俺氏異世界で無力。
草原におりたった俺は状況が分からず言葉を失う。
俺は本当に異世界に飛ばされたのかよ・・・・・・
今いる状況を把握しようにも辺り一面は草原が広がってるのみで現状確認できることは、ここが日本じゃない・・・・・ひいては地球でもないってことぐらいだ。
え?なんで、周りが草原ってだけでここが日本でも、地球ですらもないってわかるかって・・・・・?
そりゃあ、目の前にドラゴンがいれば誰だって・・・・
「ぎゃああああああああああ!!!!!!」
叫びながら走る俺
「いくら異世界っつっても、いきなりドラゴンとかないだろおおおお!!!!!!!」
周りに何か隠れる場所がないか探すも、くるぶしあたりまでの草がはえているだけでたとえ寝そべったところでドラゴンから丸見えだろう。
あぁ、短い人生だった。
走馬灯が走る。
小学生の時、遠足で弁当を俺だけ忘れて、同じ班の奴らにおすそわけしてもらったっけ・・・
中学生の時、学年一の美人に消しゴムをひろってもらった俺は速攻で勘違いをし、告白して玉砕されたっけ・・・
高校生の時、・・・・・
あれ?まだ俺生きてる・・・?
走りながらも、自分がまだ生きていることに気づく。
立ち止まった俺は後ろにはまだドラゴンがいるのではないかという恐怖を抱きつつもゆっくり振り返り、
「はあぁー」
いなかったことに大きな安堵のため息をつく。
さっき、自分がおりたっただあろう場所に既にドラゴンの姿はなかった。
やっぱり、なんかの見間違えだったのか?
そう思いつつ、頬をつねる。
「痛い。」
ただ、それだけが口からもれ、夢がさめるわけでもなかった。
「はぁ、俺はこれからどうすればいいんだ。。。」
異世界召喚されたことにまだあまり実感がなく、ぼそっとつぶやく。
いきなり、お金の神様とやらにお金が全ての世界にとばすとか言われて強制異世界召喚されたら誰だってこうなるだろう。
「やぁ!」
突然、聞こえた声にあたりを見まわす。
自分の左隣に例の神様はいた。
「無事、異世界に到着できたね!さぁてこれから君の異世界生活が始まるわけだけど、どうだい?wわくわくしてるか?wまぁ、でもそんなことはおいといてーとりあえず君が今いる状況を教えてあげるよ。」
ところどころにwが見え隠れしてる神様の物言いにイラッとしつつも神様の説明を受ける。
「今君がいるのはトワ王国の東に位置する州のひとつギルランド。トワ王国は軍事も経済も盛んな最強な国で、その中でもこの州は経済特区的なところさ。君の世界で言う中国の上海的な場所だと思ってもらえればいいよ!金があれば本当になんだってできる君の理想の楽園だよ!」
嬉々として説明をはじめる神様。
「…はぁ、そうですか…」
神様の説明に適当に相づちを打ち続ける俺に当の本人ははご立腹のようだ。
「もー、なんでそんな楽しそうじゃないんだよー!せっかくお金の神様であるわたしが君の理想の異世界へと召喚してあけだんだからもっと喜べ!」
となんとも理不尽きわまりないことをわめきやがる。。。
さっき、別に行きたくないっていったのになーと(遠い目)
その時、
「きゃああー」
いきなり女性の叫び声が聞こえ俺はとっさに声のした方を振り向いた。
2、30メートル先だろうか。そこには10歳くらいの女の子が転んだのか倒れていて、しかも、その子の目の前には俺がさっきまで逃げていたはずのドラゴンがいて、今にもその子に襲いかかろうとしている。
なぜかそのそばには荷馬車があり男達が今にも逃げ出さんとしている。
「え?!どういう状況…?」
わけがわからず困惑する俺に
「あぁーあれはどっかの商人連中だね。で、あの女の子は物資の運搬してる最中にモンスターに襲われた時、商人達が逃げられるようにするための囮だろう。」
とんでもないことをたんたんという神様。
「は、はぁー?あの子が囮?なにわけわからないこと言ってんだよ。たかが10歳くらいのしかも女の子を囮とかなんの悪い冗談だよ。」
俺はまともに取り合おうとしない。
異世界に飛ばされていきなり目の前で女の子がドラゴンに襲われて、しかもその子は囮なんて…これはもしや出会いフラグ。
かっこよく俺があの子を助けて、そしてあの子は俺に恋をする…完璧!
俺は脳内で勝手なストーリーを思い描く。
「神様はこの世界には魔法はあるのか?」
唐突には俺の口から出た言葉に
「え?魔法?あるよ。」
神様はキョトンとしている。
よっしゃー勝ち確!内心大喜びする俺は表情にそれを出さず
「俺があの子魔法使って助けるから魔法の使い方教えてくれよ。それで、俺はあの子を助ける。神様なら知ってんだろ?」
「え…いいけど君は使えないよ…」
現実は無情だった…
「マジかよ!!!」
「うん。マジマジ。そんなに簡単に誰でも魔法が使えたら囮なんて最初から存在しないよー(笑)」
神様は無情だった。
そうこう神様と言い争ってる間にもドラゴンは女の子に近づいていく。
「じゃあ、俺が行くしか・・・・・」
そう言い自分自身に言い聞かせるも体はいうことを聞かず動かない。
ドラゴンに恐怖してしまっているのだ。
クソ!動けよ俺の体!
体に鞭打って一歩踏み出そうとしたその時・・・・女の子と目が合った・・・
「お兄ちゃん助・・・・」
女の子が発しようとした言葉は、しかし最後まで続かなかった。
ドラゴンが女の子を咀嚼した。
飲み込んだなんて言う生易しいものではない。
上半身から噛みついて胴体と脚とが離れ離れになる。
ばりばりと骨をかみ砕く音が聞こえる。
閉まり切っていないドラゴンの口の端から少女のものであろう血が滴っている。
俺はその場に嘔吐した。
「勇太くん!今のうちに逃げるんだ。」
「お、お前は今の光景を見て何とも思わないのか?!」
目の前の惨状に悪寒を覚えながらも俺は何とか声を絞り出す。
「これがこの世界の摂理だよ。」
神様は淡々と言う。
「さっきも言っただろう、お金が全ての世界だって。ここでは何もかもがお金で取引される。人の命だって例外じゃないんだ。」
「だけど・・・」
反論しようとする俺に神様はたたみかけてきた。
「この世界は君の理想の世界だろう?お金が全ての世界だよ?それに、さっき君はドラゴンの前に立ちはだかったとして少女を救えたかい?魔法も使えない膂力が人並み以上にあるわけでもない君に。」
神様の質問に俺は口をつぐむ。
「さぁ、まだドラゴンがこっちに気が付いていないうちに逃げるんだ。」
「くっ!」
俺は走り出した。
何もできなかった自分に無力感を感じながらもただやみくもに走り続ける。




