コウの疑問
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数日後、調査部からのデータが届いた。
やっと李の正体が判明したらしい。
表向きは中国を拠点にした貿易商。合法的な取引をしている。
しかし裏ではやはり麻薬、武器、人身売買の取引。
もちろん自分では動かない。
いくつかのダミー会社から下請けに投げ、さらに孫請けに実行させる。
孫請けは使い捨てのチンピラや半グレなので、尻尾を掴まれても自分までは届かない。
普通は。
しかし、今回は染谷が李を炙り出した。
コーディネーターという立場上、そこまで行きつくことができたのだろう。
調査部も染谷による情報ありきで動いたので、なんとか判明したのだろうが。
しかし、染谷が李を始末するメリットが考えられない。
李がいなくなっても、事業は引き継がれるだろう。
そうすると、當間の息子が後見人、おそらく芦塚によって當間の跡継ぎとして担ぎ上げられるのを阻止できるものでもないのではないか。
結局、染谷がやろうとしていることは、なんの変化も生まない。
依頼なので、やれと言われればやるが、これはリクの仕事になる。
コウは椅子から立ち上がると、会社のある部屋へ向かった。
コウは社長に自分の疑問を伝えた。
社長は黙って話を聞くと、タニを呼んだ。
「この依頼、李を殺るだけで終わると思うか?」
タニはしばらく考え、口を開いた。
「わかりません。染谷の目的は、おそらく混乱させることです。
李がいなくなると、李の側近が後を引き継ぐでしょう。ただし、李との信頼関係が出来上がっている奴らは反発するかもしれない。
それが事業に、それから當間の方にもどう影響するか…」
「あとさ、警察官の存在もあるよな」
コウが口を挟む。
「そこんとこ、わかってることあるの?」
「交番勤務の木場を見張らせてますが、警察上層部との接触はありません。
ただ、木場の銀行口座なんですけどね、9桁なんですよ」
タニがニヤリとして言う。
「木場の上に、本当に誰かいるんですかね」
3人が黙り込む。
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木場の監視は続けることにして、依頼は引き受けることになった。
コウはリクに、仕事の内容と、リクが指名されていることを告げた。
「なぜ、俺が…?」
リクが不安そうに言う。
「わからん。ただ、染谷はゲームをしているように見える。
気に入らないが、依頼は依頼だからな。
もちろん準備は一緒にする。李は簡単な相手じゃない。
1人でいることも少ないようだし、當間の時のように狙撃が確実だろう」
コウはリクを見て言う。
「いけるか?」
リクがコウをじっと見つめて言った。
「俺、一人前なんですよね」
コウはふっと笑って答える。
「ああ」
「じゃあ、大丈夫です。コウさんがいるので」
リクが少し恥ずかしそうに言う。
「じゃあ、段取りを決めようか」
コウとリクは、李のスケジュールを見ながら、日程や狙撃場所について何時間も話し合った。
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