第236話:封印が解ける前に
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『はい。呪いの森での出来事。あれは、世界樹の根ですから。』
Sariの声で思い出す。
呪いの森で、俺の入った裂け目の中には神を名乗る者がいた。
そして、神使・アリエル。神に先駆け、現れたそいつも神の命令で来たと発言していた。
同時に、呪いの森で起こっていた騒動。世界樹の根の暴走。
そして、世界樹の中で封印されている創造神。
俺の命を狙う、創造神。
裂け目の中の敵が最後に言った言葉を思い出す。
『ま、待て.....!!貴様!俺が何年.....!!ここで.....!!』
何もかも、辻褄が合う。
俺が何年、ここで、『封印されていると思っているのか。』
続く言葉はこんな所だろう。
そして、これは封印されているのにも関わらず、世界に影響をもたらしている証拠でもある。
「そこにいたのは、調停者.....」
思わず呟く。
「多分、調停者って結構重要な役割を持ってますよね?」
「ええ。持ってるさね。世界中。漏れ出す封印の処理が主な仕事の一つさね。未来の調停神から与えられた力と言われてるさけど、真相は私にも分からんさね。」
じゃあ、色々聞いてみて損はないか?
「一人、調停者を呼んでも良いですか?」
「ええ。お好きになさいなさいさね。」
そう言われて、赤く光る宝石のついたペンダントを取り出す。
それに魔力を込めれば、色が紫色に変化し、やがて、転移魔術を自動生成し始めた。
これの仕組みって......
『2つの同一魔道具を媒介にゲートを生成する転移魔術です。魔力を込めることで作動してます。』
ホールの様な空間の中から一人の人物が出てくる。
「お久しぶりですね。4年ぶりでしょうか。」
「久しぶり。ソウリア。この魔道具こんな感じなんだな。」
現れたのは冥界の谷の調停者ソウリアだ。
「へぇ、ソウリアかさね。久しいさね。」
「えぇと、そちらの方は.....??」
エミルはソウリアのことを知っている様だ。ただ、それは一回目の世界でのソウリアなのだろう。
「説明するよ。エミル・ミグル.....」
「あぁ、へぇ、なるほど一回目と二回目の世界ね.....」
へ?
『彼はエルフォ族です。相手の思考を読むことが出来ます。』
なるほど。なら説明が必要なくて助かる。
「調停者の一人としては、確かに異変は感じますね。特にこの20年ほど。ラーファルトさんには言いましたが.....」
『冥神は創造神の手札の一つだった。十年前、呪いの森では世界樹の根が現れ、暴走した。八年前、世界の魔力濃度及び、魔獣発生率平均が上昇していることが判明した。五年前、深海で異常な魔力を観測した。三年前、渓龍が初めて討伐された。一年前、初めて調停者の一人が殺された。半年前、世界の魔力濃度が再び上昇していることが判明した。三ヶ月前、全世界上空で空間の歪みを感知した。そして、今日。』
『冥神が復活したってことか.....』
その時の会話をSariが流してくれた。
「あれからは、何か変化は?」
「世界全体の魔力濃度の更なる上昇。そして、空間の歪み。これが平常化しかけてきています。」
「それはまずいかもしれないさね。」
声をあげたのは黙っていたエミルだ。
「前回の世界。封印が解ける前の動きと似ているさね。」
「なら、悠長にしてる時間は無いってことか。」
「そうさね。だから、ラーファルト。そして、サナ。君たち二人を、一回目と遜色ないレベルまで強く育てたいのさね。」
俺たちを強くする。世界を救うために。
そして、それは俺たちが敵対する創造神を撃ち倒すことと同義だ。
なら、断る理由はない。
「「分かりました。」」
俺とサナの声が重なり、そう言った。
「では、私も調停者全体に、それを周知しておきます。」
「ええ、助かるさね。」
この場はお開きになるかと思われた。
ただ、ソウリアの一言が最後にこの場を凍り付かせる。
「ラーファルトさんとエミルさん。二人の思考を見て気付いたのですが.....」
深刻な表情で考え込む。
「ミア・アルハイン。彼女は、一回目の世界では、ラーファルト家のメイドをしていません。」




