第四十九話 The deep memory
ああああああ!すいません!
今日の昼ごろ投稿するつもりだったのに忘れてましたぁぁぁぁ!!!
こんな時間ですが、良かったら読んでくださいぃぃぃぃ!!!
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ーーー深く、深く、意識が沈んでいく。閉ざしていた扉をこじ開け、その向こう側へと。
目を背け続けていた記憶の彼方へと、深く、深く、沈んでいく。
◆
「お母様ー!!!」
「あら、悠。どうしたの?」
それは、穏やかな時間。
間宮家は普通より裕福な由緒ある家だった。
だが、特に厳しいというわけではなく、父親も母親も、一人娘である間宮悠を優しく育てた。
そして悠も、優しい少女に育った。
昔から付き人として三上家と関わってきており、悠と悠の年齢と同い年の娘、三上舞は仲が良く、よく一緒に遊んでいた。
「私、今から外に遊びに行ってくるね!」
悠はとても楽しそうな表情で母親に報告した。どこかに行く時はちゃんと言ってから行く。それがこの家の決まりだ。
「はいはい。またいつもの公園?」
「うん!」
「……お父さん、そんな顔しないの」
うきうきとしているのを隠そうともしない娘の姿に、父親は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
そんな父親に、母親は困ったように笑う。
「ゆ、悠。今日もまたあのクソガ……少年と遊ぶのかい?」
「うん!奏多と遊ぶの!」
「ぐっ……!」
端的に言えば、娘が男(子供)と遊ぶのが嫌なのだ。しかも、どう見ても娘はその男に好意を抱いている。
父親がそれをよく思わないのも、まあ当たり前と言えば当たり前だろう。
「いつかぶん殴ってやるからな……!」
「奏多を……?」
まだ見ぬ少年を思い、拳をワナワナと震えさせる父親に、悠は悲しそうに尋ねる。
「うっ……そ、そうだ!」
「ダメ!絶対ダメ!奏多は私が守るもん!奏多をいじめるお父様なんて大嫌い!!!」
「うぐっ!!!」
腰に手を当てて頰を膨らませる悠に、父親は雷に打たれたような衝撃を受け、苦しそうに胸を押さえた。
母親はそんな二人を見てやれやれとしている。
「ほら、悠。行かなくていいの?」
「あ、そうだった!」
「気をつけてね。それと、いつか奏多君を私達にも紹介してね?」
「はーい!行ってきます!」
元気良く返事をした悠は玄関で靴を履き、笑いながら外へと飛び出した。
◇
「あ、これ無理」
視界を覆い尽くした炎を見て、僕は察した。
本当は剣圧で吹き飛ばしてやろうかと思ったが、この密度の炎は無理だ。
僕は脚力を強化し、その場から離れる。
「おいおい……これはやりすぎだろ」
僕が躱した炎は、その延長線上の物全てを焼き尽くした。もはや黒く煤けた何かしか残っていない。
「おらァ!」
目の前に迫ってきたフラスゴーの手には、炎で作られた剣が握られていた。それを宝剣で受け流し、首を斬りつける。
が、それは寸前で躱された。
「危ねぇな!」
「危ないことしてるんだよ!」
「良い事教えてやろうか?」
僕の剣戟を、もはや受けることなく躱し続けるフラスゴーは余裕の笑みを浮かべている。
「良い事?」
「そ。俺はな、やろうと思えばいつでもこの国を滅ぼせる。一撃で、だ」
「………」
ちょっと前までの僕なら信じてなかったかもしれないけど、今は違う。
『力の魔将』シーファとの戦いで僕は学んだ。
こいつらは、まじで危ない。
「分かるか?俺がなんでそれをやらないのか」
「……僕に興味を持ったから。だから、飽きさせるなとかってこと言いたいんだろ?」
「そういう事だ!よく分かってんじゃねえか!」
「なら要望通りやってやるよ!『光の剣!『千刃』!『桜花繚乱』!!!」
「はっ、甘え!!」
千の『光の剣』を、フラスゴーは片手を薙ぐことによって発生した炎だけで消し去ってしまった。炎が竜王国を赤く染め上げる。
……千もあるのに甘いって、ほんとめちゃくちゃだな。
「爆炎、蟷螂!」
鎌のような炎が、僕を両脇から襲う。切っ先がガリガリと建物を削り取っているのが見えた。こっわ。
「『光の双刀』」
手刀を作り、炎の鎌へ向けて光の斬撃を放つ。
「『模倣』!」
光と炎が衝撃と共に相殺したのを確認した僕は『模倣』を発動する。
コピーするのは、卓也のスキルだ。
