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リア充応援計画  作者: 梅木 仁
始まりの始まり。
25/28

第二十五話ー壁を越える者たちと壁に阻まれる者たちー

こんばんは!こんにちは!どうも梅木仁です(^^♪

二週間ぶりの投稿となります。読者の皆さんには、お待たせしてごめんなさいです。

なお、お詫びということではないですが、

今話は通常話よりも少し長めになっております!

それではどうぞ!

トイレから戻っても、教室は騒然としていた。

そりゃそうだ、テストの前に伝えられていたのならともかく、次の日の朝礼でいきなり言われたのである。そして、すでに採点と集計も済んでいる。つまり後出しじゃんけんである。そんな中でも藤原さんは平気そうな顔をしていたけれど・・・。

小生はもう一度佐伯先生の言ったことを整理する。


「160位内に入らないと、生徒会に参加する資格がない」


端的に言えばそういうことだ。

まあ、整理して考えれば、自分の人生の出世に大きく影響する教職員と、入学して3年も経てば卒業する生徒との関係において、生徒会の所属会員を上位層という「良識的で、従順な支配しやすい生徒」に限定してしまえば、血気盛んな若々しい若者たちを効率よく教育できる。自我が芽生え始めの思春期ほど、大人にとってうるさくないものはないのかもしれない。その点で「その目的のためだけに」生徒の自由を制限することはありえないことではないだろう。

つまり、客観的に言えば、それらの制限が今の日本の学制の中で平気で認められているという事実と、公教育において生徒をどう抑え込むかが、もはや出世のための必須条件になっているという真実に、小生自身言葉もないのは言うまでもない。


そして、もう一つ気がかりになってきているのは、オリエンテーションテスト当日までに腎道生徒会長からは「何も」言われていなかったということだ。小生的にはむしろこちらの方が不可思議に感じられる。ただ、生徒会長という役職上、一部の生徒だけにオリエンテーションテストの結果がもたらす影響について告げておく、ということは公平の観点から差し控えたのかもしれない。その点で、おそらく藤原さんを除いて、一年の全学級で、6組で起きたような動揺は存在するだろう。

だが、その予想は極めて空想に過ぎない。なぜなら廊下から見えた5組の様子はいたって騒然とした感じではなかったからだ。

さらには、「生徒会への参加権限」ということは、単純に生徒会の主催するイベントへの参加権限、並びに生徒会役員や、生徒会長の選任権が付与されるかどうか、ということにもつながってくるだろう。つまり、「リア充応援計画」の実行に向けて、生徒会への参加権限は絶対必要になる。今はまだまだ仲間探しの段階なのだが、計画実行には少なくとも小生、俊、芦湯さんに関しては必要な人材となるのは間違いないと小生は考えている。

そう考えると、今競い合っているアイスなんて安いものだと思えてくる。


ただ、もはや決まってしまったことだ。いろいろ考え込んでいても仕方がない。

小生はぐっと奥歯をかみしめる。


そして、教室内の動揺と小生の不安をよそに、授業開始のブザーは空しくも鳴る。

さあ、成績発表だ。

「きっと、大丈夫だよ!」

「ええ、人事を尽くして天命を待つ、ね。」

みっちゃんと芦湯さんが、席に着いた小生に聞こえるか聞こえないかというような声でつぶやく。小生は、ふっと息をついて筆箱だけだして結果を待つ。机の下の足は時折がたがたと震えて机を揺らす。ここ一番での緊張がはんぱない。

佐伯先生が教室に入ってくる。

「はい、では藤原さん、号令を。」


ちなみに、まだ学級組織が決まっているわけではないので、本当ならば日直の登板も決まっていない。なのに、こうして先生によって勝手に日直に指名されて、号令をしている藤原さんにはやはり不信感が募る。さっきのトイレ前での発言といい、彼女の正体がわからない。少し距離を取るべきだろうか…。


「はい!先生。きり~つ!」

彼女の声が騒然としていた教室にキリっとした空気に換える。

「れい!ちゃくせ~き!」

気もそぞろな小生は、少しピクピクしながら椅子を引いて座る。脳天からつま先にかけてやはり震えは止まらない。

そして、佐伯先生は開口一番、やはりその言葉を発してきた。

「それではオリエンテーションテストの結果を配布します。ランダムに呼んでいきますので、前まで取りに来てください。」

ごくり、と小生は唾をのむ。自然と教室内に緊張が走る。

「芦湯成美さん、藤原希海さん、床原拓海くん、柳優太くん…」

いきなり芦湯さんから呼ばれた。けども、50音順が理由ではないようだ。

「…工藤あきらくん、佐々木由梨乃さん…」

みっちゃんも呼ばれた。ただ小生が呼ばれる気配はない。

そして結果が渡された人たちは一喜一憂している。芦湯さんとみっちゃんはというと、結果が記された短冊をそっと机の中にしまったかと思うと、目を閉じてうつむいている。うまくいかなかったのだろうか…。

