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人ならざる者の英雄譚  作者: 白夜@紅羽
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4.ゴブリンに出来ること

僕に今出来る事はなんだろう。僕が今やるべき事はなんだろう。

1つやらなければならない事がある。

武器を調達しなければならない。多分だけど、あの時の人間の両刃剣、あそこに残っているはずだ。

そうと決まったらすぐにでも行動に移そう。


―――――――――――――――――――


……何でコイツらがついてきてるんだ?

僕は確かに1人で棲家から出てきたはず、それに今は、真夜中だぞ?


「おい、なんで付いてくるんだ」

「お、オイラは止めようって「別にそんなこといいじゃない!」言ったんだな...」

「私達がついて行ったらダメな事でもあるの!?」

「コクコク」

「ダメに決まってるだろ!狼が出てきたら危険だし、僕は君達の事はよく知らない」

「自分の身くらい自分で守れるわよ!」

「ガクガクブルブル」


無理に決まってる。僕ですら狼1匹の鳴き声に恐怖したんだから。


「人間との戦いの時、君達ふたりは腰を抜かしていたじゃないか。そこのオスゴブリンは蹲りながらも人間の足に絡みつく勇気を見せた」

「そ、それは油断してただけよ!」

「オイラにはマサオっていう名前が、あ、あるんだな!」

「お、おう。ならついてくるのは構わんが自分の身くらい自分で守れよ」


オスゴブリン(マサオ)とメスゴブリンが2匹。コイツらはあの時、一緒に狩りに出かけたメンバーだ。

だから僕は少しだけ、コイツらに情が移ってしまっているようだ。死んで欲しくないなあ


「今から人間と戦った場所に行く。

その前に名前ぐらい教えろよ」

「ええ、いいわよ!私の名前はメロアよ」

『名前:メロア

種族:ゴブリン

レベル:1』

「わたしはエリーシャ」

『名前:エリーシャ

種族:ゴブリンベビー

レベル:1』

「オイラはマサオなんだな!」

『名前:マサオ

種族:ゴブリンベビー

レベル:2』


メロアにエリーシャ、マサオか。

多分だが、僕みたいな緑色ゴブリンがホブゴブリン。メロアやアカシの様な緑と茶色のゴブリンは普通のゴブリン。エリーシャやマサオの様な茶色ゴブリンがゴブリンベビーなんだろう。

ステータスに少し違いが有るのかな?

確認する術もないから、分からないけど。


「じゃあ、行こうか」


―――――――――――――――――――


「あった」


そこには、血肉がへばりついたままの、少し錆び付いた両刃剣が落ちていた。

持ち上げようにも、筋力値が足りないのだろうか?数cmしか持ち上がらない。

コレはもう保留にしよう。もう少しレベルが上がるまで、そこら辺の茂みに置いておくことにしよう。


「ねぇ、狩りに来たんじゃないの?まだ1匹も捕まえてないじゃない!」


うるさいなあ


「あ、こら!無視するなぁぁあああ!」

「ウゥオオォォォン」

「ひっ」


お、近くに狼が居るな。メロアの大声に反応したぞ。でも武器が無いな。


「英雄様っ!に、逃げるんだな!」

「大丈夫だよ、大丈夫」


アレなんてイイんじゃないか?握りやすそうだし、尖ってる。

.........うん。丁度いい大きさだ。


「ウォン!」

「な、なんだなー!」

「キャァァ!」「……。」


いいね!ちょうどお出ましか。

大きさは僕達よりも少し大きいぐらいだ。薄汚れた銀の毛に、黒い双眸がぎらついている。

狼は3ゴブに気を取られていて、コチラには気が付いていない!チャンスだ。

僕は右手に石を構え駆け出した。

コチラに狼が気が付いたがもう遅い。

僕の右腕は鞭打つように揺らぎ、石が狼の瞳に吸い込まれていく。そして眼球を抉り取られる。


「グゥオォォオン」


左眼を失った狼が、のたうち回る。

まだ息の根を止めてはいない。

僕は油断する事無く、そっと近づき、狼の頭目掛けて何度も何度も、石を振り下ろす。


何回腕を振り下ろしただろうか。下を見ると、赤色と黄色、形容し難い色がいりじまっている。

あ……駄目だ。そう思った時にはもう、胃の中のものを全てぶちまけていた。どうしても、この光景に慣れることが出来ない。


「アンタやるじゃない!」

「す、すごいんだな!」


何故か褒められている。


「この狼を早く寝床に持って行って。僕は後から行くから」

「わかったわ」「了解したんだな!」


3ゴブの背中を見届けた僕は、2度目の不快感に襲われた。


――――――――ピロン♪


『レベルアップしました』

『スキル、殴りの心得を手に入れました』


なんだ…?スキル?どういう事だ?


『スキル:殴りの心得(素手や武器を使用し、相手に直接攻撃を加えた場合、1.2倍の補正が掛かるようになる)』


これで少しは殴りやすくなったって事かな?

はぁ、疲れた。もう帰って寝よう。ココにいたらまた逆流してしまう。


こうして僕の2回目の狩りが終りを告げた。

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