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リア充応援計画  作者: 梅木 仁
始まりの始まり。
26/28

第二十六話ー現時点での位置を理解すること。ー

こんばんは!こんにちは!

作者の梅木仁です。

今話も文字数更新です…長いかもですが、どうぞお付き合いください!

小生、こと小畠逸太はオリエンテーションテストを29位という結果で終えた。結果的に小生は「生徒会への参加権限」を安全圏で獲得したわけだ。一方、小生と同じく6組、みっちゃんと芦湯さんもそろって権限獲得に成功している。芦湯さんに至っては、300点満点の堂々のトップスコアである。これには小生もみっちゃんも頭が上がらない。


ところで。問題は5組勢。その一報は太森俊によってもたらされた。

「俺、180位だ~!!!」

小生は一瞬、彼の順位が聞き取れなかった。芦湯さんに至っては、状況を瞬時に理解したのかすでに難しい顔をしている。みっちゃんもなんと声をかければいいのかわからないという顔をしている。


「やっほ~!って、そんなテンションでもないよね…」

九条さんが少し遅れて6組の教室に入ってくる。

「九条さんはどうだったの?もしかして…」

「私??任せてよ!なんと!聞いて驚け、アイスおごれ!堂々の9位であります!」

みっちゃんの(少しわざとらしい)不安そうな問いかけに、九条さんは敬礼して機嫌よくはきはきと答えた。

「あら、すごいじゃない。これは赤飯ものね笑」

「え!すごい!!私なんて28位…ライバルに後れを取ってしまった…。」

「芦湯さんありがと!というか私、佐々木さんにライバル認定されてたのね…笑」

みっちゃんが九条さんの知らない間にライバル認定されていたことに驚く。

ちなみに、芦湯さんの「赤飯ものね」へのつっこみはないようだ。

まあ、芦湯さんからしたら、1位以外はどれも「どんぐりの背比べ」なのだろう。

「で??小畠軍曹の結果はいかに~??」

九条さんが余裕な笑みを浮かべて聞いてくる。

「俺は…29位であります…」

「ははは、よいぞよいぞ!」

かっこつかない敬礼で九条さんに返答する。くっ…やはり一桁台に総合順位を乗せるということは努力が必要だ…次はもっと頑張ろう。少しふんぞり返って、右手で小生の肩をポンポンとたたいた。

