人間狩り
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翌日、会社に染谷から連絡があった。
社長は、染谷と『協力』することに決めたらしい。
現時点で、コウらが関わることはなかった。
管理部のタニと調査部が忙しくなるだけだ。
タニからそれを聞くと、コウは
「ドンマイ」と言って、タニからキレられた。
次にコウたちに来た依頼は、少し大きいものだった。
いわゆる『人間狩り』をやっている奴らを全滅させる、というもの。
『人間狩り』をやっている場所がわかるのであれば、警察が踏み込めば…となるのが普通だが、『人間狩り』をやっているのは、それなりに地位のあるクズばかりなのだ。
警察は手を出せない、いや出さない。
だからこちらに仕事がくるのだ。
「次の開催日時も場所も把握してるから、狩る奴の殲滅、狩られる人間の保護、そしてモニターで見て喜んでる奴らも徹底的に殺る」
タニが力を込めて言い放つ。
仕事が忙しくてハイになっているようだ。
(ドンマイ)コウは心の中で応援した。
ということで、今回はこちらもある程度人数を揃える必要がある。
「狩る奴が10人なので、殺し屋は2人、これは俺とリクでいい。
保護するのが現時点での情報では12人だから、オキとレイ、ザビの3人で頼む。
モニタールームで見てる奴が、おそらく4~5人、ここはタマキとイオリでいいな。
他に自宅で見てる奴らが厄介だな。
これは現場が片付いてから1人ずつやるか。
人数は結構いるな。少なくとも20人以上。
こりゃ殺し屋総出だな。あとで手の空いてる者に割り振ろう」
コウはここまで言って皆の様子を窺う。
会議用の通信を利用しているので、参加者の顔は見えている。
「具体的な詰めは今からやるが、今までのところで質問は?」
コウが全員に問う。
「いや、ないよ」
皆が口々に言う。
「オッケー、自分の担当じゃないところも聞いといてくれよ」
とコウが言い、流れるように段取りを詰めていくのだった。
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狩りの当日。
奴らは朝早くから開始する。
開始してからでは面倒なので、集合時間を狙う。
前日より近くで見張りをしていたレイが、集合場所のログハウスに灯りがともり始めたことをインカムで皆に伝える。
皆が一斉に動き出す。
まず、コウとリクがログハウスを見下ろせる場所に身を潜める。
次々に参加者の車が敷地内に入って来る。
ログハウス内は盗聴しているので、皆が集まり、開始が近くなるとわかる。
開始時間は一応午前8時となっている。
午前7時半、参加者が集まったようだ。
次に狩られる者たちが、表に停まっていたワンボックスカーから連れて来られる。
目隠しをされ、両手を拘束されている者たちが13人。直前で1人捕まったのだろう。
部屋に押し込まれ、自分たちの境遇を聞かされている。
鳴き声が聞こえる。
「よし、全員集まったな。予定通り頼む」
コウがゴーを出す。
まず、2階のモニタールームに、窓を割ってタマキとイオリが勢いよく転がり込んだ。
イオリがモニターの電源を素早く落とし、同時にタマキが男たちを、いや女も1人いたが、撃った。
インカムに「モニターオッケー」とイオリの声が聞こえた。
下にいた男たちは2階で銃の音がしたので驚いて上を見る。
すぐにコウが正面から、手にグロックを構えて飛び込む。
同時にリクが裏口からベレッタを構えて飛び込んだ。
一斉に銃撃が始まる。
急襲だったので、一方的だった。
狩る方はまだライフルを構えてもいなかったため、なすすべはなかった。
狩られる者たちは拘束されたまま、何が起こったのかわからず固まり、泣き喚き、パニックになっていた。
それをオキとレイ、ザビが落ち着かせながら、拘束を解いていく。
「助かったんだよ。帰ろうな」と声をかけながら、優しく立たせていく。
皆少しずつ落ち着いてきた。
信用されたところで、2台のミニバンに乗せて、麓の警察署の手前まで連れて行く。
そこで降ろし、
「ありのままを説明して保護してもらいな。
俺たちのことは、顔はわからん、とでも言ってくれ」
笑いながらオキが言い、3人は口々にお礼を言われながら、警察官が数人走り寄ってくるのを確認して帰って行った。
コウは盗聴器から聞こえてきていた、リーダーらしき者を1人生かしていた。
イオリがモニタールームから、
「いいもの見つけたー」
と言って、自宅で見ている者たちのリストを持ってきた。
「コウはよくやった」と言い、
リーダーに、主催者について聞いた。
「誰が主催している?」
「言えない。殺される」
「いや、今から君殺されるんだけどね」
コウが言うと、
「ああああ…」と言い、蹲った。
「まあ、いいや、確認だけだったから。
『ITソリューション』の角裕大だろ。
成金のお遊びってやつだ」
コウが仲間に聞く。
「リストも手に入ったし、こいつにまだ用がある奴いる?」
皆が一斉に首を横に振る。
パン
乾いた音がして、リーダーは倒れた。
「みんな、お疲れ様。オキたちも終わったみたいだから引き上げようか」
「オッケー」
タマキとイオリが元気よく言い、ハイタッチした。
リクとコウも無理矢理参加させられ、リクは恥ずかしそうに、コウは面倒臭そうにハイタッチをしたのだった。
コウはリクが運転する車で帰路についた。
コウはイオリが見つけたリストをタニに送っていた。
「このリストが間違ってなかったらさ、今夜からリストにある奴らを一人ずつやってかなきゃならないんだけど…うーん1人につき3~4人になるかな。
リクはザビと組んで。ザビはこの前は失敗したけど、侵入に関してはプロだからさ」
コウがリクに言う。
リクは前を向いたまま「はい」と頷く。
会社に着くと、そのまま打ち合わせを始める。
リストは間違っていなかった。
ちょうど20人。
「俺が5人、タマキとイオリが2人で4人、シキミとリクがそれぞれ4人、アガタが3人。
リクにはザビをつける。
こんなんでどうかな」
コウが社長とタニに確認する。
「そんなとこだね」社長が言う。
「タニがリストの住所とかで割り振ってくれる?」
「はい」タニが言い、早速住所と地図を表示させる。
「できたらみんなに送っといて。
多分みんな仮眠とってるから」
そういうとコウは
「あと一仕事だな」
と言って出て行く。
「すまんな」
社長が言い、コウは右手だけ振ってドアを閉めた。
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