感謝祭 - ミコ
今日でミコとウィネ、明日にヘルミーとフィアーノを投稿します。
12の月になり感謝祭のシーズンになった。
オレは最初にミコと感謝祭のデートをすることにしていた。ミコ自身は一緒だったらどこでもいい、つまり感謝祭の雰囲気が味わえなくてもいいとか言っていたが、せっかくなので感謝祭が行われているところでデートをしようと考えていた。
「ウィネ、相談があるんだけど。明日、ミコと感謝祭のデートをしてこようと思ってな」
「ん? さっそくか。明日ということはどこがやっておるのだ」
「グラストル王国の東のほうにイザという村があって、そこがやってるらしいよ」
「ほぉ、村ということはこじんまりした感じなのだな。ところで、相談というのはなんなのだ?」
オレはウィネにミコをコーディネイトして欲しいと依頼した。普段ミコは能力で服を用意しているため新しくモノを用意する必要はないが、服のデザインをいつもと違うようにしてもらうためにウィネにお願いした。あとは髪型もそれに合わせて変えてもらうようにもお願いした。
「なるほどな、ミコはそのあたり気にしていないだろうからな。それにしても見た目も含めて何も気にしていなくてあれだけ美人なのは我は気に食わないがな」
たしかによくよく考えるとすごい。ただ、あの人化の能力は主に合わせる能力だから、人化して主の好みに合わなくなるのも意味が分からないからそのあたりうまくできているんだろうな。
今日は日が暮れたらマスターとデートをする約束をしています。
ただ、なぜかマスターが先に現地に行き、私があとからそこに行くという待ち合わせ方法を取るみたいです。私にはマスターの考えがわかりませんがマスターが言うことは正しいので問題ありません。
「ミコ、こんな感じの服でヒーロと会うのだ」
「なぜこんなややこしい服にしないとダメなんですか?」
いま私はデートをするときの格好についてウィネにいろいろ言われています。
「もちろんヒーロが喜ぶからに決まっておるだろ」
「本当にマスターが喜ぶのですか? マスターは私が裸でも喜んでくれますよ」
「デートなのに裸で行ってどうするのだ! たまには違う服を着て雰囲気を変えたほうが新鮮味があってヒーロも喜ぶぞ」
「そうなのですか……」
マスターが喜ぶのであれば仕方ありません。ややこしいですがこの服で行きましょう。
「あと髪型だがポニーテールにでもしておけば良いだろう」
「ポニーテール? 最後はくしゃくしゃになるのですからこのままでもいいと思いますが」
「なぜ最初から最後のことを考えておるのだ! この服に合うような髪型を勧めておるのだ!」
仕方ないですね、服とワンセットならその髪型にしましょうか。
「あとデートと関係ないが、普段から服を変えるとヒーロが喜ぶぞ、いろんな意味でな」
「どういうことですか? 詳しく聞かせてください」
――――ほぉ、そういう効果あるのですね、今度試してみましょう。
「ところで、ミコはヒーロのことをどう思っておるのだ?」
「どうとは?」
「好きとか、愛しているとか? どうなのだと聞いておるのだ」
マスターのことは――私の主であり………………。
「ふん、即答できぬあたり気づいてないのか、結構長いこと一緒におるのに。ヒーロのことを主ではなく1人の男として見てみよ」
「どういうことですか?」
私は日が暮れるころマスターが待っている村の方角に虎の状態のまま空を走っていました。
私はいつの間にかいつもより力が入っていました。このあとマスターに会えるから、それだけではありません。なぜかわからないですがすごく楽しみにしている自分がそこにはいました。
ウィネに言われたことで私はマスターのことをいつも以上に考えながら走っていると、思っていたよりも走っていたようでいったん降りて自分の位置を確認することにしました。
降りたところは何もない平野でしたが周りには武器を持った人族がたくさんおり、私が降りたことでその人族らは恐れおののいて、しまいには皆が東の方に逃げていきました。
そんなことよりもはやくマスターの位置を確認しないと。――――あちらですね、私としたことが浮かれて通り過ぎるとは。
私は村の近くに着くと人化してウィネに言われた服と髪型をセットしてマスターのもとに向かいました。
「マスター、お待たせして申し訳ございません」
「いや、いま来たところだから気にしなくていいよ」
あれ? マスターは結構前から来ていたように思いますが……。
「それよりも、ミコその恰好かわいいな」
「あ、ありがとうございます」
マスターが頭を撫でながらかわいいと言ってくれました。
