第238話:操り人形
「.....さて、あなたがなんでここにいるんでしょうね?エールさん。」
刹那、その男は臨戦体制に入る。
こちらの質問に対して誤魔化しも、屈指もせず、即座に攻撃へ移ったのだ。
「ガル.....」
《フローズンエリア》
攻撃の行動に移り、技を放つ前に凍らせる。
「.....おい。勘違いすんじゃねぇぞ。」
全身が凍てつき、身動きの取れないエールを威圧しながらミアの様子も見る。
俯き、そして何かに絶望しているかのような顔だ。
「主導権はこっちが握ってんだ。全て、話せ。ミア。お前からもだ。」
ーーー
「それで、捕まえたと.....」
俺と話しているのは、サナとモルガンだ。
目の前には、捕えたミアとエールがいる。
あの後、店に迷惑をかけるわけにもいかないため、金を払い、そして連れ帰った。
Sari…..何か気付いたことは?
『マスターの記憶を精査した結果、一つの可能性を検知。エールは、ブユレ村にいた、エミールと同一人物の可能性があります。』
顔は一致していないが.....
まさかとは思うが.....
《リセット》
その瞬間、エールの顔が変わる。
「お、お前.....!!」
モルガンも反応した。間違いないようだ。
「いつから、俺たちを狙っていたんですか?エミールさん。」
「.....」
エミールは無表情で何も答えない。
俺は視線を変え、ミアを見た。
「.....私が、メイドとして雇われた時からです。」
転生してすぐの頃、俺はミアからの侮蔑の目線を感じていた。
あれは、俺が変な行動をしていたからでは無い。
「ミア。お前は、生前から何者かに狙われていた俺のことを怪しんでいた。そうか?」
「.....はい。」
転生前、周囲の目線を気にして生きていた俺は気づかぬ内に、そういうことに敏感になっていたのだろう。
今、それを感じないのは俺が変わったということなのだろうか。
「.....とりあえず一番、気になるのはお前たちの裏に何がいるのかだな。」
「それは、じゃ.....」
「言うな!!!」
エール.....いや、エミールが叫んだ。
「言ったら許さんぞ。貴様らの.....うぐっ!」
説教垂れるような態度のエミールの首根っこを掴んだのは俺では無い。
モルガンだ。
「おい。おまえ。もう喋るな。二度と。喋るな。」
ここまで、ブチ切れているモルガンを俺は見たことがない。
ミアというメイド、エミールという村人に裏切られた。
己の子供が狙われていた。それだけで、感情が抑えられなくなることは当然だろう。
そして、その分、俺とサナは冷静になってしまう。
「とにかく。ミアさん。喋ってください。」
サナがそう促す。
「おい.....しゃ.....」
「誰が発言をお前に許した。」
そうやって、尚も抵抗しようとするエミールをモルガンは殺す勢いで黙らせた。
そして、ミアが口を開く。
「私たちの背後にいるのは.....ジャック王国です。」
ジャック王国。ルインド王国を攻めた国だ。
そして、その国の背後にはおそらく.....
サナもそれを感じ取って、俺と目を合わせた。
「創造神。」
そう短く、サナが小声で俺にだけ告げた。
全てを裏で操っているのは、創造神だ。