「そして、最後に、小畠逸太くん。」

小生の前に呼ばれた「林駿くん」から、間が開くこと3秒だろうか。小生は震えを隠しながら、すっと立ち上がり、教壇に向かう。小生が最後ということもあり、ほかの人はみんな着席しているから余計に目立つし緊張する。もちろん、多くの人は自分の成績に夢中で小生のことなど気にしていないようだが。

教壇に立つ佐伯先生は優しそうに少しだけ微笑みながら、小生に短冊を渡す。

「よく頑張ったね、小畠くん、その調子だよ。」

小生は、先生の表情の意味を理解しきれないまま、短冊を受け取る。

受け取ってすぐに結果が見えないように二つ折りにして、着席する。

160位から漏れていたらどうしようかと考えてしまって、怖くて怖くて結果なんて見ていられない。


席に着くと、両隣はすでに顔をあげていた。

「は~い、それではテストの結果は以上です~。今からは学級の時間になります。人事を決めますので、前に書いていくうちでやりたい役職の候補を決めてください。皆さんには二限のときに聞きますのでそれまでに。」

そう言って佐伯先生は黒板にクラス人事の役職を書いていく。


役職には主に二種類ある。

一つに、校内の委員会活動として存在する学級長、広報委員、保健委員、風紀委員の役職である。忘れてはならないのが、これらの役職には成績要件が課されているということだ。当然、生徒会活動の一環として委員会活動に従事する関係で、役職に立候補する者に対する「同意権」はあるものの、選任権はない。

もう一つはクラスの提出物などを収集する係、備品担当などのクラス内の事務的な役職だ。これにはクラスによっていろいろな係を設置できるようであり、各教科の教職とのパイプ係や、担任の学級活動への補佐係などがある。


役職を書き終わってすぐ、先生は掲示板へのテスト結果の張り出しのために、教室を後にした。そこからは「なぜか」藤原さんが前に出て、役職の説明をしてくれた。彼女によるとどうやら役職について説明するように前日から言われていたらしい。

藤原さんの説明が終わったところで、クラスが少し騒がしくなる。けだし、「委員会活動の役職に適格があるのは誰か」でテスト結果の探り合いが始まったからだ。

「ねえ、コバくん!芦湯さん!どうだった??テスト!」

みっちゃんが声をかけてくる。その声は少し弾んでいる。

「ま、私は予想通りだったわ。ええ、まあ。」

「え、芦湯さん、予想通りって、満点!?」

「うっそ~!そんなことってあるの?見せてよ!」

小生とみっちゃんは小声だが、小声で驚く。

あの難しいレベルのテストをこの歳で完璧に解ききるのか…。

「ええ。あのくらい、私にとってはお遊びレベルよ。」

それにしても、100点だけでもすごいのに、まさか300点をたたき出すなんて…。

試しに短冊を見せてもらう。そこには、「芦湯成美:総合得点300点、総合順位1位、国語100点、数学100点、英語100点」と書かれている。つまり、圧倒的な大差でアイス対決は勝利したわけだ。

そして彼女の頭脳がとてつもなく明晰であることがわかったと同時に、これで芦湯さんの生徒会への参加権限は確認できた。人のことだが心から嬉しい。

「マ、マサカ~。本当に有言実行するなんて…。」

「まあ、佐々木さんはテスト中の様子からして、少し取りこぼしがありそうね。笑」

「私だって!!まあ、目標には届いていないけど…なんとかなったもん!生徒会参加できるよ!!」

みっちゃんの短冊には、「佐々木由梨乃:総合得点228点、総合順位28位」と書いてある。各教科のところはどうやら隠している。

「二人とも本当にすごいな~!おめでとう!」

小生は心の中で、二人ともすげえ…としか言葉が出てこなかった。小生はまだ自分の結果を見ていないけれど、160位から漏れてしまっているんだろう…と少し情けなく思う。

「っで、あなたはどうだったのかしら、小畠くん。」

「そうだよ!!私たちはもういいの。コバくんはどうなの??」

二人の追及に隠そうとしていた机の中の短冊を取り出す。

「二人とも、見ていいよ…。どうせ最初からだめだったんだ。あんな問題、解けるわけない。高3レベルなんて…」

「そんなことないでしょう、あのくらい、きっと小畠くんなら春休みの予習で得点できているわ。」

「そうだよ、コバくん。今回のテストの配点の割合、ぐちゃぐちゃだよ?それにきっと部分点がけっこう加算されているもん!」

「みっちゃん、それってどういうこと??」

小生は質問する。

「え、私だって、数学の微分積分問題とか、ベクトルの問題とかの問題は意味が分からなかったし、英語は読めないし、国語の古文漢文は苦労したよ…。でも結果的に、28位なんだし、きっと何かあるよ!」

