表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
61/69

第六十話 開戦

終末の門が完全に開いた。

空が消える。

大地が消える。

世界の境界が崩れていく。

虚無。

ただ虚無だけが広がる。

黒でもない。

闇でもない。

何も存在しない空白。

それが無限に続いていた。

ゼロはその中心に立っている。

まるで。

虚無そのものが人の姿を取ったように。

『来い』

静かな声だった。

だが。

世界全体へ響く。

『最後のレイドを始めよう』

その瞬間。

シモンが駆けた。

迷いはない。

蒼雷が唸る。

青い雷光が世界を裂く。

一直線。

ゼロへ向かう。

百年前なら。

攻略開始の合図だった。

そして今も。

変わらない。

「行くぞ!!」

ヴァルクが笑う。

「おう!!」

エリオスが飛び出す。

「待たせたな!!」

ガルドが盾を構える。

「全員前へ!!」

ミリアの魔法陣が空を埋める。

「支援開始します!!」

百年前。

何度も聞いた声。

何度も見た光景。

攻略組。

再び集結。

その中心を。

シモンが走る。

ゼロは動かない。

ただ見ている。

観察するように。

楽しむように。

そして。

シモンの剣が届く。

蒼雷。

全力。

百年分の想い。

百年分の怒り。

百年分の願い。

全てを乗せた一撃。

だが。

ゼロは片手を上げた。

ただそれだけ。

キィィィィィィィィン――

蒼雷が止まる。

空間ごと。

時間ごと。

止められた。

シモンの目が見開かれる。

「な……」

初めてだった。

蒼雷が完全に止められたのは。

ゼロは笑う。

『良い剣だ』

その瞬間。

指先が動く。

衝撃。

世界が吹き飛んだ。

ドォォォォォォォォォォン!!

シモンが弾き飛ばされる。

数百メートル。

いや。

数キロ。

虚空を転がる。

それでも。

止まらない。

ようやく体勢を立て直した時。

背後で咆哮が響いた。

フェンだった。

『主に触れるな』

銀狼が飛ぶ。

風が集まる。

世界中の風が。

全て。

フェンへ集まる。

巨大な狼神の幻影。

天狼王。

守護者の王。

『吠えろ』

咆哮。

世界が割れる。

暴風がゼロを飲み込む。

さらに。

ノアが動く。

蒼い海が現れる。

世界樹の根を包むほどの大海。

海の守護者。

世界の生命循環そのもの。

『沈みなさい』

津波ではない。

海そのものが落下する。

続いて。

イグニス。

紅蓮の巨神が笑う。

『派手に行くぞ!!』

太陽のような炎。

世界を焼く神火。

守護者三柱。

同時攻撃。

百年前ですら存在しなかった光景だった。

虚無が吹き飛ぶ。

世界が震える。

攻略組が息を呑む。

だが。

爆炎が消えた時。

ゼロはそこにいた。

傷一つない。

『素晴らしい』

本当に感心したような声だった。

『世界樹』

『守護者』

『人』

『これほど揃ったのは初めてだ』

その時だった。

アーサーが前へ出る。

世界樹の根から。

黄金の光を纏って。

ランキング一位。

最強。

百年間世界を支え続けた男。

『シモン』

声が響く。

『思い出せ』

シモンが顔を上げる。

『百年前』

『最終レイドで』

『最後に何が起きた』

その言葉に。

記憶が蘇る。

サービス終了直前。

終焉の王。

攻略組。

最後の戦い。

そして。

最後の最後。

誰も理解できなかった現象。

空に現れた巨大な紋章。

世界樹。

召喚陣。

守護者。

全てが一つになった瞬間。

シモンの瞳が見開かれる。

「まさか……」

アーサーが笑う。

『ようやく気付いたか』

世界樹が震える。

フェンも。

ノアも。

イグニスも。

全員がシモンを見る。

そして。

世界樹が静かに告げる。

『契約者』

『最後の召喚を行ってください』

空気が変わる。

ゼロの笑みが初めて消えた。

黄金の瞳が細まる。

『なるほど』

その声に。

初めて警戒が混じる。

『そこへ辿り着いたか』

世界樹が輝く。

守護者たちが咆哮する。

攻略組が武器を掲げる。

百年前。

完成しなかった最後の術式。

サービス終了によって失われた召喚。

その名前を。

アーサーが口にする。

『世界召喚』

その瞬間。

世界樹の根が。

眩い光を放ち始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