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感謝祭 - ウィネ

 ウィネが感謝祭のデートの件で日程を伝えてきた。


「ヒーロ、12の月の3日にエンゲイトに行くぞ」

「エンゲイトって?」

「ルベルバック王国の中央辺りにある人族大陸の遊郭と呼ばれるところだな」


 いや、遊郭って! 感謝祭なのに遊郭に行くのか? デートで遊郭に行くのか?


「遊郭でも1日だけ感謝祭をするらしいぞ。我としてもああいう雰囲気のほうが落ち着くからな」

「まぁ、お前がそれでいいなら問題ないけど……」


 話によると屋台とかも出るらしく普段よりもお安く遊べるらしい。

 オレは当日スムーズに行くために事前にエンゲイトの入口付近まで行っており、中に入らなくても他の街と雰囲気が違うことだけは感じていた。




 12の月の3日になり、夕方ごろオレはウィネの部屋にきていた。

 

「いつもと違ってキレイだな」

「ふふふっ、そうであろう――――ん、んっ……」


 ウィネは一線を越えてからは積極的にキスをしてくるようになっていた。


「では、行こうか。現地では我がエスコートをしよう」


 それはありがたいんだけど、今から行くとこ遊郭だからな。遊郭にデートしに行くっていまだによくわからん。


 さっそくオレのワープホールでウィネとエンゲイトに来ていた。エンゲイトは遊郭ということもあってあちらこちらで女性がお店の格子窓がある部屋で座っており外から見える状態になっていた。また、普段出ていないであろう屋台とかも出ていてお祭り感もあった。

 今回はウィネのエスコートでオレはついていくことになっているが、ウィネはオレよりも背が高く180ぐらいありさらにヒールで高くなっているため身長的にべったり腕を組んで歩けずオレの左腕を軽くだけ組んで歩いていた。


 やはり感謝祭とはいえ遊郭だけのことはあって男の人族や魔族が多い。そのうえその者たちは遊ぶためにここに来ているので、お店の女の子よりも魅惑的なウィネのほうにどうしても目がいってしまうようだった。

 さきほどからそういう男たちがウィネのことを見ると、ウィネのことを二度見する男やジロジロ見ながら仲間通しで何かしらつぶやいている男たちもちらほら目立っていた。


「おいっ、見ろよ。あのサキュバス、すごいぞ」

「あぁ、ヤバいな。一緒に歩いているやつってただの人族だろ。なんであんなやつと歩いてるんだ」


 まぁ、わからなくもない。今のオレは力も出していないし実力のないものから見たらただの人族の男だからな。それにしても地球のころでは考えられなかったな、ミコとかウィネみたいな人が羨む美人さんと一緒に歩いているとは。


「あの人族をボコボコにして奪うのもアリだな。サキュバスだから無理やりでもいいだろ」

「くくくっ、何人かで組んでやるかぁ?」


 丸聞こえなんですけど、あと隣でウィネがピクピクしてるんですが……。


「ウィネ、せっかくのデートなんだから落ち着いたら」

「なぜだ? あんなこと言われて落ち着けるのか?」

「そこらへんの石ころに怒っても仕方ないだろ」

「はははっ、なるほどな。そういう風に考えたら良いのか」


 しばらくして、さっきの奴らを含む複数のやつらが後をつけてきた。かわいい子とか美人さんとかと歩いていると本当に絡んでくるやつがいるんだな。


「どうするのだ。放置してもこのままだろ。我が対処しようか」

「いや、人通りのないところに入るぞ」


 オレたちは少しいったところの裏路地っぽいところに入っていった。案の定後をつけてきている奴らが同じようにそこに入ってきた。

 しばらくして、オレたちは6人の魔族らしき男たちに囲まれてウィネが狙われていた。


「ひっひっひっ、自分からこんなところに入るとはな。アホな男と――」


 オレは6人とも消滅させた。話していた男が話終わっていなかったが、オレはいちいち聞く必要もないと思ったので遠慮なく全員消した。


「ウィネに手を出そうとしてるやつなんかいらないでしょ」

「くくくっ、我は幸せ者だな。ヒーロにケンカを売るとは馬鹿なやつもいるものだ」


 さて、仕切り直してお祭りを楽しみますか。


「それじゃ、ウィネ改めて頼むよ」

「ああ、任せろ」

 



 改めてウィネに案内されるがままついていくとそこは立派なラブホテルだった。

 おいっ、サキュバスよ! せっかのデートなのにラブホに直行か!


