第十一話ー(作者梅木仁は変態で夢想家で妄想癖がやばい人である)ー
こんばんは!こんにちは!梅木仁です。
投稿・更新が一日遅れましたこと、お詫びいたします。
さて、今話も新しい出会いが待っています!
それではどうぞ!
たった一日の出来事にしてはいろいろありすぎた、と思う。
校門、教室、体育館、担任、生徒会室、生徒会長、九条凛。
そう、九条凛とか九条凛とか九条凛とか!!
ここまで盛りだくさんの一日は、少なくとも十年少しの人生で初めてだ。
しかし、よくよく自分が意識していなかっただけなのかもしれない。いや、きっとそうだ。
本当は今までの毎日も、こういう一日の連続だったはずだ。それに加え、ことの重大さをどのように自分の中で処理するかによっても判断が分かれてくる。換言すれば、重大性を富んだ事柄のほうが記憶への影響は大きいのが常であると思う。きっと、小生の中では今日あったことの全てが重大であったから、こうして想起することが多いのだろう。
ただ、一日の出来事に一つ一つ焦点を当てるようになったのは、これから三年のことを思ってのことである。
そうこうしているうちに、広い通りからだんだんと細い路地に入って、自分のアパートが見えてきた。二階建ての一階の一番隅の部屋が小生の今の住処だ。
合計で四部屋あるアパートだが、小生の他にそこの家には誰が住んでいるのか、引っ越してきたばかりの小生にはまだわからない。というのも、このアパート自体が、新築であり、小生が募集を始めて、最初の入居者らしい。
大家さんは隣に一軒家を構える臼井というおじさんだ。なんでも、この地域に長く住んでいるらしく、ネットの情報によれば臼井という一家がここの近所にあった、代々“吉田神社”の神主であったそうだ。
そんな話はさておき、玄関のカギを開けて、部屋に入る。
玄関から入って目の前には簡易というか、こぢんまりとした一人暮らし用のキッチンがあって、玄関から見えるのは六畳あまりのリビングである。収納が部屋の隅に一つ配置されている。引っ越しは入学式の少し前にした。本棚と勉強兼作業机を連結させ、冷蔵庫を運んできて、洗面用品を買いそろえて、といろいろと忙しくしたが自分の城を築いていくようで悪い気持ちはなかった。
さて、自分の城に帰ってきて、最初にパソコンを立ち上げる。
なぜかというと部屋の中が静かだから、音響としてそこらへんの配信サイトを開く。
小生がよく配信を聞くのは前述のウハウハキャスト、通称ウハキャスである。
ウハキャスは、生放送配信、動画投稿などをはじめとした一般向けのコンテンツから、国営ニュース番組などの放送、独自の新聞記事の掲載なども手がけている。月額二百円でこれらのコンテンツが全て利用できる、会員制のサイトである。母集団は不明であるが、ウハキャスの発表によれば、会員数は500000人ほどである。植民地のこの国でもこのサイトの利用者は多くいる。
小生はいつもお邪魔している、お気に入りの女性配信者さん生放送の配信部屋に入る。
「アシュナリーさん、こんばんは!今日も一日お疲れさまです~」
小生がコメントを送る。
そうすると・・・
「あ、フィーブさん!こんばんは!今日も来てくれたんだ!」
フィーブとは、“フィールドインサイドコーナースライブ”という小生の配信内での名前の略であり、いわゆる配信の中での愛称である。当然、相手配信者さんの“アシュナリー”というのも配信内での名前だ。
「今日は十八時から放送していたのですが、常連さんがまだお仕事中みたいです~」
一人暮らしの小生の部屋に、女性の声が響き渡っているのである。(意味深)
そんな彼女の声真似配信を聴き始めたのはつい一週間前の話である。
もともと、アシュナリーさんの声真似の本家、つまり真似をしている声の持ち主さんは、アニメ関連法が制定される前にアニメ文化が一世を風靡し、声優という職業が盛んだったときの“心の宮真心”という声優だ。心の宮真心という声優は、アニメ関連法制定の最後のアニメ、“僕には友人と呼べる友が少なすぎる”のメインヒロインである“伊藤かなで”を演じた実力派の声優である。当時ネット内で行なわれていた“好きな声優ランキング”でも、上位に上がるような存在であった。しかし、アニメ関連法の制定によって、アニメの制作が制限されるようになってからは声優という職業も衰退の一途をたどった。
近年、ウハキャスのような配信サイトが生まれたことによって声優と似た声を持つ人が、雑談部屋などを開きはじめているという。配信サイト内のジャンルとしてはあまりメジャーではないのが声真似主であるが、コアなファンは存在していて、アニメ文化を知る人はこうして一昔前の声優の声を真似している声真似主の配信を聴きに来る。
「さて、今コメント欄はフィーブさんだけですね・・・フィーブさんは今日は何をされてましたか?」
パソコンを付けて、配信主に挨拶を終え、手洗いうがいを済ませて入学式の書類整理をしていた小生に、配信主が問いかけた。小生はコメントする。
「今日は入学式でしたよ~新しい門出です笑」
「ほぉ~そうだったんですか!おめでとうございます!」
「いえいえ、ありがとうございます笑」
「実は私も、入学式でした!」
「おお!おめでとうございます!」
こんな感じで配信主と小生のやりとりは続く。
小生は文字で、相手は声で。
「といっても、アシュナリーは本ばかり読んでましたけどね~笑」
「え、なんの本ですか!?(ワクワク)」
「ひ、ひみつで~~~す!!!!!」
「そういえば、隣の席の女の子も本ばかり読んでました笑」
「ほへ~そうなんですかぁ~!何か話しました?その子の性別は?」
「女の子だったんですけどね・・・なんだか気が強そうな子でした笑」
「へぇ~!私の隣の席は男子でしたけど、入学式の後に気の弱そうな顔をしてたんですよねぇ~まあ、よくわかりませんけどね笑笑」
こうして、配信主と話していると一人暮らしであってもまったく寂しさを覚えない。
一日にあったことを誰かと共有して、一緒に同じ時間を過ごすという行為は、その実際を見てみると、かけがえのないものであることが多いのである。
かけがえのない。
そう。あと数年の命を持つ小生にとっては。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今話。ノーコメントにしておきましょうか笑
四月に入り、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。春と言えば新たな門出だったり、別れだったりするわけですが花粉症、風邪など、大丈夫でしょうか。寒暖の差が激しい日々がしばらく続くようですし、お気を付けて。新生活を応援しています。
最後は事務連絡。
新学期に入り、授業は実質始まっていません。ですが今後とも精一杯書いて参ります。
とある計画も進行中ですので、読者の皆様、今後ともよろしくお願いします。




