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卑怯者を殺る

*****


染谷の依頼が完了し、李はいなくなった。


その後の李の事業については、コウたちの知るところではないが、李の側近であったナツの動向については、コウも気になっていた。


リクはあの後、ナツの話はしないが、気にしているのはわかる。


どういう知り合いなのか、心配しているのか、警戒しているのか、それがわかれば対応の仕様もあるのだが。



一応社長にはナツの話はしている。リクの過去を知っている社長がうまくやってくれるだろう。




*****




コウは二人組の殺し屋の仕事を控えていた。


リクは前回の依頼をやったので、今回はコウだけでやることにした。



ニセの依頼でおびき寄せ、コウがやる…簡単な仕事だ。

だが、簡単に殺したくない、とコウは考えていた。


なにせ、リクの頭に銃口を向けやがった奴らだ。最後に俺を怒らせたらどうなるか思い知らせてやる。


コウは意気込んでいた。


ほぼ私情である。




2人組は必ず2人で行動する。


会社がニセの依頼を出し、会社所属の殺し屋、シキミがおとりになる。

シキミはまだ顔が割れていないし、悪人顔なのでうってつけだ。


シキミが、ヤクの取引現場に行くと見せかけて、山を少し上ったあたりの廃屋へ入って行く。


2人組がその後を尾行している。


その後ろをコウが見ているとも知らず。




2人組が廃屋の窓から中を覗いている。


シキミは外から狙われないよう、物陰に隠れている。

外からよく見えないため、2人組は仲良く二人で廃屋の中へ入った。


コウもあとに続く。




コウが後ろからいきなりグロックで一人の足を撃つ。



それを合図にシキミが物陰から出てきて外に出て、扉を閉めた。

シキミにはコウがやるから手を出すな、と言ってある。


2人組は急襲に驚き、コウを振り返ると、更なる驚きで目を見開く。


「お久しぶり」コウが微笑む。



「お前!」撃たれていない方が叫ぶ。


「嵌めやがったな!」語彙力がない男がまた叫ぶ。



「ああ、お返しってやつだね」

コウがのんびりと言うが、相手も既に拳銃を構えている。



コウは構わずもう一人の足も撃ち抜く。


相手は、話をしている間は撃たない主義らしい。

「うっ」と呻き、地面に膝をつく。


2人仲良く同じ体勢だ。




「俺の大事な仲間の頭に銃口を突き付けたろ。

あれさ…」


コウがゆっくりと近づく。


「許せないよね」




2人組はやっと思い出したのか、ハッとして顔を見合わせる。


1人が慌てて言い訳をする。

「悪かった、そんなつもりはなかった。お前の仲間なんて知らなかったんだよ。

ただ、藤宮って奴を殺れって依頼だったのに、先にお前らが来てたから…」


最後の方はもごもごとつぶやくように消えていく。



「ふーん、誰からの依頼?」コウがついでに尋ねる。


「それは言えない。わかるだろ、俺たちのルールじゃないかよ」



コウは笑った。


「ルール? ルールって言葉知ってるんだ。

まあ、いいよ。どうせ芦塚とか木場とか、そこらへんだろ」


コウがそう言うと、2人組は「くっ」と言葉を飲み込む。


コウは、それ以上はどうせ何も知らないだろうと思い、殺ることにした。




もう十分怖がらせたし、気が済んだ。




「じゃ、さようなら」




コウは言い放つと、続けざまに2発、二人の頭を撃ち抜いたのだった。




*****


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