一方、小生の肩をたたく九条さんに、芦湯さんが九条さんの後ろから肩をたたく。

「あらあら、九条大尉?上官を前にして頭が高いのではなくって?笑」

芦湯さんが得意そうな顔をしている。これはしてやったという顔だ。

九条さんは応えて立つように得意顔で振り返る。

「ほぉ~?九条大佐はいかほどで?ま、私の9位には遠ぉぉぉく届かないとは思いますが?あら~?それとも小畠軍曹よりも下位でいらっしゃって??」

九条さん、芦湯さんの地雷を踏みまくる。そして、彼女の踏んだ地雷はすぐには爆発せずに、威力を溜めに溜めて一気に彼女の前で炸裂するのである。

「そうねぇ。あなたの順位を9分の1にしてみなさい?それが答えよ。」

芦湯さんはまるで獲物をじっくりと楽しんで、食べごろを待っている獣のようだ。もはや地雷の威力などではない、これは食うか食われるかである。

小生は、驚くなかれ九条さん、ここにいるのは虎ぞ、と心でつぶやいた。

「面白いことをおっしゃるんですね、芦湯大佐は。10倍の間違いではなく?笑」

「間違っていないわよ。そうでしょう、私の『唯一』隣の席の小畠軍曹が確認しているんですもの。」

げげげ!小生に振るなよ…芦湯さん。芦湯さんは小気味よい顔をしている。なるほど、小生にも飛び火させて楽しんでいるわけだ。小生は渋々と答える。

「ま、まあそうだね…満点で1位だもんね…」

「は?…1位って…え…マジなのですか大佐…」

小生の言葉に九条さんは仰天して言葉が続かない。そりゃそうだ。九条さんの9位も十分すぎるくらいすごいことだけど、今回は敵が悪すぎた。

「佐々木軍曹、異議あり!」

「あら、何かしら。言ってみなさいな。」

「なんだかそれだと『コバくんの隣の席が芦湯さんだけ』みたいに聞こえるので、撤回すべきです!コバくんの隣の席は私も同じくです!」

「だから、私から見たらって意味じゃない笑」

「それでもなんだかダメ!!!」


なんだかんだで盛り上がっているところ、俊が置いてけぼりになっている。

「ってこっちはこんな具合にして、で?太森くんは、どんな点数取ったのよ。それ次第で来年までの計画が立てられるわ。」

4人の会話の中で静かにフェイドアウトしていた俊に声をかける。

芦湯さんは行動が早い。すぐに次のことに目を向けている。確かに今回のテストで参加権限を逃した人が来年まで待たなければならないが、準備をする時間は十分にある。芦湯さんの言う通り、早めに計画を立てて実行に移すべきだろう。ただ…。

「芦湯さん、ちょっと待って。あなたはすぐに切り替えをしていけるかもしれないけれど、必ずしも太森くんができるとは限らないよ。」

みっちゃんがすかさず横槍を入れる。小生もそれを言いたかった。入学して仲良くしていた4人が全員無事に参加権限を手にしている中で、自分だけ獲得できなかったことに対するつらさはよくわかる。そして、小生としても、コバが獲れなかったことについてどう反応すればいいのかわからないでいる。

ただ、これがきっかけで関係がこじれてしまうのはどうしても避けなければならない。ここにいる5人はきっと「リア充応援計画」の実行のために欠かせない存在になっていくとわかっているからだ。

「ごめんよ…やっぱりもともと出来が悪いから…。」

確かに俊は中学では野球部だった。それゆえに成績は中の中から下であることが多かった。とはいえ、春休みの間に小生は小生なりに、俊は俊なりにやれることをやろうと決意して過ごしてきた。きっと彼の熱意とは別にやり方が悪かったかなど、別の問題があるはずだ。

「大丈夫だよ!太森くん、今回は少し問題がまずかったからね…。これから挽回していこう!そして来年は参加権限を獲る!」

九条さんはやはりいつも明るい。ムードメーカーというキャラなのだろう。

「というか、あんな問題見たことなかったよ。どうやって解くの?ってなってた。」

俊の本音が漏れる。小生は俊がうまく得点できなかった理由がわかった気がした。おそらく俊と小生では春休みにしていたことが明らかに違う。

「なるほど…多分なのだけれど理由がわかったわ。ちなみに春休みは何をしていたのかしら。」

「昔の本を読んでたな…あとは体力づくり。」

「つまり、太森くんは高校の内容の勉強をしていなかったってことね。」

芦湯さんがはっきりと私見を述べる。ストレートすぎるのが玉に瑕だが。

「確かに全くしてない…コバはしてたのか?」

「そうだな…俺自身、高校に入ったらやりたいことあったから学習内容はできる限り早めに済ませておこうと思って…できる限りやりこんでた笑」

小生の春休みの行動に驚く俊。続いてみっちゃんが残酷なことを言う笑。

「ちなみにね、太森くん、オリエンテーションテストの問題、3教科とも高校卒業までの学習内容全てから出題されてたよ。私も問題用紙を透かして見てたけど、めっちゃ驚いて焦った焦った笑。まあ、それでも満点を取る人が目の前にいるけどね…笑」

