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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第十ニ章:世界という波

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第241話:乗り込む

「.....父さん。」

「ああ。俺が出る。」


 カチャリと剣の音と共にモルガンは立ち上がった。


 城の前。ここでは魔術は出来るだけ使用したく無い。


 魔術に反応し、襲撃を王宮全体に把握される可能性があるからだ。


「ん?おい!そこのお前!止ま.....」


 ドサッと敵は地面に横たわった。


 モルガンの峰打ち。風の如く、全身を使い、走る。


「ガルス流!急手!」


 《光剣!》


 体を柔らかく使うかと思いきや、爆発的な脚力で、一気に間合いを縮める。


「おまっ.....!!」


 攻撃が兵士に反応する前に、襲撃の騒動を小さく、小さくするために。


「アリス流!」


 そう言ってモルガンの進む先立つ兵士は剣を構えた。


 この襲撃で初めて、剣を向けられた。


 こちらの攻撃の前から、反撃のために動かれた。


 だが、モルガンは動じない。それどころか、笑みさえ浮かべ、そのまま突き進む。


「アリス流!瞬技!」


 《雷雷!》


 モルガンは、振り下ろされる技を避け、冷静に、迅速に技を叩き込む。


 ガルス流ではない。アリス流だ。


 複数の流派を使用するスタイル。その一つ一つの練度もモルガンは高い。


『一つの流派で見れば、上段の上澄み。全流派で見れば、技巧級の剣士とも渡り合うでしょう。』


 ただ、ブユレ村の戦いでモルガンは敗れた。それは恐らく......


『体力。複数の流派を使用するのには、心肺機能に大きな負担が存在し、体力が持ちません。シーアの諸刃の剣。敵の攻撃をトレースすることも、これに該当します。』


 モルガンの剣技も、諸刃の剣に近い。ということだ。


 もう殆ど、モルガンの行手を阻む敵の存在は見受けられない。


「行こう。」

「ええ。」


 サナを呼びながら、走る。


 時間が過ぎていく。


 短期決戦。モルガンの体力、王宮への襲撃。


「さっさと終わらせよう.....!!」



 ーーー



「ふーん。確かに、これは面倒さね。」


 エミル・ミグルも感嘆の様子だ。


「家畜を飼うスペースが奴隷のいる中央壁の奥の前に配置されているぜ。だりいな。」


 ジャガーも同じように感じていた。


 ペットのせいで、敵に攻撃する前に感知される。


 力技.....でも構わないが、それでは全面的に戦うことになる。


 少数では、殲滅に時間がかかり、入り乱れた戦いで、望まない死人がでない保証はない。


 可能な限り、今後の批判の的になる行動は避けたいのだ。


「魔力消費が増えるけど、これは仕方ないさね。」


 迷いなき動作で、蒼く、ただし、翠も感じさせるような。透き通った杖を取り出した。


 《イソレーション》


 突如、家畜が消える。転移の予兆も、溜めもなく、消えた。それを確認した途端、間髪入れずにエミル・ミグルは続けて魔術を放つ。


 《ソフィーナ》


 その魔術の直後、家畜は元のように現れた。


「何をしたの?」

「全く違いが分からん。」


 魔術を扱うルアとセルビアはそんな風に家畜の様子を伺う。


 他の皆も、ただの家畜としてそれを見ている。


「あれは、実体のある幻影さね。」


 幻影でありながら、物質世界にそれを顕現する。


 世界構築と呼ばれる技は精神世界を物質世界に顕現し、己の有利な世界を作る。


 それと似ている原理であるが、これは己の精神世界に関係なく、必要なものを揃える。


 幻影魔術も似たもので、ただし、実体を持たせるには、魔力量、技量。これに天と地ほどの差が出る。


 才能があったとしても、これを鍛錬や経験無しで行うのは不可能だ。


「これで、堂々と乗り込めるさね。じゃ、いくさ。」


 《ムーブドウインド》


 当然のように使用された無詠唱魔術の風に乗り、そして、草原を走った。


 魔術が駆け抜けていた。

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