
スマホや財布もなく、自分の意思で外出しているように見える、とのこと。
スマホや車の位置情報をタニが調べると、なんとここから150キロ離れた都市の警察署にいることがわかった。
「まったく、何をしてくれたんだ」
社長が頭を抱え込む。
タニが警察のデータを見る。
何も出てこない。
車やスマホで身元はわかるはず。
なぜ会社にも弁護士にも連絡しないのか。
そこにいる皆の意見が、何も言わず一致した。
スルーだ。なかったことにする。
皆がそれぞれ遠い目をする。
アガタよ、さらば。
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