ギュルン、と体が高速で回転した。『身体能力強化』を使ってそれに対応する。
「っ、急に速えな!」
一瞬でフラスゴーの懐に潜り込んだ僕は、宝剣に光を這わせて思い切り斬り上げる。
が。
「陽炎」
ゆるりと、フラスゴーの姿が消えた。
「は?」
「ばぁ!」
「ぐっ!?」
急に、背中に熱を感じた。視界の端に、吹き出る血飛沫が見える。
見れば、炎の剣を握るフラスゴーが背後に移動していた。
「はは、楽しいなっ!?」
笑い声をあげるフラスゴーの頰を、僕の足が穿った。全力で叩き込んだ一撃はフラスゴーを吹き飛ばす。
「ぎっ、ごっ、ゔっ、がはっ!」
ゴム毬のように地面を転がったフラスゴーは、自分が作り上げた瓦礫の山に衝突した。
洩らした苦鳴が聞こえてくる。
「……は、やるな」
特になにもしてないけど。
ただ、卓也と同じことをしただけだ。
コピーしたスキルで体を高速回転させ、その勢いのまま回し蹴りを放つ。
「誘われたってわけか」
「思ったより痛かったけど」
背中の傷を気にしながら喋る。
正直、気を失いそうなぐらい痛い。ただ、炎の剣で切ると同時に焼かれたからか傷跡は塞がっているから出血はない。
『自己再生』はまだ使えない。
「お前、思ったよりやるじゃねえか。しかもまだまだ本気じゃないだろ?」
「……本気だよ」
「嘘つけ」
首を後ろに逸らす。眼前を炎の刃が通り過ぎた。
近付いたフラスゴーの顎に掌底を打つが、手首を掴まれて抑えられた。
そのまま振り回されて地面に叩きつけられる。
僕は叩きつけられた瞬間にフラスゴーの腕を掴み返し、勢いに乗せて地面に叩きつけ返した。
ゴロゴロともつれながら地面を転がり、二人同時に立ち上がる。
そしてその時には既に、蛇を模した炎が僕に襲いかかってきていた。
「っ、『光の奔流』!」
炎と光が激突するが、明らかに火力が足りない。炎は光を食い破って尚、勢いは弱まらない。
「くそが」
僕はその場から飛び退いた。
これだけの規模の攻撃を避けるとなると、回避するだけでもそれなりの力がいる。
「っ!」
迫る拳を受け止めると、ジュワッという音と共に掌が焼けるのが分かった。
「痛えなっ!」
僕の足がフラスゴーの脇腹を蹴り抜いた。残像を残して地面を転がっていく。
「『閃光』!」
宝剣に光を這わせて斬撃を放つ。
卓也の腕を切り落とした、文字通り光の速度で飛ぶ斬撃だ。
手段は分からないが花崎香織には防がれたが、そう簡単なものじゃない。
「陽炎」
が、またそう呟きが聞こえた。
次の瞬間、僕の隣にフラスゴーが現れる。
宝剣を掴む左腕をフラスゴーに向かって突き出す。が、それと同時に左腕の感覚が消えた。
「……あれ?」
ない。
「があああああああああ!!!」
左肩から先が消滅していた。視認出来なかったが、恐らく炎にもっていかれたんだろう。
「はは、そろそろ終わりかぁ!?」
「いや、まだだけど」
「あっ、がっ!?」
調子に乗り始めたフラスゴーの顔面に拳を叩き込む。
フラスゴーは鼻血を吹きながら後ろへのけぞった。
が、それを胸元を掴むことで途中で止まる。ガクンと体が止まったことに呻き声が聞こえた。
「もういっちょ!!」
右手でフラスゴーを手前に引き寄せ、左手で再びフラスゴーの顔面を殴り飛ばした。
「げぅっ!!」
変な声をあげて呻くフラスゴーに、追撃とばかりに回し蹴りを放った。
足裏がフラスゴーの痩せ細った腹を穿ち、やすやすとその体を浮かせる。
「ったく、油断するなんて余裕だな」
僕は左手をぶらぶらと揺らす。
もちろん、『自己再生』を使った。流石に片腕がないのはまずいし、痛くて仕方なかったからすぐに使った。
フラスゴーも欠損が瞬時に治るとは思わなかったか。
「………」
瓦礫の山から出てきたフラスゴーは無表情だった。ピリピリと、肌を刺すようなプレッシャーを感じる。
「悪い悪い。正直、ちょっと舐めてたわ。竜将ってのもやるもんだなぁ」
まあ、本気じゃないだろうなとは思ってたけど。
それでも、多分こいつよりシーファの方が強かった。だからこそ、こいつ程度に負けるわけにはいかない。
「こっからが本番だ。気ぃ抜くなよ?一瞬で蒸発したくなけりゃな」
ゴウッと、フラスゴーの全身を炎が覆った。この距離でもかなりの熱さを感じる。
……僕もギアいれるか。
「『叡智の光』」
こいつが言った通り。
ここからが本番だ。




