第二十話ー闇があるってことは、光があるってこと。ー
こんにちは、こんばんは!梅木仁です。
大変お待たせいたしました!
三週間ぶりの「リア充応援計画」更新となります!
それではどうぞ!
九条さん宅に集まったその日、結局、その後芦湯さんとも連絡先(「ヤブミ」という今年の三月に運用を開始した私的連絡アプリのアカウントコード)を交換して、九条さん宅をあとにした。まあ、小生は部屋を出て、アパートの外まで見送っただけで、そのあとまた自分の部屋に戻るというだけなのだが・・・笑
ところで、芦湯さんの見せた、というより瞳に浮かんだやる気は解散の最後まで衰えることはなく、帰り際も小生に声をかけてきた。
「そういえば小畠くん、明日朝、少し早く登校できるかしら・・・?」
「お、コバ、いろいろあるなら俺はいいぜ~!明日は集合なしな~!」
「俊があらかじめそう言ってくれると嬉しいよ、明日はなしってことで!」
「ん?なんで小畠くんは太森くんだけに聞くかな・・・?」
「え、そもそも九条さんと一緒に行く約束してないじゃん!」
「九条さん、なんなら次々回から一緒に行く?笑」
小生は提案するも、九条さんは顔を赤らめ、ふくれっ面になる。
「ふん!いいもん!私はみっちゃんと行くから!」
「ちょっと!九条さん!私に決定権はないの!?だいたい私NR組だから集合って言っても遅延したら・・・」
「わかったわかった、明日はゆっくりめに、七時二十分に集合にしよ、そしたら佐々木さんも九条さんもちゃんと来られるだろ?」
俊の建設的な提案に二人は笑顔でうなずく。まあ、俊は「次々回から」と言ったけれど実質は明日になったわけだ。
「私たちは何時に・・・まあ、あとで小畠くん宛てにヤブミするわね」
「承知した、芦湯さん。時間はそっちに任せるよ。」
「あと、生徒会長さんのアポイントなのだけれど・・・目途はついているのかしら?」
「アポはまだだけれど、学校終わりには会えると思う。生徒会室に行かないといけないけれど・・・。」
生徒会室と言った瞬間、みっちゃんがビクっとなる。
「そうね・・・少しそこも検討しておくわ笑」
芦湯さんの言う「検討」の意味は判然としないけれど、とりあえず小生は頷いた。
そんなこんなで小生たちは解散した。
アパートの前の道を歩いて行く三人の背中を見ていると、
「まあ、明日のテストの結果は私が勝ちよ。あえて話題にしなかったけれど笑」
芦湯さんがちゃっかり言っている。本題を忘れてた。そうだ、明日はテストの返却もあるんだった。
「も~せっかく黙ってたのに!芦湯さん!とかいって私の圧勝だから、しっかり覚えておいてよね!」
「九条さんもムキになっちゃって・・・テストはもういいじゃん、せっかくバスターで気分転換したのに・・・」
「ま、俺はもう半分は勝負降りてるけどな・・・笑」
小生はぽろっと本音を漏らす。
内心、テストの点数の競争なんて、きっかけであってそこまで大切じゃないと、四人と話していて思うようになっていた。確かに切磋琢磨みたいな意味こそあれ、別にそこに競争とか勝者への嫉妬とかそういう感情はないに等しい。
最初で「最期」の高校生活を友人たちと楽しく。ただそれだけだった。そのためにつきあえるような友人を探したに過ぎないのだ。
解散して、小生はしぶしぶ見送った道を帰る。
そう、九条さんの向かいが小生の部屋なのだ。
「あれあれ~??小畠くんは帰らないのかな~??」
九条さんがさも小生の部屋を知らないかのように言ってくる。こやつ・・・人を小馬鹿にして・・・笑
「おう、ここが家だし!」
普通の返しに九条さんは少し面食らったようだ。
「ふ~んまあ、いいや!それじゃ今度は小畠くんの家でやろうね」
九条さんの最後のひとことに小生は面食らう。
確かに小生の部屋も九条さんの部屋と同じ間取りなので五人は入れないこともない。今日も結構窮屈かと思っていたら、九条さんの部屋がある程度整理されていたので余裕で入ることができた。それでも小生にとっては「女子が小生の部屋に来る」という事柄、事象、概念が理解できなかった。それが実現したら多分青春みたいだけれど、そんなことがあるのだろうか・・・。
「ん?黙っちゃってどうした?笑」
九条さんに言われて我に返る。
「お、おう、そうだな。今度はそうしよか、じゃあな!」
小生は無難に反応しながら慌ててしまった。
部屋に戻った小生は特にやることもなく、リュックを片付ける。
片付けながらクリアファイルに挟まれたテスト問題がちらっと目に入る。
目に入った問題は数学の三次関数の極大値、極小値を求める問題だ。
こんな問題、普通に中学校から入ってきた人間に解かせる問題か?そもそも小生は春休み、いいや、高校の勉強は中学校のうちに自力で終えたからこそ問題の意味も理解できたわけだけれど・・・。
オリエンテーションテストであのレベルを出題するということは、数日後に始まる授業はどんなことをするんだ?それこそ大学とかで学習する内容でもやるつもりなのか?
