『真理の扉』
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リクがミヤと組んで、ファイトクラブを襲撃することになった。
ミヤはリクのことを、コウの秘蔵っ子という目で見ていたが、今回自分を指名してくれたことに正直驚いていた。
「俺、まだあんまり他の人と組んだことがなくて、やりにくかったら言ってね」
リクが開口一番そう言うと、ミヤは恐縮してしまった。
「いや、俺こそ、まだ未熟者で…」
ミヤが言うと、
それを見ていたタニが、
「お前ら、それマジでやってんの? いいから、打ち合わせを始めろ」
と、呆れた声で口を挟む。
へへっと苦笑し、リクが打ち合わせを始めた。
「ギャラリーの前でやるっていうのが前提なんで、まずリングの近くまで行って、天井に向かって一発撃つ。
その方が注目を集めるからね。
そして対戦している強い方を殺る。1人目。
先週潜入したら、強い奴らはリングの傍で見てるんだよね。
だから、1人目を殺ったら、きっと出て来る。そこを殺る。
残り3人いっぺんに出てきてくれたら楽なんだけど、そう上手くはいかないかもしれないから、
ギャラリーがパニックになって逃げ惑う中から探し出さなきゃならない。
あ、出入り口は前もって塞いでおく。
そして最後に胴元の田所弥一を殺る。
田所を殺る時も、注目を集めたいから、一瞬静かにさせるためにどうすればいいか考えたんだ。
ふふっ、聞きたい?」
リクが珍しくテンション高めに聞いて来る。
するとミヤが、
「いや、サプライズにしといて、楽しみだから」
と答えた。
「オッケー」とリクが答え、打ち合わせを終える。
近くで聞いていたタニが首を傾げる。
(何だよサプライズって…殺し屋、だよな……殺しの打ち合わせ、だよな…)
ちくしょー、脳がバグる。
タニの脳がバグっているとは露知らず、2人はその夜の準備を始めていた。
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コウとシキミが、鈴本シイナの自宅へ行った。
張り込んでいた者によると、在宅しているらしい。
コウは部屋のドアをノックした。
返事はない。
もう一度ノックし、
「いるのはわかってるよ。話を聞きたいだけだ」
と声をかける。
奥の方で音がした。
やっぱりな、と思い、階段を降り裏へ回る。
既にシキミが鈴本を確保していた。
「まったく、逃げられると思ってんのかよ」
悪党顔のシキミが言うと、鈴本は恐怖で震えていた。
「まず車で話を聞こうか」
そう言って、2人は自分たちの車に連れて行った。
七隈彩の車は今は停まっていない。
「はい、では知ってることを吐いてもらおうか。
お前がしでかしたことはもうわかってる。
理由を聞かせろ」
コウが言う。
当然、鈴本は黙っている。
「七隈彩っていったっけ、お前が車を乗り回している…」
そういうと、鈴本の顔が変わった。
「彼女に聞いてもいいんだ。青葉国際大学1年生のナナクマアヤにな」
コウが、鈴本の頭によく浸透するよう、ゆっくりと話す。
「もちろん知ってるよな、俺たちの職業」
シキミが言う。
鈴本の顔色がなお一層悪くなってきた。
「会社吹っ飛ばされて黙ってるワケ、ねぇよな、わかるだろ」
鈴本が何か言おうと口を開くが、何を言えばいいのかまとまらず、魚のようにパクパクしている。
「理由だよ、理由!
なんでうちを狙ったんだって聞いてんだよ!」
コウが凄む。
「は、はい、答えます。
答えますから、彩さんには手を出さないでください。お願いします。
彼女は何の関係もないので…」
「いいから、リ・ユ・ウ!」
もう一度コウが怒鳴る。
「頼まれたんです、上の者に…教会の…
あの建物を燃やせって…」
「なんであの建物だったの」
「知りません。俺は言われたことをやるだけで、理由は聞いちゃいけないので」
「ふーん、知らないんだ。じゃ、用済みか」
シキミがコウに言う。
「だな。七隈彩も同罪だな。あの女の車を使ったんだからな、心中ってことにするか」
コウが言う。
「や、やめてください、お願いします、何でもしますから」
鈴本はシートに頭を擦り付けて懇願する。
「何でもねぇ…」
コウが考え込む。
「何でもってことは、会社1つ燃やした罪を償うってことだよな。
それなりのことをしてもらわなきゃ、許されねぇって、わかるよな?」
「はい、なんでもします!」
鈴本はもうこちらの言いなりだった。
「じゃあまず、お前に依頼した上司の名前は?」
「蒲生、蒲生芳樹といいます。
うちのナンバー2で、実務を取り仕切っています」
「教祖は七隈征爾だろ、教祖は何をやってるんだ」
「教祖様はお祈りをされます」
「ふん」シキミが鼻を鳴らす。
「信者は何人いる?」
「出家している人たちが50人、それ以外は150人くらいです」
「なんでお前がそんな大きな仕事任されたの?」
「俺は工業高校を出てて、電気系統に詳しいので…」
「じゃあ、あとはうちを狙った理由を探ってきてよ」
「ええーっ、そ、それは…」
「何でもするんだろーがよ!」
シキミがまた凄む。
「あ、あ、あ…」
鈴本が声を出せずにいる。
コウがシキミに、
「こいつには無理なんじゃねぇかな」
「ああ、まあな、言ってみただけだ。
しかし、どうやって探る?」
「蒲生に直接聞くのが早いだろうな」
コウが言う。
「そうすっか」
ふーっとため息を1つ吐き、シキミが同意する。
ひとまず今後の方針が決まった。
「お前、毎日協会に行くのか?」
コウが聞く。
「はい、行きます。
行って、お祈りして、それから何か用事がないか確認して、何もなければ帰ります」
「仕事は? どうやって生活してんの」
「協会の仕事をするたびに少し報酬をもらいます」
「ふん」シキミがまた鼻を鳴らした。
「じゃあ、いつも通りのことをしろ。
くれぐれも俺たちと接触したことを気付かれるなよ。殺されるぞ。
こっちも見張ってるからな」
コウが言い、鈴本を車から降ろした。
鈴本は、振り返り振り返り、アパートに戻って行った。
「大丈夫かな、あいつ」
「ま、生きるも死ぬも本人次第だな」
コウが言い、2人は会社へ戻るべく車を発進させた。
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