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「お前、いつまでもこんな所に居ないで、自由に生きたらどうだ?」
「いいえ、私は、戦う為に生まれて来たのです。此処以外に私の居場所は、ありません」
日の落ちかけた薄闇漂う時刻。
木々が生い茂るひと気のない郊外に二人の姿があった。
茶色の髪の毛を肩までザンバラに伸ばし、前髪をバンドで止めている男が煙草を吹かしながら地面に腰を下ろしている。
数メートル先には、膝まではあろう長い銀髪の少女が無表情で木に体を預けて立っている。
「そんなことばっかり言ってよー。戦いだけが全てじゃねぇーんだぞ」
「戦わなければ殺されます」
「ふっ。誰見て言ってんの? 俺は、生きてるじゃん」
無表情かつ抑揚のない冷たい声で淡々と答える少女。
男は、冗談っぽく話を返してみるも少女は全くの無反応で、そのことに深く溜め息を吐き、
「ま、いいさ。それがお前の決めた生き方なんだろ?」
「戦わなければ殺される。そう教えてくれたのは、兄様です」
「いつの話ししてんだよ。今は、そんなこと思ってねぇーから自由に生きてんだよ。あいつだって言ってたからな――」
男は、深く吸った煙草の煙を空へと放つ。
そして、立ち上がると、
「お前も自分の考えを持てよな」
「そんなモノいりません。次、兄様に会った時は、反逆者として私が殺します」
「はっ。今、殺せばいいだろ? もしかして俺が、お前の兄だからって見逃してくれんの?」
「えぇ、昔の誼です。でも次は、ありません」
「それは、ありがたい。じゃ、次がないことを日々祈っていますよ」
男は、今までの軽快な口調から余所余所しい口調に変わり、話が終わると煙草を地面へ落とし足で踏み消す。そして、煙草の火が消えたことを確認すると両手をズボンのサイドポケットに入れ、暗い森へと姿を消して行く。
残された少女は、その場から一歩たりとも動かず暗がりに消えて行く兄の背中を無表情のまま最後まで見つめ、完全に見えなくなった所で少女は、表情を崩し苦痛に顔が歪み、前触れなく膝が折れ、
――兄様は、あの方に会ってから……自由。と言う言葉を頻繁に口にするようになった。それで兄様は、組織を出て行った。でも、一緒に連れて行ってはくれなかった。いつも一緒だったのに……一人は、怖いんです……兄様……