「そうだったのか…そりゃ手も足も出ないわけだ…。」

俊は苦笑いを浮かべながら言った。

「って思うじゃん?笑」

みっちゃんが微笑んで続きを話す。今回のテストで得点できるかで大切なのは、そこからの話なのだ。小生も「なぜ得点できたのか」と問われれば、彼女と同じ話をするだろう。

「今回のテストは私とコバくんの点数から考えて、部分点に配点の比重が重く置かれてると思うよ。つまり…」

みっちゃんは一呼吸おいて、強調するように言う。


「最後まであきらめずに取り組んだ人を評価してるんだよね。」


俊はその事実を聞いて、小生の顔を見る。小生はこくりと首を縦に振る。


世の中には理不尽なことばかりで、そして突如としてその理不尽は訪れ、残酷な現実を小生たちに突きつける。実際、小生たちはこのどん底の日本に好きで生まれたわけでなく、両親たちの勝手な理由でこの世の中に存在しているといえるだろう。金も、資源も、あらゆるものが搾取の対象となる。格差は当然に存在して、上流層は平気で人をこき使い、奴隷のように虐げる。それに対する社会不安・不満が引き金となって、ドンジンの乱に見られるような反乱だって起きている。その「反抗の意思表示」ですら、強力な植民地国によって蹂躙され手段なく鎮圧された。

それ以降、実際反旗の兆しはない。誰も何も言わなくなった。「嵐の前の静けさ」か、「雨降って地固まる」か知らない。ただ現実として、この国に覆いかぶせられている奴隷のような社会情勢は何も変わらない。

保身のためか。恐怖政治のせいか。それとも人々がこの現状を甘受して思考放棄したからか。

小生はそんなことは知らない。ただし、そう簡単に思考放棄することなく、その理不尽に、不条理に、不合理に、ひるむことはあっても逃げずに敢然と立ち向かう人、そういう人があのテストにおいて得点することを許される、否許されたという事実は厳然としてあるわけだ。

そして、そういう有志にのみ生徒会への参加権限が認められるのである。


「くっ…なるほど…佐々木さんの言ってる意味が分かったわ…。」

俊はうなだれて悔しそうな顔をする。

「ま、繰り返し言うけど、そんな人を尻目に満点を取る人もいるんだけどね笑」

「あら、佐々木さん。私への当てつけかしら?私は私の全力をもって臨んだだけよ?さげすむためとか、マウントを取るためではないわ。」

「ふ~ん。どうだか~」

「まあまあ~二人ともけんかはだめよ~!」

芦湯さんははっきりとした物言いをする。みっちゃんはよほど何か釈然としないものがあるのだろう。九条さんが二人をなだめる。

「よし…とりあえず今の居場所がわかった。コバ、俺、がんばるわ!」

俊が元気を取り戻してくれたようだ。前向きになってくれたのなら嬉しい。

そろそろ二限になる。教室内も徐々に席に着く人が増えている。

「それじゃあまたね、小畠くん、佐々木さん、芦湯さん!」

「んじゃの~!」

5組の二人が帰っていく。そして小生たちも席につく。


二限目のブザーが鳴る。

「それでは、まず、生徒会活動に関する役職から決めましょうか。ええっと、皆さん、立候補できる人は各自で自覚があるとは思いますが…。名簿は必要ですか?」

「はい、先生!いりませ~ん。」

藤原さんが佐伯先生の進行に口を挟む。それにクラスは何も言わない。まるで彼女に従うことを約束しているようだ。まあ、入学したばかりで人前で目立つようなことをすると、やばい奴認定されかねないから、誰も何も言わないのかもしれない。

