新たな脅威
いつも読んでくださりありがとうございます。
いよいよ第五章に突入してしまいました。
と言っても、何かが変わったわけではありません。
今まで通り、殺し屋たちが殺し、笑い、癒す、だけです。
引き続き、一個人の趣味にお付き合いいただけたら幸いです。
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皆が1か所を見つめていた。
見つめる顔は一様に赤く染まっている。
見つめる先の炎がチリチリと煤を巻き上げ、黒い煙を狼煙のように空へ空へと昇らせる。
「爺さんたちは無事か」
社長がそこらへんにいるものたちに聞く。
「ああ、ほとんどもう帰ってたしな。一番先に外に出た」
アガタが答えた。
「それよりタニは? データがどうのって言ってモタモタしてたぞ」
そういうシキミの後ろから
「ここにいる」
タニが煤で汚れた顔で答える。
「じゃあ、他には誰も残ってないよな」
社長が確認する。
「大丈夫だ。俺が最後だった」
タニが答えると、
「じゃ、すぐに解散だ。それぞれ自身で安全を確保しろ。
追って連絡する」
社長が言い、1人で残る。
タニは「俺も残りましょうか」
と言うが、
「いや、お前の目は鋭いからな。俺みたいに惚けた顔がごまかせる」
社長が言うと、タニも納得し、そこを去った。
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1時間前。
いつものように、タニが会社で仕事をしていると社長がちょっかいを出しにやってきた。
「社長、忙しいんですけど」
タニがうざそうに言う。
社長は嬉しそうに、
「忙しいことはいいことだね。みんなにお給料が払えるよね」
と言い、タニを一層イライラさせていた。
その時会社のそれぞれの自室には、コウ、リク、ナツ、シキミ、タマキ、イオリ、ザビらがおり、それぞれが次の仕事の準備をしていた。
それに最初に気付いたのはコウだった。
匂いだ。
いつもしない匂い。
何かが燃えている嫌な匂い。
すぐに部屋を出て、目の前の部屋にいるリクとナツに知らせた。
リクとナツに、各部屋に知らせるよう言い、コウが火元を探した。
ここに火災報知機は取り付けていない。
敵に利用されたらおびき出されるためだ。
火元が見つからない。しかし確実に煙が広がってきている。
シキミがコウに合流した。
「リク、ナツ、みんなに知らせたら、お前たちは家に帰れ。
油断するなよ」
コウが言うと、2人は頷いてすぐに外に出た。
他の者にも同じように伝え、社長とタニを見に行った。
タニが、「データを消したらすぐに行く」と言い、社長に先に行くよう言った。
コウとシキミが一旦ロビーに出る。
いつもロビーにいる老人たちは避難しているようだ。誰もいない。
「いったい火元はどこなんだ!」
シキミが周りを見回しながら怒鳴る。
「わからん…もしかしたら…」
コウが天井を見上げ、張り巡らされた梁を見る。
「あそこだ。やばいぞ、早く逃げないと天井が落ちる」
コウとシキミはすぐに外に出た。
社長は既に外にいて、建物を見ている。
会社の入った建物…屋根の形が鯨を模しているという、私立図書館…先代の趣味で集められた本が並び、老人たちが通い、コウたちの仕事の拠点となっている、それが…。
見る見るうちに炎に包まれ、火がゴウゴウと燃え、火花が散り、煤が舞い上がり、煙が渦巻いている。
消防車の音が聞こえてきた。
社長が、
「解散だ。きっと放火だ。皆油断するなよ。
私は消防に適当に説明しておく」
と言い、コウとシキミに「みんなを頼む」と続けた。
「了解」
コウが言い、シキミと少し離れた駐車場へと向かった。
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「許せねぇ」
拳を強く握りながらアガタが息巻く。
「落ち着け、みんな同じ気持ちだ」
シキミが宥める。
一旦各自自宅へ戻り、自宅は何の被害も、侵入された形跡もないことを確認した。
コウがそれぞれの無事を確認し、一時休業と伝えてから、シキミとアガタ、タニの4人の古株でモニター越しに話し合いをしていた。
「ユゲの情報では、放火には間違いないが、手口がまだわからないらしい」
タニが報告する。
「俺たちが見つけた時は天井の梁が燃えていたよな」
シキミがコウと確認し合う。
「天井に火をつけるって、弓矢とかボーガンを使うしかないよな。
そんなことやってたら、爺さんたちが気付くだろう」
「あの日業者の出入りはなかったのか」
「ああ、ない」
「じゃ…タイマーか。夜中にでも忍び込まれたのかもな」
「それしか考えられねぇな。
火が出る前のものしかカメラを見てなかったな。
前夜からのを確認するわ」
タニがそう言うなり確認を始める。
皆そのまま待っていた。
数分後、
「見つけた!」
タニが叫んだ。
「誰だ、こいつ」
言いながら、皆のモニターに共有する。
皆がモニターを食い入るように見つめる。
だが、その男を知っている者はいなかった。
「依頼されたのか」
「とにかくこの男を探す。会社近辺の防犯カメラを片っ端から当たる。
協力してくれ」
タニが言う。
「手分けしよう」
コウが言い、タニにデータを分配するよう言った。
最近入った者たちを除き、リク、ナツ、イオリ、タマキ、レイ、ザビ、オキに声をかけ、データを送る。
疑いたくはないが、念のためだ。
その男は、防犯カメラを避けているのか、なかなか見つからなかった。
プロだ。
しかし、そんなプロを雇って会社ごと破壊するほどとは…。
皆脅威を感じていた。
早く黒幕を見つけ、解決しなければならない。
そんな時、焦れたアガタが提案した。
「背に腹は代えられねぇ。
ユゲに頼んで顔認証システムで照会してもらわないか。
その方が早いだろ」
「ああ、それは俺も考えたんだが…あまり警察の手を借りると、会社が怪しまれるんじゃないかと思うんだよな。
そこまでされる恨みを買うなんてさ」
タニが言う。
「確かにな…」
皆が頷く。
「それは最後の切り札にしよう。
もう少し見て行こうか」
コウが言い、アガタも納得して地道な作業を続けたのだった。
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