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「まずは、何から話そうか……いつも君は、僕の話しを退屈もしないで聞いてくれたよね。そうだ。今日は、僕が旅を始めてから間もなくして出会った変わった兄妹の話しをしようか――」
一人、小高い丘に建つ石碑の前で胡坐を掻き語りかける男がいた。
石碑の周りには、芝生が生い茂り、花が咲き乱れ暖かな風が吹く。
石碑の前に置かれたお粗末な数輪の花は、周りに美しく咲き乱れる花には、到底敵わなかったが、そこには、確かな想いが詰まっていた。
話の途中ふと空を見上げた男は、笑む。
――雲一つない真っ青な空を見上げると君の笑顔が浮かぶ気がする。
直ぐに石碑へと視線を落とし、そして、いつもの決まり文句を口にする。
「僕のつまらない話を聞いてくれるかい?」
石碑に刻まれているのは、女性の名前。
彼女は、毎度、男の話を面白い。と言って聞いてくれていたが自信のない男は、いつもこう言って謙遜してから話を始めていた。
その癖が彼女を失った今でも抜けずにいる。
返ってくるはずのない返事を待つかのような間を取ってから、
「――僕が二人と出会ったのは、沸き立つ戦渦の最中だった」




