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當間の息子の気持ち

*****


ひまわりの家に来て、もう4年が経とうとしていた。


母が亡くなり、預けられた先がひまわりの家だった。

母のことは覚えていない。


でも、父という人がたまに訪ねて来てくれる。

普通は父と一緒に住むものだろう、ということはうすうす知っている。

ただ、自分はずっとここにいるのが普通なのだという気もしていた。


不満はない。

ここにいる子はみんな両親がいないか、一緒に暮らせない子ばかりだ。

自分だけではないし、たまに施設の人と買い物に行ったりして、他の子供を見ていても、自分はたぶん人並みの生活をしているのだろうと思える。


でも、最近父が来なくなった。

一度施設の七瀬さんに聞いてみたら、七瀬さんは知らないようだった。


ひまわりの家の交流会の日、知らない人に声をかけられた。

本当はついて行ってはいけないけど、施設の中だったし、一人はひまわりの家のエプロンをつけた女の人で、もう一人は警察官だったから、大丈夫だと思ってついて行った。


そしたら、いきなり警察官の男の人が、

「お父さんと一緒に暮らせるから、ここを出ることになった」と告げてきた。

お父さんは最近来てくれていないのに、どうして警察官の人がそんなことを言うんだろう…そう思った。

だから、「お友達と離れたくない」と言って、駄々をこねた。


あとで七瀬さんにこの話をしてみようと思った。

知らない人に連れて行かれるのはイヤだ。


怖い…。


向こうの方から、おじいさんと若い男の人が歩いてきているのが見えた。

おじいさんが声をかけてくれて、なんだか安心した。


すぐに追い出されてしまったが、おじいさんを連れて行く若い男の人が、じっとこちらを見て…僕を心配そうに見てくれているのを感じた。


あれから知らない人に声をかけられることはない。

毎日、ユウキくんやタクマくんと遊ぶのが楽しい。ずっと続くといいのにな。


*****


依頼の連絡がきたのは、コウがリクとトレイルランニングをしている時だった。


コウがリクを誘って、上級者向けの山を二人で走っていた。

コウはたまに走っていたが、リクは走ったことがないということだったので、誘ったのだ。


仕事以外の時間を共有することはほとんどないが、訓練は二人の方が効果がある場合もある。


リクは案の定、初めてとは思えないほどのスピードでついて来ている。

もともと運動神経がいいのだろうが、コウが選んだ足場をきちんと踏んで来ている。

瞬間の判断力がずば抜けている。


ある程度上まで登り、下ろうかという時、今度はリクに先を行かせることにした。

「転げ落ちるなよ」と声をかけ、後ろに続く。


最初こそ慎重に行っていたが、だんだん慣れてきて、飛ぶように走り出す。

さすがに危ないと思ったコウが声をかける。

「リク、ゆっくり止まれ」


リクはそれでもなかなか止まらず、それからしばらくしてやっと止まった。

「危ねー…止まれなかったろ」


リクは恥ずかしそうに「はい」と言い、勢いがつき過ぎて…と小声でつぶやいた。

「そうそう、そうなるんだよな。転ばずに止まれただけでもすごいさ」

コウがそう言い、リクの髪をクシャクシャにした。


そこで会社から連絡がきたのだった。


*****

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