こうして、自分の部屋に戻って、パーソナルスペースで冷静に分析してみる。
とはいえ、レースはレース。アイスのごちそうがかかってるんだから気を抜けない。といってももうどうしようもないけれど。
九条さんは多分ノリだからそこまで高得点じゃない。
俊については多分小生が勝ってる。理由は中学校のときの感じなら勝てる。
みっちゃんは2位か3位に付けてくるくらいの妥当な成績を固めてくるだろう。
となると、やっぱり1位争いに食い込んでくるのは芦湯さんだと考えられる。
第一印象として話し口調といい、立ち振る舞いといい、気品があって、お嬢様という感じだし・・・印象は真面目、好少女だろう。別に他の三人がバカそうだなとかそういうことではなくて、英才教育を施されているような気がする。
そんな、明日になれば自ずと結果がわかることにいちいち頭の回転を使っていたら、気づかない間にあたりは薄暗くなっていた。眠ってしまった・・・。
ここ二日でいろいろなイベントがあったせいか、少し処理落ちしていたのだろう。
気づけば目覚まし時計は、十八時を指していた。
そこでもお腹は減っていない。おそらくバスターの飲み物が高カロリーだからだろう。
小生はパソコンをつけて、ウハキャスを開く。
ウハキャスは、開いて自分のアカウントページに進むと、自分の登録した配信主の配信開始の通知が来るシステムになっている。通知はヤブミとも連携することができるが、小生はその設定はしていない。
小生の通知欄には「アシュナリ-」という名前が書かれている。
どうやら昨日お邪魔した配信主さんが今日も配信しているようだ。
「どうもこんばんは!アシュナリーさん!」
小生はコメント欄にコメントするとそこのコメントが読み上げられて、
「あら~フィーブさん!今日も来てくれてありがとう!こんばんは!」
少し聞き覚えのある声だけれど、多分アニメか何かで聞いた声だろう。
「ちょうど配信始めたばかりだったんですよ~、1コメはフィーブさんですね!」
そうか、昨日も確かにこの時間帯に配信してたな。
「まだフィーブさんだけですね~今日はどうでしたか?昨日は入学式・・・となると、今日あたりは部活見学ですか?笑」
それが二群校では普通なんだけれど、小生は三群校なんだよな・・・。
小生はコメントする。
「テストでしたトホホ」
「へえ!珍しい!フィーブさんの出来映えはどうですか?」
「いやぁ~これがもう壊滅パレードでして・・・笑」
「あらら・・・スタートダッシュからおおこけですか・・・」
「そうなんです・・・順位の競争で負けるとアイスおごらないといけなくて・・・涙」
「それは大変ですね!今からでも拝みましょ笑あ、ちょっと離席しますね!」
「はい!アシュナリ-さん!いてらです!」
小生はコメントを送って。彼女はそれに答えて。
一見、無機質で、不安定で、ある人は何か書けているように感じてしまうかもしれない。
声豚、と言われる声優さんが好きなオタクである小生は確かに世間的にはニッチだろう。
でもそこには目には見えない「つながり」が、ここに確かにあるのだ。
それが正しいか否かを決められるものはどこにもない。
ただそこにあるのだ。
あ、そういえば、と芦湯さんに明日の集合の時間を決めるためにヤブミを確認する。
やはり1時間前に芦湯さんから明日の集合時間についてヤブミが入っていた。
「6:50に駅集合でどうかしら」とあった。小生は問題ないので「承知です!よろしく!」と打ち込んで送信する。
小生は、この「最期の」高校生活三年間でやりたいことがたくさんある。
きっと多くの人がそうだろう。
自ら望んで新しい環境に身を置いたとき、きっと何か目標やら希望やらを持つことが多いはずだ。
小生の三年間でやりたいこと、それは、世間が認識しやすい言い方で言えば、「青春」であり、言い換えれば、「リア充」である。
でも小生はそもそも「リア充」の定義すら違う。議論の余地があるだろうが小生の解釈(定義)では、「リア充」は恋愛関係にある男女の状態を指す。
小生は中学卒業までにいろいろ思索に耽った。それは友人たちからもはや「狂人」揶揄されるレベルに。
そこで見えてきたもの。見えてきたものというより、見せつけられたもの。
それは、鬱蒼とした、そして行く先に待ち構える世の中の絶望。暗黒の未来。
まさに日本の向かう方向はお先真っ暗であるという、中学校から高校と、何も知らされない子どもが立ち向かう、受け入れるには到底耐えられないものだった。
事実、読んだ文献によれば今の植民地になって、若者の死因は1位が自死、2位が心臓病だそうだ。
無論、これは公表されていないデータである。それでもこの本を執筆したのはドンジンの乱で命を落とした学者の一人である。
搾取。その被対象となったこの国に、未来はないのかもしれない。
でも、小生は生きている。そして、希望もある。
未来がないなら作ればいい、本の中で誰かが言っていた言葉だ。
大人に囲まれた、管理された、被搾取要員の小生たち。
学生ならではの小生たちだけが作り出せる未来とは?
何も知らないからこそ小生たちがやれることとは?
自問自答の答え。
それが、「リア充応援計画」である。
そんなことを脳内で考えながら、ヤブミを送る。
チャリン♪
ヤブミの送信の数秒後、画面の向こうで、独りでに、ヤブミの着信音が鳴った。
最後までお読みいただきありがとうございました!
いや~、ほんまにお待たせいたしました。パソコンの修理の関係でずっと更新が止まってました。
読者の皆さん、関係者各位、遅れましてごめんなさい。
今話では、二十話ということで整理しつつ話を進めさせていただきました。お楽しみいただけたら幸いです。
とある作家さんがおっしゃっていたのですが、作家には三種類いるようです。
一、感情移入型、二、第三者型、三、流行型
一は主人公の目線と同じ目線で書いている作家、二は自分が神様になった感じで書いている作家、三は読者に売れるように書いている作家だそうです。小生はどうかといいますと、うん、間違いなく一ですね。主人公目線なので一緒に悩んでいろいろ葛藤しながら書いています。頭の中がぐるんぐるんしながら書いていますがとても楽しく、そしてとてもつらいです笑
最後に、これからも精進して執筆して参ります。どうぞ「リア充応援計画」をよろしくお願いします。




