第239話:やることは決まった
ミア・アルハイン。謎多きメイド。
その正体は、ジャック王国。恐らくは、その背後に存在する創造神からの介入。
「背後にいるのはジャック王国かぁ.....それで、エミール。そして、ミア。二人は仲間なのか?俺にはそうは見えなかった。」
どちらかといえば、上下関係。更に言えば、隷属関係といった所に見える。
「こんなクソアマ仲間になった覚えはないな。」
不貞腐れながら答えるエミールはどこかムカつく。
仮にも、俺たちを狙うために結託していたのだ。誠意ぐらいは見せろよ。と思う。
逆に、このように仲間を信頼できないから、何も成し遂げられなかったのだとも思う。
「私は.....エミールに監視される身です。私が任務を放り出さないか、見張る、役、です。」
「そう言われてみれば、二人が村へ来た時期は近かったな。」
モルガンも村長であっただけに、平静を装い、昔のことを思い起こしている。
「監視か.....」
監視が必要ということは.....
「ミア。お前は、俺たちを無理矢理狙わされていたのか。」
「.....はい。」
面倒だな。俺がミアの対応をすることではない。
ミアの境遇が面倒な境遇だと思う。
俺を狙われなければ、殺されるかもしれない。それでも、狙わなければならない葛藤。
それと付き合うのは面倒だっただろう。
そして、その迷いが俺の幼少期の生存に繋がったと言える
しかし、一つの疑問は、ミアの強さについてだ。エミールとミア。ミアは勝てない実力でない。
『無難に考えれば人質がいるのではないでしょうか?例えば.....』
「家族とか。」
なのか?
『ご名答です。』
「ミア。お前は、家族を人質に取られている。そうだな?」
「.....」
ミアは何も言わない。いや、言えていない。
言葉を発したいのに、口が、呂律が、回らない。
ただ、顔を見ていれば分かる。目を見開き、今にも泣きそうな顔をしている。
救って欲しそうな。そんな、分かりやすい顔。人はこんな顔をするのか.....
サナに救ってもらった顔もこんな顔だったのだろうか。
「やることは決まったわね。」
「ああ。ミアの家族を救いに行く。」
ーーー
「国を攻めるって.....簡単に言ってるけどさぁ.....」
俺とサナに呼び出されたシーアがそう頭を抱えた。
新生フローハットが集っている。巻き込むことになってしまい申し訳ないが、今の俺たちには戦力が必要だから仕方ない。
「まあ、いいじゃねぇか。今まで通りなんとかなるぜ。」
リーダーのジャガーがそんな風に楽観的なのだから、このパーティーは大変だな。
「じゃが、勝算はあるのか?」
「そこについては、今から詰めるけど、とりあえず俺たち以外にも協力者を何人か。」
そう言った瞬間、部屋のドアが開いた。
「こんにちはさね。エミル・ミグルさね。」
エミル・ミグル。世界最高の魔術師として名高い名前に一同が固まる。
「本物?」
「ああ。本物だよ。」
ルアの質問にパッと答える。
「まあ、勝算があることは分かったぜ。」
ジャガーがそう言って、俺を見る。
「うん。あと一人いるんだけど、まあ。」
「こ、こんにちは.....息子がお世話になっております。モルガンです。」
少し緊張気味のモルガンがスーッと入ってくる。
世界最高峰の魔術師の次なのだ。仕方ない。
「ラーファルトのお父さん?戦えるのか。すげえな。」
「いやぁ、少しだけですよ。」
ジャガーの素直な感想に少しモルガンが照れた。
こういう所は昔と変わらないな。
「それじゃ、全員揃った所で、作戦の全容を話します。」