マスターは普段から私のことを褒めてくれますが、なぜかこのときはいつもとは違った感じですごくうれしかったです。
「それじゃ、行こうか」
マスターが私の右手を1本1本指を絡ませるように繋いで歩き始めました。
私はなぜか心臓のあたりがどきどきして少し体が熱くなりました。人族の状態で手を繋ぐくらい布団の中でいつもしています、でもなぜかいつもとは違います。
この村はお祭りだからと言ってそこまで人族がおらず、マスターの近くにいたい、マスター以外の人族に興味もない私としては助かりました。
「ミコ、何か食うか。うまそうな屋台があるけど」
「え……はい、マスターが食べるのであれば私も」
「うーん、肉串にでもしておくか」
マスターが私の好みに合わせて肉を選んでくれたことはわかっています。ただ、どうしてかわかりませんが、買っていただいた肉を食べてもいつもより味を感じませんでした。
「おっ、アクセサリーも売ってるのか」
マスターが何かの装飾品を手に取り買っているようですが、私の場合は能力で作れるのでウィネあたりに買うのでしょうか。
「ミコ、この髪飾りつけてみて。たぶん似合うよ」
「えっ!? 私がつけるのですか?」
「ミコのために買ったからな」
「でも、私であれば能力で作れますが……」
「それだと意味がないからな。オレがあげた物を身につけるから意味があるんだよ」
マスターがそう言うと私の髪にさきほどの花模様の髪飾りをつけてもらいました。
「うん、似合うな。ミコの銀色の髪の毛によく似あうよ」
「あ、ありがとうございます」
なんと表現していいのかわかりませんが、ものすごくうれしいです。どこか体がふわふわした感じもします。
「ちなみに、虎の状態になったらこの髪飾りはどうなるの?」
「ああ……外れますね」
「だよね。こういうときだけつけるとかにするか」
「はい、そうですね……」
マスターからいただいたこの髪飾り、肌身離さず1秒たりとも外したくない。このときほど虎の状態を恨んだことはありません。
その後、私は少しだけふわふわした状態のままマスターと歩いていると、いつの間にか人族がほとんどいないところまで来ていました。
「この村はそこまで大きくないから屋台もさっきのところまでか。ミコ、ちょっとあっちのほうに行こうか。何もなくて景色がキレイそうだから」
「はい……」
そのままマスターと歩いて行くとそこには人族が誰もおらず目の前にはただただ平野が広がっていました。
「ミコ、空を見上げてみ。キレイだよ」
「え? ――――たしかに、キレイですね」
マスターのおっしゃる通り空を見上げると何かが光っていてキレイです。ただ、私はいまでもどこか心あらずのままでした。
「ミコ」
「はい? ん……」
私がマスターのほうを向くと、マスターがキスをしてくれました。
「ミコ。お前に1個伝えときたいことがあってな」
「なんでしょうか」
「オレ、勝手に決めてることがあって――――オレが死ぬときはミコと同じ場所で死のうって心に決めているんだよ」
「!?」
「オレが死ぬとミコも死ぬだろ。だからオレは勝手に死ねないし、オレが死ぬとしてもミコが突然知らない間に死ぬのもオレは耐えられない。だから、オレは死ぬときはミコと一緒の場所でって勝手に心に誓った」
「マスター……私も最後マスターと一緒なら幸せです」
私がそう答えるとマスターが私を強く抱きしめてくれました。
「ミコのこと愛してるよ。たぶんホワイトタイガーのままだけだと愛まではいかなかったと思うけど、人化してくれたことで1人の女性として愛することができた」
「!?」
――――私はマスターに愛していると言われてこのとき気づきました、主従の関係ではなく1人のオスとして愛していることに。ウィネが言っていたことはこのことだったのですね。
「マスター、私もマスターのことが好きです、愛しています」
私は改めてマスターとしばらくの間キスをしました。
次の日の昼ごろ、私はウィネの部屋に来ていました。
『ウィネ、ありがとうございます』
「ん? どうした? 珍しいなお前が礼を言うなんて」
『ウィネのおかげでマスターとさらに深く繋がることができました』
「こんな時間までイチャイチャしてたらそうだろうな」
ふふっ、昨晩はいつも以上にマスターと愛し合ってしまいました。
「まぁ、良い。次は我の番だからな」
『マスターと私の関係以上には誰もなれませんよ』
「そんなことはわかっておる。――――まぁ、その虎の状態でも幸せが伝わってくるぐらいだから良かったな」
『えぇ。ウィネ、本当に感謝しています』




