第240話:勝利とは何か
「まず、今回の作戦の目標は、ミアの家族の吸収。そして.....」
そこまで言って、一瞬黙る。
このような行動を取るということは、完全に敵対することを意味する。
そして、エミル・ミグルと共に世間からの批判対象となる。
だが、それも含めての覚悟だ。
「国王の誘拐です。」
国王の誘拐。悪者と言われ、罵られ、悪評を広められるだろう。
それでも、行動を止めるわけにはいけない。
ルインド王国へ仕掛けられた戦争を皮切りに、ジェット・ノイル。フィックス・トレート。
彼らが死亡し、1回目の世界のルートから外れ、今、2回目の戦いが近付いてきている。
全ての始まり。混沌の始まりの地の国王。それを野放しにすることは出来ない。
「国王の誘拐.....俺はやるぜ。ラーファルトが必要っつうなら必要なんだろ?」
ジャガーが一番に乗った。
「ま、事情についてはまた後で教えてもらおうか。リーダーが言うなら仕方ない。」
そうやってウォーリアも乗るが、微塵もジャガーの意思なんて関係なさそうだ。
他の者も反対することはない。
俺は、仲間に恵まれたな。
「国王の誘拐については、私、エミル・ミグルが世間に説明、弁解します。全員。とは行きませんが、世間からのバッシングは出来るだけ減らしましょう。」
エミル・ミグルの社会的影響力は甚大だ。
批判は避けられない。だが、それを黙らせるぐらいのことをすれば良い。
創造神を撃ち倒すことが、世界を救うことが、信頼の回復になることを信じたい。
世界を救うためなら、目的のためなら、俺はどんな言葉だって受け取ってやる。
「それじゃ、グループ分けを行います。」
Sari、頼む。
『了解しました。』
国王誘拐チーム
ラーファルト・エレニア
サナ・エレニア
モルガン・エレニア
ミアの家族救出チーム
エミル・ミグル
ミア・アルハイン
フローハットの面々
『国王誘拐チームは潜入後、速やかに行動するため少数としています。ただし、万が一のことがある場合、エミル・ミグルを筆頭として、他方へ応援が行けるようにしておいてください。それは逆も然りです。』
情報はロードリングを媒介に全員に伝わる。
「質問は?」
誰も手をあげない。
フゥ〜っと深呼吸を一つ。
全員の空気が変わる。
「それじゃ、行きましょう。」
ーーー
『魔神聖よ。ラーファルト・エレニアを覚えているか?』
その天からの問いに魔神聖は答えない。
魔神聖が取り逃した相手だからだ。胸糞の悪い始末だった。
失敗は敗北。
成功は当然。
それが、魔神聖の哲学だ。
ならば、彼にとって勝利とは何か。
「俺は、戦いを楽しみたいだけだ。」




