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ナツの進路

*****


仕事が終わり、コウは会社に戻った。

タニと話したかったので、自室ではなく会社の部屋へ行く。


そこには社長とナツ、リクもいた。

「勢ぞろいかよ」

コウが苦笑する。


「タニ、終わった。たぶん他の奴らももう何もしてこないだろうよ」

コウが言うと、タニが黙って頷いた。


「リク、お疲れさん。問題なかった?」

コウが優しく尋ねる。


「はい、大丈夫です」リクが答える。


コウは空いている椅子に座り、クルリと回る。



「で、2人は何を?」

社長とナツに問いかける。


「ああ、ナツがやりたい仕事を決めたんだよ」

社長が嬉しそうに答える。


コウが黙ってナツを見る。


「殺し屋」ナツが少し恥ずかしそうに言った。


「なんで?」

コウが尋ねる。


「なんででも」ナツがぶっきらぼうに答える。


リクが慌てて、

「すみません、ナツはちょっと口が悪くて…」

とフォローする。


「へー、この前は俺の部屋でおいおい泣いてた奴がねー」

コウがニヤニヤしながら言うと、


「うるせぇ、黙れ」

ナツが顔を真っ赤にして毒を吐き、リクが慌てている。


社長がニコニコしながら話し始める。

「でね、リクと同じように、アメリカで訓練してもらおうかと思ってるんだ。

半年くらいかな。銃の使い方とか、格闘技とか、ね」


コウは驚いた。


「リク、アメリカで訓練したの?」

コウは全く知らなかった。


確かに、リクと出会ったときは、既に一通りのことができていたが…。


リクが「はい」と少し気まずそうに答える。


「社長、俺行ってないけど」コウが抗議する。

「コウはマカオに行ったよね」

社長が思い出しながら答える。


「あれは仕事だったけどね」

コウは別にどうでもいいんだけど、と思いながら話を終わらせた。



「リク、部屋に来て」

コウは1つの仕事が終わったので、リクと話そうと、リクを部屋へ呼んだ。


コーヒーを淹れ、ソファに座ると、ふーっと息を吐く。


「リク、今日のターゲット、きつくなかった?」

コウが尋ねる。


リクは少し考え、

「ちょっとだけ。でも考えないようにしてました」


「そう」

コウが言い、リクの髪に触れる。


「きつい時は言いなよ」


コウは続けて、

「リク、俺が触るのは嫌じゃない?」

コウが尋ねる。


リクはコウを見上げて、すぐに

「嫌じゃないです。コウさんの手は温かくて…とっても気持ちがよくて…」と小さな声で答える。


コウは「よかった」と言って、微笑んだ。


*****


ナツがアメリカへ行ったので、リクは少し寂しくなった。


もともと1人で暮らしていたが、少しの間でもナツがいたので、いなくなると部屋が広く感じて落ち着かない。

だから、外へ出て、トレーニングをしたり、依頼がなくても会社へ行ったりしていた。



ある日、リクは会社で初めて会う人がいた。

その人は、なんというか「麗しい」という表現がぴったりだと思った。


社長が紹介してくれた。

「リク、この人はミズキ。目立つ容姿だからね、あんまり出てはこないんだけど、おとりとかハニートラップとか、人を騙す天才」


「社長、それひどい。リクくんに誤解されちゃう」


ミズキは明るくそう言うと、リクに向かって

「リクくんの噂、聞いてるよ。コウの秘蔵っ子だって。

アガタとザビがコウに殺されそうになったって話、有名だからね」と言って笑った。


リクは真っ赤になって、

「あ、えと、よろしくお願いします」と言って頭を下げた。


「こんなかわいい殺し屋初めて見たー」


ミズキは嬉しそうに言うと、

「じゃあ、またね」と言って、去って行った。


タニが「ウザッ」と呟くのが聞こえた。


「リク、コウどこにいるか知ってる?」


「あ、たぶんまだ家にいると思います」

リクが答えると、


タニは「チッ」と舌打ちをして、コウに電話している。

すぐに繋がったようで、「仕事」と言って切った。


「リクも一緒に聞くかどうか、コウが判断するから、部屋で待ってて」

タニが言うと、リクは「はい」と答えて自室へ戻って行った。


(コウさんの判断…難しい仕事なのかな…)

リクは考えながら、部屋の掃除を始めた。


*****


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