「先生、恐縮ですが、名簿を確認させてください。」

小生は黒板向かって右手の席の人が挙手しているのを確認する。みっちゃんだ。

「ええ、佐々木さんですね。なぜでしょうか。理由を。」

佐伯先生が咳払いをしたのち、語気が明らかに強くなった。おそらく休憩の時間に調整していた台本と違う結果になったことで機嫌を損ねたのだろう。

「まだ、この6組は各自が自己紹介をしていませんし、生徒会の役職ともなればクラスの代表となるわけです。名前を覚えて応援したいです。」

みっちゃんのその姿はかっこよかった。背筋の整ったその立ち姿に、きれいな髪が映えて美しく見えた。

「わ、私も佐々木さんに賛成です。同じ理由で確認したいです。」

初めて聞く声だ。教室の中央の前から二番目の席の少女がすっと挙手して発言する。顔までははっきりとは見えないが、芦湯さんとみっちゃんと違って黒髪ショートの子だ。

「ええと、櫛引さんも同じ理由ですか。」

「ええっと、僕も希望します。」

今度は小生の前に座る男子が発言する。坊主の少年、野球部出身の俊をほうふつとさせる。

するとどうだろうか、教室の各方面で「教えてくれ~」「しりた~い」「おまえは勉強教えてもらうためだろ」と徐々に手が挙がる。

「あ~、はいはい、わかりました。開示しますから静粛に。呼ばれた人は起立してください。」

佐伯先生は渋々名簿を取り出して読み上げ始める。


「はい、以上17人です。」

読み上げが終わって、立っている17人の顔を小生は改めて見回す。

前の席の野球部っぽい男子、山内公志やまうちこうし

さっき発言してた前の席の女の子、櫛引ちよこ(くしびきちよこ)、

後ろの席の暗めな女の子、斜々里もみじ(しゃしゃりもみじ)。

う~ん、さすがに17人もいると覚えきれない。

そしてもちろん小生の両隣、芦湯成美と佐々木由梨乃。

そして、小生、こと小畠逸太。

第一関門を突破し、生徒会への参加権限を手にした17人は、こうしてお互いの顔を初めて認識した。


最後までお読みいただきありがとうございました。

今話は5000字ほどありました。長かったから二話分相当なのですが、話の流れで一話投稿にしました。先週は投稿していなかったこともあり、長くなりました。その節は読者の皆さんにはご迷惑をおかけしました。

さて、登場人物たちがどんどん出てきました。筆者もメモを片手に頭をフル回転させながら書いております(笑)彼らが彼らなりに精一杯生きている様を小生も精一杯書いていきます。そのためには本を読んで勉強しなくては…(-_-;)まだまだ研鑽が足りぬ小生でございます。


かつて、ギリシャの哲学者たちはそれぞれが農地をもって、奴隷たちがいた。だから暇になっていろいろなことを考える時間があった。したがって自然科学や社会・人文科学の基礎が築かれた。

もしかしたら、何かを考えていられる時間があるということは、暇、否、恵まれていることなのでしょうか。そして、その「恵まれる」というのは、どういうものなのでしょうか。

小生は今、こうして確かに小生の脳で考えて、文章を書いて、誰かに伝えたい想いとともに、投稿させていただいています。

小生は最近、「恵まれる」というのは人それぞれなのではないかなと思うようになりました。確かに、物質的・社会的に貧富の差は目に見える形で存在すると思います。ですが、それがすべてではないということを思うようになりました。

人間は欲望と理性を合わせ持つ動物です。構成要素そのものに欲望があるということが、いつまでたっても満たされることのない存在ということではないのでは?(まあ、その欲望にどのような、理性という名の鍵をかけるかは人それぞれですが。)ですから、それぞれがそれぞれのステージで、それぞれの葛藤があって。それを比較する必要はないんじゃないかなと。

「妹さえいればいい」というライトノベルでおなじみの平坂読先生は、先生のラノベ「僕は友達が少ない」の三日月夜空のセリフとして、こういうことを書かれています。


「自分を哀れんでいいのは、自分だけだ。」


小生とて、こうして物質的にも社会的にも健康体でいさせてもらっているのは親のおかげだし、ここでいう読者さんをはじめ、小生の人生に関わってくれた皆さんのおかげです。本当にいつもありがとうございます。

そんなことを思う、この頃の小生です。理想ばっかり吐いててごめんなさい。


最後に事務連絡です♪

特にはありません!これからも頑張って生きていきます。

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