當間の息子の気持ち
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ひまわりの家に来て、もう4年が経とうとしていた。
母が亡くなり、預けられた先がひまわりの家だった。
母のことは覚えていない。
でも、父という人がたまに訪ねて来てくれる。
普通は父と一緒に住むものだろう、ということはうすうす知っている。
ただ、自分はずっとここにいるのが普通なのだという気もしていた。
不満はない。
ここにいる子はみんな両親がいないか、一緒に暮らせない子ばかりだ。
自分だけではないし、たまに施設の人と買い物に行ったりして、他の子供を見ていても、自分はたぶん人並みの生活をしているのだろうと思える。
でも、最近父が来なくなった。
一度施設の七瀬さんに聞いてみたら、七瀬さんは知らないようだった。
ひまわりの家の交流会の日、知らない人に声をかけられた。
本当はついて行ってはいけないけど、施設の中だったし、一人はひまわりの家のエプロンをつけた女の人で、もう一人は警察官だったから、大丈夫だと思ってついて行った。
そしたら、いきなり警察官の男の人が、
「お父さんと一緒に暮らせるから、ここを出ることになった」と告げてきた。
お父さんは最近来てくれていないのに、どうして警察官の人がそんなことを言うんだろう…そう思った。
だから、「お友達と離れたくない」と言って、駄々をこねた。
あとで七瀬さんにこの話をしてみようと思った。
知らない人に連れて行かれるのはイヤだ。
怖い…。
向こうの方から、おじいさんと若い男の人が歩いてきているのが見えた。
おじいさんが声をかけてくれて、なんだか安心した。
すぐに追い出されてしまったが、おじいさんを連れて行く若い男の人が、じっとこちらを見て…僕を心配そうに見てくれているのを感じた。
あれから知らない人に声をかけられることはない。
毎日、ユウキくんやタクマくんと遊ぶのが楽しい。ずっと続くといいのにな。
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依頼の連絡がきたのは、コウがリクとトレイルランニングをしている時だった。
コウがリクを誘って、上級者向けの山を二人で走っていた。
コウはたまに走っていたが、リクは走ったことがないということだったので、誘ったのだ。
仕事以外の時間を共有することはほとんどないが、訓練は二人の方が効果がある場合もある。
リクは案の定、初めてとは思えないほどのスピードでついて来ている。
もともと運動神経がいいのだろうが、コウが選んだ足場をきちんと踏んで来ている。
瞬間の判断力がずば抜けている。
ある程度上まで登り、下ろうかという時、今度はリクに先を行かせることにした。
「転げ落ちるなよ」と声をかけ、後ろに続く。
最初こそ慎重に行っていたが、だんだん慣れてきて、飛ぶように走り出す。
さすがに危ないと思ったコウが声をかける。
「リク、ゆっくり止まれ」
リクはそれでもなかなか止まらず、それからしばらくしてやっと止まった。
「危ねー…止まれなかったろ」
リクは恥ずかしそうに「はい」と言い、勢いがつき過ぎて…と小声でつぶやいた。
「そうそう、そうなるんだよな。転ばずに止まれただけでもすごいさ」
コウがそう言い、リクの髪をクシャクシャにした。
そこで会社から連絡がきたのだった。
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