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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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外伝 ーDating with the Princesー Part3

「意外と…疑われずに出てこれましたね…?」

セレンは親衛隊の制服をアルトに着せられ

城の厨房の食材搬入口から抜け出した

「この城の警備が心配だわ……あ、セレン様、これを」

アルトは持っていた荷物からセレンに外套を手渡した

「ありがとうございますアルト。確かに今日は寒いですね」

外套を着るセレンの唇からは白い吐息が立ち昇る

「もう冬ですからね、季節が巡るのは早いですね…」

アルトはそう言いながらセレンの首にマフラーを巻く

「さぁ、とりあえずここは城の裏手なので城下の方へまわりましょう」

「はいっ!」

セレンは小走りで前を行くアルトについていった


「うわぁ…!?これが街、ですか?!」

城下街側に回ってきたセレンは初めて眼に映る街、人の営みに眼を輝かせる

「はい、アークの城下街です。確かに城のセレン様のお部屋からは城下は見えにくいかもしれませんね」

そんなセレンの姿を微笑ましく思いながらアルトは見つめる

「前に何度か他の街へお母様やお父様についていったことはありましたがアークの街は初めてなんです!」

セレンはアルトの手を引いて歩き出す

「セレン様、時間はたくさんありますからそんなにお急ぎになられなくても大丈夫ですよ」

もし、将来自分に子供が出来たらこんな感じなのだろうかと思いながらアルトはセレンに手を引かれながらついて行く

アルトの前を行くセレンは鉛色の寒空の下にも関わらずその琥珀色の瞳を輝かせる

「まずはどのお店にいきましょうか?私が案内致しますよ」

白銀騎士団に入隊しアークに住んで2年が経つアルトはだいぶこの城下の地理にも詳しくなってきた

「私、お洋服屋さんに行ってみたいです!いつもお城の中では正装なので普通の服が着てみたいです」

「わかりました、それではいきましょう!」


城下街の中央広場を南下した大通りをしばらく歩き

2人は「ロパ・ボニータ」という名前の服屋に入った

「いらっしゃいませ〜…あら、アルトじゃない!今日はお友達も一緒なの?」

店に入ると陳列された服の手入れをしていた1人の女性がその手を止めて近づいてきた

「こ、こんにちはっ!え、えと…セレンと言いますっ!」

セレンはおどおどしながら浅黒い肌の長い黒髪にウェーブがかかった女性に挨拶する

「ふふっ…かわいいお友達ねアルト。アタシはネイダよ、よろしくねセレン」

すらっとした細身で長身のネイダは少し屈んでセレンと目線を合わせ彼女の手を優しくとる

「ネイダ、もし今手が空いてたらこの娘に似合う服を選ぶのを手伝ってあげてほしいんだけど?」

アルトが頼むとネイダはセレンに向かってウィンクして見せる

「もちろんっ!こんなにかわいい娘をアルトに任せたら大変なことになっちゃうからねっ」

ネイダはニヤニヤしながらアルトを一瞥し店の奥に入っていった

「う、うるさいっ!……セレン様、今日一日だけ素性がばれてしまうのを防ぐため何かと失礼な言い方になってしまいますがどうかお許し下さい…」

アルトは先程セレンのことを「この娘」と呼んでしまったことを耳打ちで謝る

「大丈夫ですよアルト。いつもそういう風に呼んでくれればいいのに…」

そう言い残してセレンはネイダの後を追っていった

「親しき仲にも礼儀あり、ですよセレン様」


「いいセレン?開けるよ?」

「はい、お願いします」

試着室のカーテンの向こう側からセレンの返事がかえってくる

「ど、どうですか?似合ってますか…?」

淡く明るい色の短いジャケットとスカートから伸びる黒いタイツに柔らかい紅のモコモコした帽子がポイントだ

「とっても可愛いわよ」

アルトに言われてセレンは恥ずかしそうに身をよじらせる

「それじゃあ、これ下さい!」

「わかったわ、袋に詰めるからセレンは着替えててちょうだい」

そう言ってネイダは再び試着室のカーテンを閉めた

カーテンの向こうからは布が擦れる音が聞こえ始める

「そういえばアルト、さっき2人がくる前にリーサが来てたわよ?」

「リーサが?」

アルトは商品を展示するための硝子越しに寒空を見上げながらネイダの話しに耳を傾けた

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