第ニ話
「ギャハハハ!! 人間の悲鳴、最っ高だぜ!!」
ここは剣と魔法の世界「アエシル」だ。
かつて平和だったこの世界は、宇宙からの刺客の侵略に晒されている。
「や、やめてくれ!」
「ヒヒヒ!! やめて下さいだろうが!!」
「パパ!!」
命を乞う男を嘲笑うかのように、宇宙からの刺客は男を蹴り飛ばす。
奴らは化け物だった。
平均身長三メートルを超える巨人族以上の巨体な上に、圧倒的な身体能力と高度な知性。
更に、特殊な異能まで使ってくる。
「チッ! うるせぇガキだな! 黙って死んでろ!」
宇宙からの刺客は父親に駆け寄る少女に攻撃を仕掛ける。
「くたばれぇえええ!!」
宇宙からの刺客は一気に加速して鋭い鉤爪で少女に斬りかかる。
「きゃああああ!!」
「頼む、娘だけはぁあああ!!」
ドスン!!
「ぐはああああ!!」
上から巨大な何かが振ってきて、宇宙からの刺客を踏みつけた。
宇宙からの刺客は黄緑色の体液を口からぶち撒ける。
「ガハッ!! 何者だ……!! 貴様……!! 身体をどけやがれ!!」
突然、吐血する程の一撃食らった宇宙からの刺客は咳き込みながらも切れ散らかす。
「俺が誰かって……」
「魔物が……喋った……?」
男は娘に駆け寄り抱きしめながらも、エイリアンにのしかかる五メートル以上はありそうな巨大な魔物が、突然喋った事に驚きを隠せない。
「俺は正義の大怪獣! ハンザキだ! 名前を覚えとけ野郎ども!」
「ハンザキ……」
ハンザキと名乗る魔物……男は自分の記憶を思い起こした。
(噂で聞いた事がある。人に危害を加える者を片っ端から倒し回っている魔物。人の言葉を話し、いつもこう名乗る。正義の大怪獣……ハンザキ!)
「正義だと!? 所詮は"アエシル"の魔物風情が! 貧弱種族を守る事がか!? 笑わせるなぁあああ!!」
宇宙からの刺客は、身体が巨大化してマッチョになり、怪力を発揮して、ハンザキを跳ね飛ばす。
「図に乗るな!! 偽善者が!!」
宇宙からの刺客は怪力を生かしてハンザキを地面に叩きつけると、そのまま連打を叩き込んでいく。
「オラァアアア!! 死ねやぁあああ!!」
宇宙からの刺客はただひたすらに殴り続ける。
気付けば地面は巨大な穴が空いていた。
「はぁ、はぁ……どうだ偽善野郎!」
「そんな、怪獣さん!」
「駄目だ! ミルフィ!」
ハンザキの所へ向かおうとする少女を父親の男が止める。
「だからよぉ……」
「……!」
親子は宇宙からの刺客に見つかってしまった。
「うるせぇんだよ!! クソガキが!!」
親子に飛び掛かる宇宙からの刺客。
絶対絶命、男は少女を抱きしめて守ろうとする。
「待てよ。糞野郎……」
宇宙からの刺客の身体が突然止まった。
今まさにこの貧弱な親子を殺そうとしていた。
だが、強烈な力で引っ張られて前に進もうにも一ミリも進めない。
「まさか!? 嘘だろ!? 何で生きてんだよ!?」
宇宙からの刺客の尻尾を掴むのは、先程連打で地の底に沈めたハンザキだった。
「小癪な……野郎だ!!」
宇宙からの刺客はハンザキに攻撃を加えようと、拳を打ち込もうとする。
しかし、ハンザキは拳を額で軽々と受け止めた。
「……な!」
「お前のパンチ、弱すぎなんだよ」
ハンザキはそう言うと、宇宙からの刺客の拳を払いのけると、お腹に一発。
「ぐはぁ!!」
一撃で宇宙からの刺客は悶絶したが、ハンザキは続けざまにアッパーや左ヒックを叩き込む。
それはまるでボクサーのようだった。
「わ、悪かった! もう人は襲わねぇから! だから見逃してくれぇ!」
宇宙からの刺客はまさかの命乞いを始めた。
ハンザキはそれに「ダセェ……」と吐き捨てる。
「命を乞う相手は、俺じゃねぇだろ」
ハンザキが指さした方角には、宇宙からの刺客が先程殺そうとした、親子の姿があった。
「た、助けてくれ! そんなつもりじゃ無かったんだよ! 本当に冗談のつもりで……」
情けなく、懇願している宇宙からの刺客。
だが、親子の決意は硬かった。
「ハンザキさん。コイツを……やっつけて下さい!!」
「怪獣さん! お願い!」
親子の頼みに、ハンザキはニヤリと笑うと、「了解!」と一言。
「う、嘘だろ……て、テメェら!! この人で無しが!!」
「人で無し……?」
親子を責めようとする宇宙からの刺客にハンザキは凍てつくような冷たい視線を向ける。
「どの口でほざいてんだ。テメェはあの男の人を蹴り飛ばして怪我を負わせ、あんなに小さな子供を殺そうとした。それはテメェの快楽のためなんだろ? つくづくゴミクズだなテメェらは……」
「……く!!」
宇宙からの刺客は歯ぎしりをしながら憎しみを込めて睨みつける。
「黙れ!! 偽善者があああ!!!」
宇宙からの刺客はヤケになって飛び掛かってくる。
ハンザキは溜め息をつきながら、一言。
「テメェは地獄行きだ」
ハンザキの拳が、宇宙からの刺客の身体を貫いた。




