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ナツの未来

今日から第二章突入です。

相変わらずコウとリク中心の癒しの殺し屋のお仕事です。

ターゲットはみんな下衆野郎です。

スカッとしてください。

第二章


コウはいつものように依頼を受けていた。


会社の自室で管理部のタニから送られてきたデータを見ながら、タニと通話しながら確認する。


「今回のターゲットは、夏焼虎雄。私立白鷗高校の数学の教師だ。

こいつは生徒に人気があることをいいことに、性的な関係を持って、金を貢がせたりしている。卒業後もだ」

タニが説明する。


「しかも男子生徒相手だ。相手も最初は同意の上だったんだろうからな、切れたくてもなかなか相談する相手がいないんだろう」


「依頼人は…生徒か…」

コウがデータを見ながら言う。


「ああ、卒業して5年間我慢していたらしい。

しかしさすがに関係を止めたいと言ったら、その筋の者を使って脅してきたらしい」


「その筋? 教師がか」


「ああ、訳ありでさ、その筋のもんとも繋がりがあるんだよ。

まったく反吐が出る」

珍しくタニが毒を吐く。


「で、殺るのは夏焼だけか」

コウが言う。


「うーん、依頼はそうなんだが…」

タニが言い淀む。


「何かあるのか」


「その夏焼って野郎だけならアガタでもいいんだけどさ、周りにチョロチョロしてる奴らがいんだよ」


「誰だよ」


「夏焼がギャンブルで借金作っててさ、その取り立ての奴ら。

このまま放っておいたら、その生徒たちも巻き込まれるだろうな」

タニがうんざりした顔で言う。



コウはリクやナツのことを思い浮かべた。

本人たちから話は聞いていないが、ここに来るまで地獄のような日々を送っていたことは間違いない。


「どこまでやるか、だな」コウが言う。


「ああ」タニも頷く。


「その取り立て屋はヤクザか?」


「元締めは佐藤組だろうな。使ってるのは半グレだが、その中にタチの悪いのがいてな。

諸石っていうんだが、ボクサー崩れで腕が立つ。夏焼はそいつが怖くて金づるになる生徒を手放せないんだろうさ」


コウがしばらく黙って考えてから言った。

「とりあえず、その諸石と夏焼を殺れば、他の奴らは大人しくなるよな」


「そう願うね」

今回はいつものタニとは違うな、とコウは感じていた。


いろんな情報を扱う管理部のタニは、知りたくないことも知ることになる。

それでもタニはいつも淡々と仕事をこなす。


しかし…。


少し前まではターゲットはただのクズやカスで、何も考えずに依頼を受けることができた。

それが最近は、胸糞悪い案件が増えてきたような気がする。

タニもそれを感じているのかもしれない。


「じゃ、詳しい情報を送るわ」

タニはそう言って通信を切った。



*****



ナツは、李がリクの手で殺されたあと、リクの会社に世話になることになった。


自分に何ができるのか、何に向いているのか、今は全くわからない。

社長と話しながら、生まれて初めて自分自身と向き合い、自分の将来のことを考えていた。

リクも同じだったと言う。


リクはしかし、コウのことを聞いてから殺し屋になることしか考えられなかったと言う。


「俺は…どうなんだろう」

ナツはまだ頭の中を整理できずにいた。


幼い頃から家族からも他人からも虐げられてきた。

家族に売り飛ばされて、李に拾われ、人並みの生活ができるようになったが、結局李も今まで出会った人間たちと変わらなかった。


ナツは綺麗な顔をしている。

それだけであの獣たちは、ナツを求めた。

もう諦めていた。


しかし、リクとの再会が、ナツを地獄から引き揚げてくれた。


コウがあの時電話の向こうで

「もう大丈夫だから、安心して戻って来い」

と言ってくれた。


リクだけじゃなく、俺にも…。


恩返しがしたい。


リクと同じように、俺も殺し屋になれるだろうか。

俺たちを虐げてきた奴らのような獣を前にして、俺は殺ることができるのだろうか。


ナツはまだ思い描くことの出来ない未来を模索していた。



*****



リクは会社でコウの向かいの部屋をもらっていた。

ナツと2人で使うことになったのだ。


また、古い安アパートも引き払い、社長が会社の近くのマンションを用意してくれた。

これもナツと2人で同居だ。


リクはこんなに恵まれていいのだろうかとかえって心配になるほどだったが、ナツがリクと暮らせることをとても喜んでいたので、素直に喜ぶことにした。


リクはナツがどういう仕事を選ぶのか、考えていた。

社長と相談しているようだが、自分とは仕事の話はあまりしない。


リクもナツが先入観を持たないよう、極力自分の思いを話さないよう気を付けていた。


しかし、なんとなくわかっていた。

自分と同じように、ナツも今までの環境を捨て去るには、思い切った方法をとらなければならないだろう、と。


*****




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