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人間狩り殲滅

*****


「人間狩り」の主催者『ITソリューション』の角裕大。

こいつだけは、夜を待たずすぐに殺る必要がある。


調査部の情報によると、こいつは今日の狩りが失敗したことで、隠れ家へ逃げ込んだらしい。

場所は当然、確定済みだ。


コウは車を2時間程走らせて、海を見下ろせる高台まで来た。

車を停めた場所から、道路沿いにカーブを曲がると、大きな家が1件だけ建っている。


(こんな目立つ家が隠れ家かよ)

コウは心の中で突っ込み、近づいていく。


家の裏に廻ると、車が1台停まっている。

角がいるのは確からしい。


コウはそっと裏口から入り込み、奥まで進む。

すると、後ろの方からカチッと音がした。


横に飛びのくと同時に、ライフルの弾がコウがいた場所に撃ち込まれた。


さすがに狩りに慣れているようだ、と思いながら、コウは角と向かい合った。

「お前が俺の楽しみをぶっ壊した奴か」

角が憎々しげに吐く。


「あー、お前が趣味の悪いゲームを楽しんでいたクソガキか」

コウがいかにも馬鹿にしたように答える。


角は「くそーっ」と言いながら、ライフルを構える。

しかしコウの方が早かった。


角はライフルの引き金に指を当てる間もなく、額に銃弾を受け、倒れた。




コウは車まで戻りながら、煙草に火をつけた。

(ふー、今日は長かったな…ブラック企業じゃん)

コウは呟くと、また2時間かけて会社へ戻るのだった。



やっと自室へ戻ってきたコウは、ソファに寝転がると、目を瞑った。


夢の中で電話が鳴っている。

なかなか鳴りやまない電話の音が、現実だと気づくまでにだいぶかかった。


ゆっくり起き上がると、電話をとる。

同時にモニターにタニが映し出された。

「すまん、寝てたか」

タニが言う。


「ああ、何時だ」

「午後6時だ」


「もうか、いい。起きる時間だ。何かあったか」

コウが尋ねる。


「あーアガタが捕まらねぇ」

タニが言う。

「あのポンコツが」

コウが毒づく。


「いいよ、どうせみんな今日中には終わらせられないだろう。

終わった時点でまだアガタが捕まらなかったら、他の奴に回そう」


「ああ、すまんな」

「お前が謝ることじゃないだろ」

コウは言い、通話を切る。


シャワーを浴び、頭をすっきりさせて身支度をする。

自分の担当のリストを見て、段取りを考える。


それからリクに電話した。

リクはすぐに出た。部屋にいるというので、コウはリクの部屋を訪ねた。

リクは既に準備ができており、出かける時間を待っていた。


「問題ない?」

コウが聞くと、


「大丈夫です。ザビさんとも打ち合わせをして、表で待ち合わせています」

リクが答える。


「頼もしいな」

コウが言うと、


リクが、

「全部コウさんに教えてもらったので」

と可愛いことを言う。


ぎゅーっとしたいのを、仕事前だから、と自分に言い聞かせ、コウは我慢した。

他愛のないことを話していると、時間になった。


2人が一緒に出ると、ザビがロビーでリクを待っていた。


「じゃ、気をつけてな」

とコウが言うと、リクは頷き、ザビは敬礼をして出て行った。


コウはリストの1人目の住所へ向かった。


少し離れた駐車場に車を停めると、徒歩で向かう。

一戸建ての自宅の電気は全部消えている。

こいつは一人暮らしのはずだな…家にいるのか…。


とりあえず裏に廻り、気配を窺う。裏口の鍵を開け、そっと中に入る。

2階からかすかに何かの音が漏れている。


1階に気配はない。

足音を立てないよう2階へ上がる。

開けっ放しになっているドアがある。

1人暮らしなら、わざわざ締めないだろう。


空いているドアからそっと中を覗くと、ヘッドホンをした男の後ろ姿が見えた。

男が向かい合っているモニターを見ると、ゲームをしているようだ。サバイバルゲームだ。ヘッドホンからは銃声や悲鳴が漏れてきている。


一応本人確認をしなければならない。

コウは近づき、肩に手をかける。


相手は驚き、振り返って目を見開く。

本人に間違いない。

コウは黙って引き金を引いた。



その晩は1人目と同じような簡単な仕事だった。


3人まで終わらせ、夜明けが近づいたので、残りは翌日ということにした。

今日は自宅マンションに戻りたいと思ったが、リクのことが気になった。


会社に電話をすると社長が出た。

報告をし、リクの様子を聞くと、リクも今日は2人で終わり、自宅に帰らせたとのこと。

コウは安心して自分も自宅に戻ったのだった。



翌日もコウたちはリストの消化をし、ほとんどが終わった。

シキミがあと1人ということなので、明日には終わるだろう。


問題はアガタだ。

相変わらず捕まらない。

アガタの分3人をコウが2人とリクが1人ということで、明日またやることにした。


それにしても、アガタはどうしたのだろう。

アガタはどちらかと言えば、仕事をやりたがる奴なので、こんなに捕まらないことはない。


社長がレイに、アガタの自宅を見に行かせた。

アガタはおらず、部屋も荒らされていない。

スマホや財布もなく、自分の意思で外出しているように見える、とのこと。


スマホや車の位置情報をタニが調べると、なんとここから150キロ離れた都市の警察署にいることがわかった。


「まったく、何をしてくれたんだ」

社長が頭を抱え込む。


タニが警察のデータを見る。

何も出てこない。


車やスマホで身元はわかるはず。

なぜ会社にも弁護士にも連絡しないのか。


そこにいる皆の意見が、何も言わず一致した。

スルーだ。なかったことにする。


皆がそれぞれ遠い目をする。



アガタよ、さらば。


*****


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