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『真理の扉』

*****



リクがミヤと組んで、ファイトクラブを襲撃することになった。

ミヤはリクのことを、コウの秘蔵っ子という目で見ていたが、今回自分を指名してくれたことに正直驚いていた。


「俺、まだあんまり他の人と組んだことがなくて、やりにくかったら言ってね」

リクが開口一番そう言うと、ミヤは恐縮してしまった。


「いや、俺こそ、まだ未熟者で…」

ミヤが言うと、


それを見ていたタニが、

「お前ら、それマジでやってんの? いいから、打ち合わせを始めろ」

と、呆れた声で口を挟む。


へへっと苦笑し、リクが打ち合わせを始めた。

「ギャラリーの前でやるっていうのが前提なんで、まずリングの近くまで行って、天井に向かって一発撃つ。

その方が注目を集めるからね。


そして対戦している強い方を殺る。1人目。


先週潜入したら、強い奴らはリングの傍で見てるんだよね。

だから、1人目を殺ったら、きっと出て来る。そこを殺る。


残り3人いっぺんに出てきてくれたら楽なんだけど、そう上手くはいかないかもしれないから、

ギャラリーがパニックになって逃げ惑う中から探し出さなきゃならない。

あ、出入り口は前もって塞いでおく。


そして最後に胴元の田所弥一を殺る。

田所を殺る時も、注目を集めたいから、一瞬静かにさせるためにどうすればいいか考えたんだ。


ふふっ、聞きたい?」

リクが珍しくテンション高めに聞いて来る。


するとミヤが、

「いや、サプライズにしといて、楽しみだから」

と答えた。


「オッケー」とリクが答え、打ち合わせを終える。


近くで聞いていたタニが首を傾げる。

(何だよサプライズって…殺し屋、だよな……殺しの打ち合わせ、だよな…)

ちくしょー、脳がバグる。



タニの脳がバグっているとは露知らず、2人はその夜の準備を始めていた。



*****



コウとシキミが、鈴本シイナの自宅へ行った。


張り込んでいた者によると、在宅しているらしい。

コウは部屋のドアをノックした。


返事はない。

もう一度ノックし、

「いるのはわかってるよ。話を聞きたいだけだ」

と声をかける。


奥の方で音がした。

やっぱりな、と思い、階段を降り裏へ回る。


既にシキミが鈴本を確保していた。

「まったく、逃げられると思ってんのかよ」

悪党顔のシキミが言うと、鈴本は恐怖で震えていた。


「まず車で話を聞こうか」

そう言って、2人は自分たちの車に連れて行った。

七隈彩の車は今は停まっていない。


「はい、では知ってることを吐いてもらおうか。

お前がしでかしたことはもうわかってる。

理由を聞かせろ」

コウが言う。


当然、鈴本は黙っている。


「七隈彩っていったっけ、お前が車を乗り回している…」

そういうと、鈴本の顔が変わった。


「彼女に聞いてもいいんだ。青葉国際大学1年生のナナクマアヤにな」

コウが、鈴本の頭によく浸透するよう、ゆっくりと話す。


「もちろん知ってるよな、俺たちの職業」

シキミが言う。


鈴本の顔色がなお一層悪くなってきた。


「会社吹っ飛ばされて黙ってるワケ、ねぇよな、わかるだろ」


鈴本が何か言おうと口を開くが、何を言えばいいのかまとまらず、魚のようにパクパクしている。


「理由だよ、理由!

なんでうちを狙ったんだって聞いてんだよ!」

コウが凄む。


「は、はい、答えます。

答えますから、彩さんには手を出さないでください。お願いします。

彼女は何の関係もないので…」


「いいから、リ・ユ・ウ!」

もう一度コウが怒鳴る。


「頼まれたんです、上の者に…教会の…

あの建物を燃やせって…」


「なんであの建物だったの」


「知りません。俺は言われたことをやるだけで、理由は聞いちゃいけないので」


「ふーん、知らないんだ。じゃ、用済みか」

シキミがコウに言う。


「だな。七隈彩も同罪だな。あの女の車を使ったんだからな、心中ってことにするか」

コウが言う。


「や、やめてください、お願いします、何でもしますから」

鈴本はシートに頭を擦り付けて懇願する。


「何でもねぇ…」

コウが考え込む。


「何でもってことは、会社1つ燃やした罪を償うってことだよな。

それなりのことをしてもらわなきゃ、許されねぇって、わかるよな?」


「はい、なんでもします!」

鈴本はもうこちらの言いなりだった。


「じゃあまず、お前に依頼した上司の名前は?」


「蒲生、蒲生芳樹といいます。

うちのナンバー2で、実務を取り仕切っています」


「教祖は七隈征爾だろ、教祖は何をやってるんだ」


「教祖様はお祈りをされます」


「ふん」シキミが鼻を鳴らす。


「信者は何人いる?」


「出家している人たちが50人、それ以外は150人くらいです」


「なんでお前がそんな大きな仕事任されたの?」


「俺は工業高校を出てて、電気系統に詳しいので…」


「じゃあ、あとはうちを狙った理由を探ってきてよ」


「ええーっ、そ、それは…」


「何でもするんだろーがよ!」

シキミがまた凄む。


「あ、あ、あ…」

鈴本が声を出せずにいる。


コウがシキミに、

「こいつには無理なんじゃねぇかな」


「ああ、まあな、言ってみただけだ。

しかし、どうやって探る?」


「蒲生に直接聞くのが早いだろうな」

コウが言う。


「そうすっか」

ふーっとため息を1つ吐き、シキミが同意する。


ひとまず今後の方針が決まった。


「お前、毎日協会に行くのか?」

コウが聞く。


「はい、行きます。

行って、お祈りして、それから何か用事がないか確認して、何もなければ帰ります」


「仕事は? どうやって生活してんの」


「協会の仕事をするたびに少し報酬をもらいます」


「ふん」シキミがまた鼻を鳴らした。


「じゃあ、いつも通りのことをしろ。

くれぐれも俺たちと接触したことを気付かれるなよ。殺されるぞ。

こっちも見張ってるからな」

コウが言い、鈴本を車から降ろした。


鈴本は、振り返り振り返り、アパートに戻って行った。


「大丈夫かな、あいつ」


「ま、生きるも死ぬも本人次第だな」

コウが言い、2人は会社へ戻るべく車を発進させた。


*****


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