表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/64

仕上げ


ナツの涙はまだ止まっていない。


「真くん、何食べたい?」

リクが尋ねる。

「オムライス!」すぐに真が答える。

「じゃ、オムライス食べたら園に帰ろうか。

先生たちが心配してるよ」

「わかったー!」嬉しそうに真が答え、ナツも顔を上げた。


*****


少し前、ナツのマンション前で待機していたコウの目に、怪しい人影が数人映った。

「来たか」コウはニヤリと笑い、車を降りる。


怪しい人影はナツのマンションに入って行き、階段を上がっている。

コウは後をつけ、狙いがナツの部屋であることを確認すると、グロックを4発放った。

サイレンサーが見事な働きをし、何事もなかったかのように4人は音もなく倒れた。


それからコウは外に出ると、会社に連絡し掃除屋を手配したのだった。


*****


リクたち3人は、近くのファミリーレストランへ行った。

真はオムライスがついたキッズセットを頼んだ。

ナツは何も頼まなかったので、リクがフライドポテトを頼み、3人で食べた。


それから3人はひまわりの家の近くに戻り、真に手を振って別れた。

真がひまわりの家に入って行くのを確認して、しばらく見ていたが、女性の嬉しそうな声が聞こえてきたので、安心してその場を離れた。



コウはリクとの電話を切ると、ひまわりの家へ戻った。

ひまわりの家ではすでに真を探していないようだった。

本来なら警察に通報するところだろうが、久住がスタッフをなんとかごまかしていたのだろう。


レイとオキに合流すると、久住はまだひまわりの家にいた。


コウはひまわりの家に電話をし、久住を呼び出した。

「真は預かってる」コウが言うと、久住が息を飲む声がした。

周りに聞かれるので、下手なことは言えないようだ。

「オフィス久住…今からそこに行け。話がある」

コウはそう言うと電話を切った。


コウは、レイとオキに、久住を尾行して行動を逐一報告するよう頼み、一足先にオフィス久住へ向かった。


先ほどの駐車場に到着すると、コウは車のトランクからグロックの予備のマガジンを取り出し、ポケットに突っ込んだ。

おそらく援軍を連れてくるだろう。


コウは久住のオフィスの鍵を開けると、中に侵入し、すぐにまた鍵をかけた。

すぐに、レイから、久住が當間不動産のオフィスに寄って、すぐに出てきたというメールが届いた。


10分程すると、久住の車が停まる音が聞こえた。

その後、何台かの車が停まる。

コウはオフィスの久住の椅子に腰かけ、久住が入って来るのを待った。


久住が鍵を開ける音がした。

続いて電気のスイッチを入れる音がする。

しかし照明はつかない。コウがブレーカーを落としていたのだ。


久住はハッとして目を凝らす。

コウは十分暗闇に目が慣れていた。


「遅かったな」コウが呼びかける。

「真はどこよ」久住が答える。


「いなくなった方がよかったんじゃないのか」

コウが言うと、久住が高笑いした。

「何もわかってないのね」

馬鹿にしたような口調で久住が言う。


「あの子は必要なのよ。當間の跡継ぎとしてね。そうでなきゃ、引き継げない事業があるんだから」

「ふーん」コウが鼻を鳴らす。


「で、利用した後は? 殺す? 売る?」

コウが言うと、久住が黙り込んだ。

図星だ。


「そもそも、あなたに何の関係があるのよ。あの子を守るメリットは何?

依頼があったわけじゃないでしょう。そんなこと依頼する人なんていないもの」


久住はコウが言い返せないと思い、勝ち誇ったように言い放つ。

「メリットなんてないさ」コウが静かに言う。

その声は久住をぞっとさせるには十分な威圧感があった。


「たださ、あんたは間違えたんだよ。脅す相手をさ」

コウがゆっくりとグロックを構える。


廊下から『待ってました』とばかりにドタドタといかにもガラの悪い連中が入って来た。

コウは何の前置きもなしに、引き金を数回引いた。

3人倒れる。


向こうからも弾が飛んでくるが、暗闇に目が慣れていない連中はコウに当てることはできない。

コウは続けて引き金を引き続ける。

2人、3人、と次々に倒れていく。


その間にも、コウは久住が逃げないよう目を光らせる。

久住は真を取り戻したい一心で、その場から離れない。


これだけの人数で、コウを倒せないなどとは考えていないのだろう。

(馬鹿か、こっちはプロの殺し屋だぞ)

コウはそう考えながら、引き金を引き続けた。


何人いたのかわからないが、途中で1度マガジンを交換した。

ふと気づくと、久住しか立っている者がいなかった。


全く手ごたえがなかったことにコウががっかりしていると、久住が両手を上げて震えながら言った。

「た、たすけて…諦めるから…子供のことはあきらめるから…お願い…たすけて…」

コウが久住に近づく。


久住は入口付近で固まって動けないでいる。

(まったく、ホント厄介な女だ)


コウは、

「言ったろ、あんたは間違ったって」

そう言うと、久住の頭に銃弾を撃ち込んだ。


*****


コウは会社の自室に戻った。

なんだか長い一日だったような気がする。


コーヒーを淹れ、ソファに座って飲んでいると、ノックの音がした。

ドアを開けると、リクがいた。その後ろにナツが俯いて立っている。


「いいよ」コウが言うと、リクはナツを促すように一緒に入ってきた。

コウは二人分のコーヒーを入れると、カップをテーブルに置き、ソファに座るよう促した。


「終わったよ」コウが言った。


リクがナツの方を見ると、ナツは顔を上げてリクを見てから、コウの方を向いた。

コウはナツに優しく頷いた。


リクがやっと安心したように、

「コウさん…」と呟いた。

涙が頬を伝って流れている。


ナツがリクに抱きついた。

リクもナツを抱き締める。


(おい、おい…)コウが苦笑する。

(今日は触れないかー、仕方ない今日だけはナツに譲ろう、今日だけ…は…)

コウは二人を見ながら手をぎゅっと握りしめた。



第一章 おわり


*****

殺し屋たちの話、いかがでしたでしょうか。

第一章が終わりました。

続けて、第二章もお送りしますので、このあとの殺し屋たちの仕事や絆など、見届けてくだされば幸せです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