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第四十八話 攻略組の連携

アビスドラゴンが咆哮する。

黒い翼が広がる。

空が覆われる。

巨大な影が草原を飲み込んだ。

黄金の瞳が二人を見下ろす。

百年前。

攻略組数百人を苦しめた怪物。

だが。

今ここにいるのは。

その頃より遥かに強くなったシモンと。

百年間侵食へ抗い続けたヴァルクだった。

「先行くぞ!」

ヴァルクが地面を蹴る。

ドォォォォォォォン!!

草原が吹き飛ぶ。

一直線。

真正面から突撃。

昔から変わらない。

何も考えていないように見える。

だが。

違う。

ヴァルクは仲間を信じている。

自分の背後を守ってくれると。

だから全力で前へ出る。

シモンは知っていた。

だから。

同時に走る。

蒼雷が唸る。

青い雷光が全身を包む。

アビスドラゴンが翼を振るった。

暴風。

黒い刃となって襲い掛かる。

ヴァルクは避けない。

大剣を構える。

「邪魔だぁぁぁぁぁ!!」

一撃。

暴風ごと叩き割る。

だが。

その隙を狙って黒い爪が振り下ろされる。

巨大な爪。

山を砕く一撃。

直撃すれば終わる。

だが。

シモンがいた。

蒼雷が閃く。

青い軌跡。

爪の軌道が逸れる。

ヴァルクの肩を掠めるだけで通過した。

「助かる!」

「前だけ見てろ!」

「それしか出来ねぇ!」

「知ってる!」

二人とも笑う。

百年前。

何度も繰り返したやり取りだった。

アビスドラゴンが怒る。

咆哮。

黒い炎が集まる。

ブレスだ。

今度は避けられない。

距離が近すぎる。

だが。

シモンはニヤリと笑った。

「ヴァルク」

「あ?」

「飛べ」

数秒の沈黙。

そして。

ヴァルクも笑った。

「やっぱりそれか!」

百年前。

何度もやった。

無茶苦茶な連携。

ヴァルクが踏み込む。

大剣を地面へ突き立てる。

全身の筋肉が膨れ上がる。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

地面を殴る。

爆発。

衝撃。

巨大な身体が宙へ飛ぶ。

普通の人間なら死ぬ。

だが。

ヴァルクだ。

むしろ笑っている。

「高ぇぇぇぇぇぇ!!」

アビスドラゴンの顔面と同じ高さ。

そこで。

大剣を構えた。

ドラゴンの瞳が見開かれる。

遅い。

もう遅い。

「どけぇぇぇぇぇぇぇ!!」

大剣が振り下ろされる。

轟音。

顔面へ直撃。

鱗が砕ける。

血が噴き出す。

アビスドラゴンが絶叫した。

だが。

まだ足りない。

胸の結晶まで届かない。

その時だった。

シモンが跳ぶ。

雷光。

蒼雷。

青い閃光。

ヴァルクの身体を足場にしてさらに加速する。

「おい!」

「借りる!」

「返せ!」

「後でな!」

空中。

アビスドラゴンの胸元。

黒い結晶。

脈打つ鎖。

世界樹が叫ぶ。

『そこです!』

シモンは蒼雷を握り締めた。

百年前。

何度も見た光景。

レイドボス。

弱点。

総攻撃。

違うのは。

今回は仲間の魂が懸かっていること。

「返せ」

小さく呟く。

蒼雷が眩く輝いた。

「そいつは」

雷光が爆発する。

「ヴァルクのもんだ!!」

ドォォォォォォォォォォォォン!!

青い雷が結晶を貫いた。

黒い結晶に亀裂が走る。

パキッ。

小さな音。

だが。

世界が止まったように感じた。

アビスドラゴンが絶叫する。

黒い空が震える。

草原が揺れる。

結晶の表面へ。

一本。

また一本。

亀裂が増えていく。

ヴァルクが目を見開いた。

「シモン!」

シモンも気付いていた。

結晶の奥。

黒い闇の中。

誰かがいた。

人影。

剣を持つ男。

鎧姿。

そして。

胸元には見覚えのあるギルドエンブレム。

攻略組。

さらに。

その肩書き。

《ランキング12位》

シモンの顔色が変わる。

「まさか……」

結晶の中で。

もう一人の仲間が。

助けを求めるようにこちらを見ていた。

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