6.ゴブリンと森ウサギ
本日7話目ですん♪
追ってくる。どれだけ走っても逃げられない。一瞬にして差を詰められてしまった。
腕が喰われた。痛みに震える身体に鞭を打って、逃げようと試みる。でも無駄だ。次は反対側の腕を噛みちぎられる。
後ろを振り返ると、全身を血に染め、僕を睨む1匹の銀の狼。
そして、頭を喰われて視界が暗転する。
「ッ!!アガッ、ハアハア」
そんな夢をあの日から、死にかけた日から、ずっと見続けている。
あの後僕は、棲家に運ばれた。棲家の奥には初めて入ったが、とても青臭い匂いだったのを憶えている。今は身体を休めるために寝床に突っ伏している最中だ。
「起きたかぇ?」
しわがれた老人の声が耳に入る。
そちらの方に目を向けると、皺だらけのホブゴブリンが立っていた。とても老けている。生きているのが不思議なくらいに老けている。でも目だけには力強さが見られる。
「あなたは?」
「わしかぇ?わしはなバッケン
このゴブリンの集落の長老じゃよ」
「長老?」
「そうじゃそうじゃ、長老じゃ。
ヌシはゼロムじゃな?英雄ゼロムよ」
「それはやめてください!恥ずかしいです」
「だが、そう言われる程の事をゼロムはしたのじゃよ。わしが生きてきた中でも初めてのことじゃよ」
たしかに、ゴブリンなんかが人間を殺せるなんて有り得ないよな。改めて考える事によって、自分がやったことがどれ程凄いのかを自覚することが出来た。
「じゃが、今回のゼロムの行動は英雄なんかには程遠い、バカのすることじゃ」
「...ッ」
「自分の力量を正確に把握出来ない癖に、敵に挑んだんじゃからな。今回はただ運が良かっただけじゃ、もしも運が悪かったら死んでいたんじゃぞ?
もし、次を望むなら、準備を怠ってはならんぞ!わかったか!?」
「...はい。すみませんでした」
「ではな、わしはもう行くぞい」
「あ、待ってください!」
この爺ちゃんゴブリンに色々質問したら、なにか分かるかもしれない。
「なんじゃ?」
「僕に知識を恵んでください!」
―――――――――――――――――――
爺ちゃんゴブリンとの話はとても有意義なものだった。主に知り得た大事な情報を上げていこうと思う。
・ゴブリンは色によって細かな種類に分かれている。コレは僕が前に考えた予想通りの情報だった。違った事と言えば、詳細な情報があった事ぐらいだろうか?ホブゴブリンは攻撃力特化、ゴブリンは防御力特化、ゴブリンベビーは敏捷特化だった。
・生まれた時に種類は決まり、ゴブリンベビー等とベビーと付いているものの、大人になっても変わることは無い。特例として進化と言うのが確認されている。
・進化について。3種類のゴブリン全てが、進化する可能性を秘めている。しかし、進化条件を達成出来るゴブリンが少なく、完全な条件も不明との事。
・ゴブリンの様な「人ならざる者」達は、個別に言語を有している。特に会話出来る者と出来ない者が居るとの事だ。他にも念話により、会話をする者達が居るそうだ。
・他の魔獣について。いつも食べている兎は、森ウサギと言われる魔獣らしい。この魔獣は他の魔獣よりも、比較的に穏やかな魔獣らしい。僕が戦った銀の毛を持つ狼は、白狼と呼ばれている。気性が荒く、肉食系の魔獣らしい。
・この森の名前は【シグルン森】と呼ばれている。ゴブリン、森ウサギ、白狼の他にも狂熊、炎猿等様々な魔獣が住む森だ。でも、近くに人間の村があるため、稀に人間が森に入って来る。
今回知り得た情報はこんな感じだろうか。
白狼に話し掛けるのはやめて、森ウサギに話しかけに行ってみよう。うん。
……狼が怖いんじゃ無いんだからな!?
―――――――――――――――――――
「キュキュッ」
会話しようと意識して話しかけよう。
「や、やあ」
「え!?言葉が分かるのか!?」
「ま、まあね。僕は特別だからね」
「すごいな!でも......ゴブリン達は俺達を虐殺して喰い尽くすんだろ?」
「僕はそんな事しないよ、ただ友達になりに来たんだよ」
「友達か〜。俺なんかでいいなら!」
会話ができるだけで、こうして交流を深めることが出来る。
そして、僕の初めての友達だ!
「名前はなんて言うの?」
「ん?俺には名前なんてねーぞ?」
「え?じゃあなんて呼ばれるの?」
「基本的に俺達は直ぐに親離れして、1人で暮らすから関係無いな」
「……僕は君の事をなんて呼べばいいんだ」
「それなら、お前が俺の名前を付けてくれよ、だめか?」
「ううん!もちろんいいよ。そ〜だな〜、白くてモフモフで可愛いから、ハクモフとかどうかな!?」
「んー?別にいいんじゃねぇか?
よし、これから俺の事は【ハクモフ】って呼んでくれよ!」
――――――――ピロン♪
『主従契約が完了しました』
『召喚魔法を手に入れました』
『従者強化のスキルを手に入れました』
頭の中に連続で響いてきた。早速、ステータスを確認してみよう。
「な、なんだ!?お、俺とうとうおかしくなっちまったのか!?」
「ど、どうしたんだよ!」
「いや、わかんねぇよ!?急に頭の中に変な声が響いてきたんだよ!」
え、もしかしてそれって?
『名前:ハクモフ
種族:森ウサギ
主:ゼロム
レベル5
攻撃力:2
防御力:2
・スキル
主強化(自分のレベルが上がる事に、主の全ステータスに+1を付与する)』
スキルが強過ぎる!?
「お、おい!どうしたんだよ、急に黙りやがって!」
「え、あ、うん。ごめんね、ハクモフはおかしくないよ」
その後、ハクモフにステータスについて説明してあげた。なんとなく理解してくれたようだ。
では、いざ!
『名前:ゼロム
種族:ホブゴブリン
従者:ハクモフ
レベル:3
HP:3/3
MP:4/4
攻撃力:6
防御力:3
筋力:3
体力:3
敏捷:4
魔攻:3
魔防:1
運:6
・スキル
鑑定眼Lv2
言語理解
全魔法習得(Lv15まで使用不可能)
殴りの心得Lv2
召喚魔法(従者を自分から半径3m以内に呼び出す事が出来る。また、従者は特別な異空間に住むこととなる)
従者強化(自分のレベルが上がる事に、従者の全ステータスに+(従者の数)を付与する)
・称号
魔神の加護を受けし者』
うん。強いかな。
「そういえば、お前名前なんて言うんだ?」
「ごめん、言ってなかったね、アハハ。
僕の名前はゼロム
改めてよろしくね、ハクモフ!」
「おう、よろしくな!……眠くなってきたからさ、アレやってくれよ。返還?ってやつ」
「うん、わかった」
「(返還、ハクモフ!)」
脳内で叫ぶと同時、ハクモフが光り輝き、そして球体に縮められ、僕の胸に埋め込まれていった。
……は?え、えぇぇぇ?
胸のあたりが、とてもホッコリとしてきた。なんというか、幸せな気持ちになる。
よし、今日はもう帰って寝よう。
明日からまた狩りの始まりだ。もう白狼には負けないようにしないと.........。
疲れた、構想が尽きてしまった。
パズドラしながら考えまs((




