年始の決意
里子とのクリスマス旅行が終わり、年末年始。
母に言われて大掃除を手伝いつつ自分の部屋も片付けて時々里子と会って、年始に初詣に行った。
おみくじは中吉。
可もなく不可もなくな中途半端な結果。
今の俺みたいだ。
「どうしたの?おみくじじっと見て」
「いや、今年こそは榊に勝ちたいなって思って」
神頼みなんて、しないほうがいいのに。
俺は俺の力で跳べばいいのに。
それでもついしてしまう神頼み。
「このままじゃあ駄目だよな」
「そんなことないよ。確実に成績は良くなってきている。あともう少しだよ」
里子に慰められて、少し気分が上向いた。
「そうだな、そうだよな」
まだ、機会はいくらでもある。
俺は今の俺に出来ることをするだけだ。
「ふふふ」
俺が決意を固めていると里子が笑う。
「なんだよ」
「今年もいい一年になりそうな予感!」
何故か上機嫌な里子としばらくデートをしながら家に送って、自分も家に帰る。
俺は、今年こそは自分の跳び方でより良い成績を残す。
そう思っているとあっという間の三学期。
里子と学校へ行くと、高塚と昇降口で出会った。
「あけましておめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう!高塚さん!」
そこから三人でクラスに向かう。
部活のない冬休みの話をしていて、里子が俺とクリスマスに旅行に行った話をしたら高塚の眉が少し動いたのを見てしまった。
「里子。そのくらいにしとこう。もう教室に着いたし」
俺が気を遣って答えると、高塚が意外なことを言った。
「私も榊くんと食事だけしたわ」
「えっ!?」
俺を好きだったのに?
そう感じた瞬間、己の傲慢さに恥じた。
「嘘ー!高塚さん、榊くんのこと迷惑がっていたのにー!」
「偶然出会ってね、話の流れで食事をしただけよ」
高塚はなんて事のないように言うけれど、心の奥底が騒ついた。
ああ、高塚が言っていたのはこんな感情だったのか。
高塚が好きだった頃の俺を高塚が諦めきれなかったように、俺は未だに高塚が俺のことを好きだと思っていた。
もうとっくに振ったのにな。
「そっか」
「気のない返事ね。やきもちぐらいやきなさいよ」
そう言われて、高塚の感情が俺にまだあると知り気分が高鳴る。
……いやいや、俺には里子がいるんだ。
落ち着け、俺。
気づけばまた三角関係の縺れかと教室中から注目されていた。
気まずくて、早々に別れて教室の自席に座る。
里子も荷物を置くと、すぐにこちらにやってきた。
「榊くんと高塚さん、うまくいくといいよね」
「……そうだな」
なんとなく、複雑な気持ちでいる俺に、里子はすぐに気づく。
「ショック?」
じっと目を見詰められて正直に答える。
「少しな」
「ふぅん」
「今、好きなのは里子だけだよ」
「知ってる」
そう言って笑う里子にもう昔見た悲しみの影はなかった。
「ごめんな」
「なんで謝るの?」
「高塚のこと」
「いいよ。今、好きなのは私なんでしょう?」
少し前までの里子からは考えられない自信だった。
「そうだよ」
「ふふふー」
里子が嬉しそうに笑う。
その表情を見て可愛いな、と思った。
「榊と高塚か」
うまくいってほしいような、そうでもないような。
複雑な気持ちのまま、俺はまだ高塚に未練があると思い知って新しい年が始まった。




