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 それから少女は、赤ん坊を拾わなくなった。

 森に捨てられた赤ん坊を見つけると、わざわざ森の外へと捨てに行くようになった。


 少女はさみしいという感情をすこしだけ理解したのかもしれなかった。



 だが、少女はどこまで行っても少女だった。


 死に瀕している人間がいても何もしなかった。

 襲い掛かってくる人間がいれば容赦なく斬り捨てて、その場で忘れた。


 恋心を告げられても「ふーん」で流し、憎しみをぶつけられても「へー」で流した。


 少女は打ち捨てられた存在以外、誰に対しても分け隔てなく容赦がなかった。



 その時がきたときも、動揺などは見られなかった。


 同居人の前にもう飲まれることがない紅茶を置き、

「これが最後のお茶だよ。……じゃあね」

 と小さく笑って、その場からよたよたと去って行っただけだ。



 少女が最後に作った墓はとても不格好なものだった。


 そこに彫られた文字は1つもない。

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