黒幕の素性
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1週間後、コウは社長に呼ばれて会社を訪れていた。
社長と管理部のタニだけがいた。リクはいない。
自称コーディネーターという男との接触については報告していた。
いよいよ、その依頼が来たらしい。
タニがモニターにデータを映し出す。
「数日前、コーディネーターという男、名前は染谷竜生、本名かどうかは不明だが、連絡があった。
そいつが言うには、黒幕は李浩陽、中国籍の男。
一見、當間不動産にもひまわりの家にも関係していない」
「信用できるのか」コウが当然尋ねる。
「もちろん調べた。染谷も李も」タニが淡々と続ける。
「染谷は確かにヤクや武器の密輸や密出国などの手配をしている。
この前、廃倉庫での取引をぶっ壊したろ。あれにも関係していたらしい。
自分の同業だった當間の後を引き継ごうとしている奴を潰したいと考えてたところに、情報が洩れて取引が失敗したんで自分に火の粉が飛んでくるのを防いでいる最中なんだろ」
「染谷のことはわかった。李は本当に黒幕なのか?」コウが尋ねる。
「そこなんだが…」タニが言い淀む。
「李の尻尾は掴めない、というのが現状だ。染谷の情報だけでは特定できない。
殺された藤宮は、木場という交番勤務の警察官と接触していた。そして芦塚、という名前も出した。
おそらく、この芦塚が當間の息子の事実上の後見人となるのだと思われる。
しかし、その上に李がいるというのが、どうしても繋がらないんだ」
調査部をもってしても調べがつかないって言うのであれば、巧妙に隠されているのか、または全くのガセか…。
「李は日本にいるのか」コウが尋ねる。
「ああ、一応貿易商ってことになってる。拠点は中国だが、ここ一年は日本の支社に詰めているようだ」
「タニ、気になっていることがあるんだ。藤宮は木場という交番勤務の警察官が下っ端ではない、と言っていた。そして上にまだいるとも。
上というのは、警察の上層部じゃないかという気がするんだが。
そこと李の繋がりがわかれば、あと少しという気がする。
もう少し李の周囲を探ってみてくれるか。
染谷は、実行をリクにさせるのが条件と言った。100%じゃないとゴーは出さない」
コウはそう言うと、社長に向かって言った。
「リクはここに来るまで、どこにいたんだ」
社長はコウを見上げ、ゆっくりと首を振った。
「リクはさ、知られたくないんだよ。俺の口からは言えないさ」
コウは何も言わず部屋を出た。
自分の部屋のソファに体を預け、天井を見る。
リクの素性は、本当はどうでもいい…コウはそう思っていた。
自分の目に映っているリクが、今の本当のリクだから…ただ傷ついてほしくはない。それだけだ。
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