「宿に直行って、感謝祭のときじゃなくても良かっただろ」

「我はサキュバスだからな屋台なんかよりこちらがメインだ。それに感謝祭の雰囲気の中やるから意味があるのだ」

「まぁ、それは構わないけど、デートは?」

「我にとってこれからがデート本番だ」


 本当にわかりやすい種族だな。まぁ、本人がいいと言ってるなら構わないけど。




 しばらくして日が変わろうかという時間になっていた。


「ヒーロ、我は幸せだ」

「満足してもらえて良かったよ」

「やはりいつもと違う服だといいだろ」

「服に関しては最初だけな」


 うーん、これはデートなのかな、本人が満足してるならそれでいいんだけど。


「なぁ、ヒーロ。我はヒーロの隣にいていいのだろうか」

「ん? 急にどうした?」

「ミコみたいに何かで繋がってるわけでもない、フィアーノみたいに変態でもない」


 ミコの件はさておき、オレは変態が好きなわけじゃないからな! あと、フィアーノの話が出ると全然深刻な感じしなくなるから。


「変態のことはどうでもいいとして、ウィネも十分特別な存在だと思っているよ。オレはウィネみたいな美人で良く出来た女性が隣にいてくれて誇らしいよ」

「そうか、我は良く出来ているのか。隣にいて誇ってくれるのか」

「あぁ、オレにはもったいないくらいな」

「ふふふっ、ヒーロッ!」


 ウィネが勢いよくキスをしてきて、再びウィネと体を重ね合った。















 ヒーロとモデウィネがデートをした次の日の夕方ごろ、モデウィネが自分の部屋にヘルミーを呼んでいた。


「ウィネさん、ご機嫌ですね。昨日のデートは楽しめたのですね」

「うむ、気分は最高だな。ものすごく気持ちよかったぞ」

「もぉ、ウィネさん、そんなハッキリおっしゃらなくても。私も手を出してもらいたいですわ」

「ヘルミーはまだだろうな。ヒーロは自分の中でハッキリ線引きをしてそうだからな」

「ウィネさんにも長い間手を出さなかったくらいですからね」

「そうだな……まぁ、我に関しては自分も悪いのだが」


 ヘルミーが来てから1カ月も経っていないがモデウィネとヘルミーの関係性は友人のような感じになっていた。


「ヘルミーよ、感謝祭のデートに行く服だがこれなんかどうだ?」

「わぁ、すごいかわいいですわね」

「ヘルミーの大きい胸が強調されるような服になっているぞ」

「そ、そうなのですね……」


 ヘルミーは少し不安そうな顔をしていたが、モデウィネが気にせず話し始めた。


「他の男からジロジロ見られるかもしれんが、ヒーロが隣で守ってくれるから堂々としておれば良い。それにヒーロにちょっとぐらいアピールもしないとダメだろう」

「ウィネさんもデートのときはジロジロ見られたのですか?」

「あぁ、それはもう卑猥な目つきでジロジロと見られていたぞ。ただ、隣にヒーロがいることで何も心配はなかったな。ヒーロは安心感が半端ないからな」

「そうですわよね! ヒーロさんが隣にいらっしゃるわけですから大丈夫ですわよね!」


 こうしてヘルミーのデートに着ていく服が決まった。


「ヒーロにその胸を押し付けてこい!」

「はい! いっぱい押し付けますわ!」


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