第五話
「我々がこの貧弱種族どもと同じだと言いたいのか!?」
「ああ。俺に取っちゃお前らも貧弱だ」
エイリアンたちは分かりやすいぐらい目を血走らせ、怒り狂った。
「はぁ〜!? 俺たちはな、コイツら軟弱な人間どもより上位の存在なんだよ!!」
「この美しい星の支配者が、ちっぽけで貧弱で愚かな人間には釣り合わねぇんだよ!!」
別に人間より上とか、星の支配者がどうとか、俺に取っちゃどうでも良いことだ。
何故なら今の俺は人間じゃないんだから。
人間もエイリアンも俺からしたら敵ですらない。
だが俺は自分より弱い奴を、娯楽目的で傷つける奴らは「悪」だと思っている。
だから叩き潰す。
純粋にムカつくのと、「正義の大怪獣」に近づくために。
「テメェも強いらしいが、まだ俺らの邪魔をするなら、さっさと……くたばれえええ!!」
エイリアンたちは叫び声を上げながら、一斉に飛び掛かってくる。
「……」
攻撃が何発かヒットするが、俺にダメージは無い。
「噂どおり効いていないようだが、まだ序章だぜ!!」
「野郎ども、そろそろインターバルは済んだか?」
エイリアンたちは、「イント"10"」と唱える。
すると先程の高速移動を遥かに凌ぐ速度で、縦横無尽に俺の周囲を動き回る。
「嘘だよね……!? さっきの私たちの時よりも速い……!」
「なんて速度だ……! やはり、エイリアンは異次元の存在なのか……!?」
雷鳴の刃の面々でさえ目で追えないほどあり得ない速度。
誰もが、俺が敗北すると思っているようだ。
「おせぇ……」
俺は溜め息をつくと、一瞬でエイリアンの近くまで移動し、頭を捕まえていた。
「は!?」
「一体」
俺は掴んだエイリアンの頭に一発のパンチを打ち込んだ。
一割も力を出していないが、エイリアンの頭は消し飛び、大量の体液が飛び散った。
「な……!」
「嘘……」
「化け物を……一撃で……」
その瞬間、俺以外のその場にいた者全員が叫んだ。
「えええええええええ〜!!!」
エイリアンたちは悲鳴を上げ、人間たちは歓声を上げた。
「まずいまずいまずい!! これがあのハンザキの力なのか!!?」
「に、逃げようぜ!! こんな奴に勝てるわけが……え?」
「二体目……」
次の獲物は悲鳴を上げるまでもなく、俺に頭を消し飛ばされた。
「いけぇ!!」
「殺っちまえ!! ハンザキ!!」
形勢逆転。
さっきまでビビってた町民たちは、次々と「殺せ!!」とコールを入れる。
耳障りだな。
「……せぇよ……」
「……?」
「うるせぇんだよ!! いつから俺はヒーローになったんだよ!!? ああ!!?」
「……え?」
俺はヒーローになるつもりじゃねぇ。
「正義の大怪獣」になりてぇんだ。
「コイツらに"正義の鉄槌"下すのは俺だ!! テメェらに指示される筋合いはねぇんだよ!!」
「じゃあ……何で私を助けた……?」
意識を取り戻したアリサと呼ばれる騎士風の女性が、剣士の男に肩を支えられながら尋ねる。
「俺の"正義の基準"に従っただけだ」
「つまり、貴方の"正義の基準"に見殺しにしない事が含まれていると?」
「まぁ、そう言う事だ」
その時!!
「死ねぇえ!!」
俺がアリサと話していると、隙をついた気でいるエイリアンの一体が、ビームをぶっ放して来た。
俺はアリサに覆いかぶさるような庇うが、ビームが直撃して爆発した。
「おいエイリアン、汚いぞ!!」
「黙れ!! 殺れば良いんだよ!! ギャハハハ!!」
住民の避難を聞く耳もなく、エイリアンは高らかに笑う。
「ギャハハハ!! 終わったな!! 骨も残らねぇ!! 俺たちに喧嘩を売った罰……へ?」
「三体目……」
グシャ!!
俺は何事も無かったかのように、エイリアンの頭を握り潰す。
「駄目だぜ。話の邪魔しちゃ……」
「ヒィ……」
俺は残った二体のエイリアンたちもまとめて殲滅した。
その後、町の奴らに一つ尋ねる。
「この町、えらくボロボロになっちまったな。復興するの手伝おうか?」
「え……?」
町民たちはこの状況に、誰も頭が追いつかず、唖然としている。
「い、いえ大丈夫です。町の救世主様にそんな手間をさせるわけにはいきません」
「あっそ……じゃあ俺行くわ」
「え? 一体何処へ?」
なんだよそんなの決まってんじゃねぇか。
「もうこの町には用は無いって事だ。じゃあな」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
町民たちの間から一歩前にでた初老の男は俺を引き止めた。
「私はこの町の町長です。先程のあなたの様子から、何かしらのこだわりが有るのでしょう。だから無理にこの町を守ってほしいとは言ません」
今回の件で、俺はこの町にいる事が出来ないと思ってる。
町の奴らは、今の俺をヒーロー、もしくは守護神のように感じているのだろうが、逆にそれは「正義の大怪獣」のポリシーに反する。
どんなに人を救おうが、怪獣は破壊の化身だ。
怪獣である限り、ヒーローや守護神とはどう足掻いても同じにはなれないんだ。
「そうだ。さっきも言ったはずだが、俺はお前らのヒーローじゃない」
俺はそう言い残すと、町をすぐに立ち去ろうとする。
だが、町長は引き下がらない。
「せめて町に貴方の像を建てる事は、良いでしょうか?」
「駄目だ!」
町長の提案を俺は即却下した。
俺の像だと? そんなもん造るぐらいならよ……
「テメェらの町でも造り直してろ! テメェに俺なんかの像を建てる金があんならよ、この町の為に使いやがれ!」
俺はそう吐き捨てると、この町を後にした。




