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04. 初めてのクエスト


 という訳で、私はその日から少しずつ運動をすることにした。

 まだ三歳なので部屋の外には出られないけど、一応皇女の部屋と言うだけあって十分すぎるほど広い。

 そのスペースを活用してシャトルラン風にとにかく走り回ってみたり、腿上げジャンプやスクワットをしてみたり。時には所々に置いてある高そうな金の装飾品をダンベル代わりにしてみたり。

 そんな風にして過ごすこと数ヶ月。


 ……ぜんっぜんダメだこの体…。


 私はほとんど増えていない体力を前に愕然とした。あれだけやったんだからせめて20くらいは増えていてもいいと思っていたのに、実際増えたのは2であり、この数ヶ月の努力で私の体力は合計3/100である。

 丸が一つ足りていない。


 なんで…?何がいけないの?

 このまま地道にやるとしても、数ヶ月で2しか増えないなんて効率が悪すぎる。これからは魔法の訓練も並行してやらないといけないのに。


 己のステータスを前に、どうしたものかと頭を悩ませつつおもむろに画面をいじっていると、アイテムの欄に指が触れて画面が切り替わった。



《・身体能力増強薬:50 ・獲得経験値倍増薬:50

 ・魔力量増強薬:100 ・上級回復薬:50

 ・中級回復薬:10 ・通常回復薬:5 …… 》



 ?!

 身体能力増強薬に獲得経験値倍増薬…?!高いけど魔力量増強薬もある!!


 え、このシステム神じゃん!このアイテムたちがあれば、私の最弱転生体でもなろう系小説あるあるのチートキャラになれるのでは…?!


 早速ワックワクでアイテムを購入してみようとするも、何度押しても《コインが足りません》の文字。

 よく見ると下の方に《▶︎所持コイン:0》という表示があり、その横にコインに関する説明書きがあった。

 なになに、



《コインとは、このシステム内でのみ使えるキャッシュのようなものです。基本的に、クエストをクリアして報酬として得ることができます。》



 クエスト?そういえばメニューにそんな選択肢があったような…。



《現在のクエスト進捗度(0/5)

 ▶︎冷酷皇帝、テオドール・ヴァーレン・フェザニカに一週間続けて朝の挨拶をしよう!(0/7)

 ▶︎献身的な専属メイド、エマ・テイラーの好感度を80にしよう!(70/80)

 ▶︎エマ・テイラー以外のメイドを三人手懐けよう!(0/3)

 ▶︎皇帝の右腕、オスカー・アージェンティに可愛いと思われよう!

 ▶︎皇宮の中央庭園に花を植えよう!》



 何個か無理めなのある気がするんだけど気のせい??


 何だろう、難易度にそこそこ差があるようだけど、報酬のコイン数に違いがあったりするのだろうか。報酬について書かれてないから分からない。


 まぁ実践してみるしかないか…。

 取り敢えず誰かメイドを呼んで試してみよう。


 チリンチリン、とベルを鳴らすと、かなり時間が経ってからのろのろとだるそうな様子で焦げ茶色の髪のメイドが一人やってきた。

 このベルは魔法で加工がされていて、鳴らすとメイドたちの控え室で音が鳴るようになってるから気付かないことはないんだけどな。大方押し付け合いにでもなってたんだろう。


 …いや、そんなメイドを三人も手懐けるとか普通に無理じゃない??



「皇女様、何か御用ですか?」



 はよ用件言えやとでも言いたげな表情を隠しもしないメイド。

 いや何ならこっち見てすらないな。一応私皇女なんだけど?私を見ずに何を見てるっていうんだ。


 彼女の視線の先を辿ると、さっき私が枕を投げつけた衝撃で床に落ちた金の装飾品。シャンデリアの光に反射してキラキラ輝いている。


 うわぁ、改めて見ると確かにこれは相当高価そうだ。枕なんて投げつけるんじゃなかった、売ったらそこら辺の貴族の数ヶ月分の生活費にはなりそうなのに。


 …これ、使えるかも。


 いくら全く相手にされてないとは言え、皇帝の実妹であり、帝国唯一の皇女(今のところだけど)の部屋。高価そうな装飾品や宝石で溢れかえっている。

 そしてメイドたちは当然それらが欲しいときた。



「あなた、なまえは?」


「はい?」


「だから、あなたのなまえは?」


「…ジェーンと申します。」


「ジェーン、これ、ほしい?」


「!」



 まだ私は使える歳でもないだろうに、ドレッサーに所狭しと敷き詰められたアクセサリーのうち、翠玉(エメラルド)が埋め込まれたペンダントを引っ張り出して、ジェーンの目の前でゆらゆら揺らして見せる。


 どう?欲しいでしょう?

 多分これだけで馬車一台分くらいの価値はあるよ?


 ジェーンは目の前でキラキラ光る翠玉(エメラルド)を見て、ごくりと喉を鳴らした。



「えっと…それはどういう…」


「どういうもなにも、わたしがあなたとなかよくなりたいだけ。だからほしいならこれあげるよ。」



 私はジェーンにペンダントをぐいっと押し付けて、ニッコリ笑う。



「わたしとなかよくなってくれたら、これからもっと、いろんなものをあげるわ。」



 ジェーンはペンダントと私を代わる代わる見てから、「あっ、ありがたく頂戴致します。」と言ってそそくさと部屋を去っていった。


 今はまだ驚きで頭の整理ができてないみたいだけど、恐らく明日には、もう彼女は私の忠実なメイドとなっていることだろう。

 いくら私が幼く、将来も大して期待できない皇女だとしても、貰えるものは貰っておいて損はないのだから。


 ちなみにこの手法は、前世であのムカツクお姫様、姫川愛子が使っていたものである。

 ブランド物のアクセサリーだのコスメだのを、派手なグループの女子にプレゼントして自分の取り巻きにしていた。

 まさかあの女の行動を参考にする日がくるとは。昔の私からすれば考えられないことだ。


 閑話休題。

 兎に角、私はこの手法でジェーン以外のメイドを更に2人、一気に手懐けることに成功した。



「そういえば、皇女様に皇帝陛下が直々にお名前をお付けになったと、他のメイドたちが騒いでいましたわ。私もぜひ皇女様をお名前で呼びたいのですが、よろしいですか?」


「別にいいわよ。」


「あっジェーン、抜け駆けはなしよ!皇女様、私にもぜひお名前で呼ばせてください!」


「私も私も!」


「アデラにマリー、貴女たちは私より遅くエルリア様にお仕えするようになったじゃない!お名前で呼ぶなんてまだ早いわよ!」


「たかだか一日二日でしょ!」



 今では私の名前呼びのことくらいで言い合いしたりするくらいなので、やっぱりお金の力って凄まじい。

 それより、一応これでエマ以外のメイド三人を手懐けることには成功したってことでいいんだよね?


 クエストを開くと、《▶︎エマ・テイラー以外のメイドを三人手懐けよう!(3/3)》の文面の横に《クリア》の文字が書かれており、ピロリンと何やら通知音のようなものが鳴った。

 まだ言い合いをしてる三人の様子を見るに、この音は私にしか聞こえていないみたいだ。



《クエストクリア報酬:コイン30枚》



 あれ、なんか思ってたより少ない。上級回復ポーションすら買えないくらいだ。クエスト1個クリアしたくらいじゃこんなもんなのかな?


 時間と労力がかかった割になんか効率悪くない…?と思ったが、まぁたまたまかもしれないので、続いて次のクエスト《▶︎献身的な専属メイド、エマ・テイラーの好感度を80にしよう!(70/80)》に取り掛かることにした。


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