ナツの進路
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仕事が終わり、コウは会社に戻った。
タニと話したかったので、自室ではなく会社の部屋へ行く。
そこには社長とナツ、リクもいた。
「勢ぞろいかよ」
コウが苦笑する。
「タニ、終わった。たぶん他の奴らももう何もしてこないだろうよ」
コウが言うと、タニが黙って頷いた。
「リク、お疲れさん。問題なかった?」
コウが優しく尋ねる。
「はい、大丈夫です」リクが答える。
コウは空いている椅子に座り、クルリと回る。
「で、2人は何を?」
社長とナツに問いかける。
「ああ、ナツがやりたい仕事を決めたんだよ」
社長が嬉しそうに答える。
コウが黙ってナツを見る。
「殺し屋」ナツが少し恥ずかしそうに言った。
「なんで?」
コウが尋ねる。
「なんででも」ナツがぶっきらぼうに答える。
リクが慌てて、
「すみません、ナツはちょっと口が悪くて…」
とフォローする。
「へー、この前は俺の部屋でおいおい泣いてた奴がねー」
コウがニヤニヤしながら言うと、
「うるせぇ、黙れ」
ナツが顔を真っ赤にして毒を吐き、リクが慌てている。
社長がニコニコしながら話し始める。
「でね、リクと同じように、アメリカで訓練してもらおうかと思ってるんだ。
半年くらいかな。銃の使い方とか、格闘技とか、ね」
コウは驚いた。
「リク、アメリカで訓練したの?」
コウは全く知らなかった。
確かに、リクと出会ったときは、既に一通りのことができていたが…。
リクが「はい」と少し気まずそうに答える。
「社長、俺行ってないけど」コウが抗議する。
「コウはマカオに行ったよね」
社長が思い出しながら答える。
「あれは仕事だったけどね」
コウは別にどうでもいいんだけど、と思いながら話を終わらせた。
「リク、部屋に来て」
コウは1つの仕事が終わったので、リクと話そうと、リクを部屋へ呼んだ。
コーヒーを淹れ、ソファに座ると、ふーっと息を吐く。
「リク、今日のターゲット、きつくなかった?」
コウが尋ねる。
リクは少し考え、
「ちょっとだけ。でも考えないようにしてました」
「そう」
コウが言い、リクの髪に触れる。
「きつい時は言いなよ」
コウは続けて、
「リク、俺が触るのは嫌じゃない?」
コウが尋ねる。
リクはコウを見上げて、すぐに
「嫌じゃないです。コウさんの手は温かくて…とっても気持ちがよくて…」と小さな声で答える。
コウは「よかった」と言って、微笑んだ。
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ナツがアメリカへ行ったので、リクは少し寂しくなった。
もともと1人で暮らしていたが、少しの間でもナツがいたので、いなくなると部屋が広く感じて落ち着かない。
だから、外へ出て、トレーニングをしたり、依頼がなくても会社へ行ったりしていた。
ある日、リクは会社で初めて会う人がいた。
その人は、なんというか「麗しい」という表現がぴったりだと思った。
社長が紹介してくれた。
「リク、この人はミズキ。目立つ容姿だからね、あんまり出てはこないんだけど、おとりとかハニートラップとか、人を騙す天才」
「社長、それひどい。リクくんに誤解されちゃう」
ミズキは明るくそう言うと、リクに向かって
「リクくんの噂、聞いてるよ。コウの秘蔵っ子だって。
アガタとザビがコウに殺されそうになったって話、有名だからね」と言って笑った。
リクは真っ赤になって、
「あ、えと、よろしくお願いします」と言って頭を下げた。
「こんなかわいい殺し屋初めて見たー」
ミズキは嬉しそうに言うと、
「じゃあ、またね」と言って、去って行った。
タニが「ウザッ」と呟くのが聞こえた。
「リク、コウどこにいるか知ってる?」
「あ、たぶんまだ家にいると思います」
リクが答えると、
タニは「チッ」と舌打ちをして、コウに電話している。
すぐに繋がったようで、「仕事」と言って切った。
「リクも一緒に聞くかどうか、コウが判断するから、部屋で待ってて」
タニが言うと、リクは「はい」と答えて自室へ戻って行った。
(コウさんの判断…難しい仕事なのかな…)
リクは考えながら、部屋の掃除を始めた。
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