「でもさ…自信ないよ…俺は…。」

「小畠くん、まだ結果を見てないんでしょう?私たちが先に見てもいいかしら。」

「そりゃ、満点には敵はいないからね…いいよ。」

小生は落ち込みながら、二人に小生の短冊を渡す。

教室は騒がしい中、3人の中に数秒の沈黙が流れて…

「ま、こんなもんなのかしらね。残念だわ。」

一番に声をあげたのは、少しほっとしたような顔をした芦湯さんだった。満点女王にこんなことを言われても、なんと返せばよいのかわからない。

「うん!コバくん、私とお隣だね!」

こういってくれたのは、みっちゃんだ。彼女は満面の笑顔で言ってくれた。

「じゃあ、読み上げるわね!ええっと~小畠逸太くんの得点は~…」

「ちょい待って、芦湯さん!みんなに聞こえちゃうじゃん!それにまだ俺が見てない!」

慌てて小生が制止に入る。

「え、あ、そうね…笑」

小生を茶化す芦湯さんの顔はさっきの、自分の結果を教えてくれた時よりも嬉しそうな顔をしている。芦湯さんはそっと短冊を返してくれた。

「小畠逸太:総合得点219点、総合順位29位、国語60点、数学84点、英語75点」

その数字を確かめて、小生は初めて、ほっとした。

教室の横に並んだ3人が、こうして160位以内に入れたことは奇跡だろう。あの問題を前にして、地獄のような思いをしながら死に物狂いで解いて、勝ち取った得点に心から喜びを感じた。


「さて、どうしましょうか、クラス人事は。」

「そうだね~なんか面白いのないかな~!」

テストがひと段落して、もう切り替わる二人を見て少し気後れしそうになる。

「そうだな、俺は学級長でもやろうかな。」

気後れ気味な小生は、何の気なしに話題を合わせるためにつぶやいてしまう。

「いいんじゃないかしら。推薦するわ。」

「いいね~!コバくん、決定だね。」

「ええ~ちょっと待って待って!!」

小生は半分どころか、90%くらい冗談で言ったんだけど!って焦って釈明しようとする。

「え?なになに~小畠くんが学級長やるって~??」

少し、小生は気まずい顔をする。会話に入ってきたのが、あの藤原さんだからだ。

少なくとも、入学式のの感じだとみっちゃんには彼女に対しては少しの不信感もないだろう。そして、芦湯さんに至っては、初見になる。

「あ、芦湯さん、だよね!私、藤原希海って言います!よろしくね♪」

弾んだ声の彼女に、芦湯さんは丁寧に自己紹介して返した。

「で、小畠くん、学級長やりたいんだ~!ふぅ~ん!へぇ~」

何かものを言いたげな藤原さんと、なにかしらのわざとらしさを感じる小生。

「ね~!いいでしょいいでしょ!藤原さん!」

「そうだね~まあ、いいんじゃない?結構大変だって聞くけど笑」

みっちゃんは藤原さんと会話を弾ませるが、芦湯さんは頷いて、首肯するだけで声には出していない。それよりか、ちらちらと小生のほうを見ている。

そうこうしていると、一限終了のブザーが鳴った。

「ん~!じゃあね三人とも!私少し用があるから~」

そう言って、藤原さんは去っていった。

「ね~芦湯さん、日直もやって、なかなかいい子でしょ?」

みっちゃんの率直な言葉に、芦湯さんは答えを逡巡する。小生が聞いていても、みっちゃんの言い方があまりにも純粋だったからだ。

「そ、そうね…なんというのかしら、不思議な子、って印象を受けたわ。」

芦湯さんの目には、確かにその得体の知れなさが映っていたのかもしれない。いつもはきはきと話す芦湯さんの言葉には、うっすらとしか覇気を感じない。


そんな矢先である。

「コバ~~!!ちくしょ~~!!」

この声は、5組の俊だ。

「俺、180位だ~!!!」

その言葉を聞いて、小生は一瞬、目の前がまっくらになった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本作品始まって以来、一番多い文字数となります。本当に最後までありがとうございます。

書いている時間が夜も近いのですが、寒くなってきて小生もマスクが欠かせない季節になってきました。これからは就活だの公務員試験だの卒業論文だのいろいろ忙しくなりますが、ペースは落ちてもちゃんと執筆していきます(`・ω・´)ゞ

がんばるぞ!!

そんなわけでこれからもよろしくお願いします。

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