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人ならざる者の英雄譚  作者: 白夜@紅羽
11/32

10.ゴブリンと狂熊

狂熊は森の主である。

ゴンドメルラ大陸の東の森。シグルン森の主である。

シグルン森、最強の存在はもう居ない。この手で......ハクモフが倒したのだから。そして死体が残っている。ハズだった...。


「おかしい。死に際は見ていないが、確かに僕にはレベルアップコールが来ていた」

「俺にも来たぞ!」


『名前:ハクモフ

種族:森ウサギ

レベル:6

攻撃:13

防御:17

筋力:14

敏捷:27』


「あれ?強過ぎじゃない?」

「おい、どうしたんだ!おーい!」


気を取り直して、考えようじゃないか。

予測される熊の死体が消えた理由は3つ

・最後の気力を振り絞り何処かへと消えた

・炎猿によって巣へ連れられ喰われた

・何らかの理由で消失した

どの選択肢も否定出来ない。はぁ、全くもってわからない。

因みに炎猿というのは、この森に住む第5の魔獣であり、いつも四六時中身体の一部から火を吹き出す奴等だ。その昔、200年程前だろうか、に炎猿がゴブリン達の棲家を襲い、相討ちになったものの多くのゴブリンを道連れにしたらしい。長老の記憶と知識から抜粋してきた。いい機会だからこの世界について知る範囲で説明しよう。

・ゴンドメルラ大陸や他の大陸によって作られている。大陸と海は7:3らしい。

・その中でもゴンドメルラ大陸には東西南北に魔の森がある。その周辺には人間達の集落が存在している。大陸の中心部には、魔人と人間達の都が存在している。

・他の大陸には獣人や竜人族が住んでいる。

知っている情報はコレくらいだろうか?

魔獣の中でも霊獣と呼ばれる存在は、人間達に崇められている。逆に、ゴブリンロードと言われる、ゴブリンの最終形態やコボルトロード、オーガロードと言われる魔獣達は人間の畏怖の存在になっている。

話を戻そう。此処で消滅してしまったのなら諦めるしかないが、他の二択ならば何か探す手掛かりが残っているはずなのだ。まずはソレを探し出すことにしよう。


―――――――――――――――――――


「あった」


そこは闘った場所から少し離れた所だった。木々が薙ぎ倒されて、大量の血がベッタリ地面を覆っていた。ソレがずっと南の方へと続いている。熊は何処に向かったのだろうか。行ってみよう。








…………疲れた。何時間歩いただろうか。ていうか、魔の森広過ぎるっ!

まだまだ、続いている。


―――ガサガサ、ガサガサ



ふと、右の茂みから音がした。


「ギャオ」


聞こえた瞬間、その場を飛び去り構える。狂熊よりは小さいだろうか?手が茂みから出てくる。いつでも逃げられるように構えて………………え?


「ガウ?」


可愛い熊が、テクテクと歩いてくる。そして目の前で、ペタッと座り込む。

茶色い毛皮を身にまとい、つぶらな黒い瞳を持ち、柔らかそうなプニプニ出来そうな掌があり、丸い耳がペコペコと前後に揺れている可愛い熊が座っている。


「ぎゃああぅ」


足に抱きついてきた......!?あああ!可愛いい痛いぃぃぃ!?


「お、おい!ちょっ、ま、まじ、やめて、痛いからあぁぁぁあ」

「パパ?」

「……え?」

「ぎゅう〜!」


か、可愛い。

この子は守らなければいけない!


「お名前はなんて言うのかな?」

「ないよ?パパがつけてよ!ぎゅう〜!」

「無いのか〜、僕がつけていいのかな?」

「うん!パパが良いの!」


あれ?てか、なんでパパ?

それにコレってなんか、ハクモフみたいな.........。


「パパァ!はやくぅ!」

「あ、ああ」


まあ、いっか。

うーん、多分、狂熊の子供なんだよな...。狂乱っぷりが狂人だったから、この子も多分そうなるんだよな。だったら、キッチーとかか?いやでも似合わないな。うーん。


「まだぁ〜?」

「よ、よし、君はバークだよ!」

「バーク?僕の名前?」

「うん、そうだよ。バーサーカーのバークだよ?」

「バーサーカーってなぁに?」

「な、なんだろうね?アハハハ」


ふぅ、帰りたい。

あ、バークの身体が光を放ち始めた。


『新たな従者を手に入れました。』

『従者強化がレベルアップしました。』

『称号、従者の主を手に入れました。』


「パパァァァァ!変な声が頭に響くよぉぉ?」

「大丈夫だよ」


ハクモフのようにせつめいしましたよ、はい。もうね、バークが理解できるようにね。長かった、疲れたよ。




「バーク?僕がなんでパパなのかな?」

「えっとねぇ、ママの匂いがしたの!

あとね、あとね!ママがね言ってたんだよ!昨日ね、ママがね「ママの匂いが付いてる人がパパなんだよ」って!でもねぇ、ママね、おネンネしてから起きてこなくなっちゃってね、それでね、それでね!僕、お腹空いちゃったから、お家からでてきたんだぁ。そしたらね、パパがいたの!えへへへぇ」


そのままバークは僕に抱きついてくる。あの狂熊は僕が殺してしまった。僕はこの子を育てなければならない。


「(召喚:ハクモフ!)」





「ん?よお、急にどうしたん?」





「ほら、バーク、お兄ちゃんだよ?」

「んにゃ?にーに?ぎゅう〜!」

「お、おい!なんだこいつ!?ゼロム!?」

「新しい従者のバークだ。そして俺の子でハクモフの弟だよ」


「にーに!よろしくね!」

「お、おう!任せとけ!」

「そういえば、ハクモフはどうしてバークと話せるんだ?」

「ああ、さっきな『スキル、言語理解』を手に入れたんだよ」

「ああー!それ僕もあるよぉ?えへへへ」


どういうことだ?意味がわからん。でもまぁ、みんなで話せるようになったしいいのかな?


「よし、帰ろっか!」

「おう」「うん!」


僕達は棲家へ帰ることにした。


―――――――――――――――――――











「うわあああぁぁぁぁぁぁ!」

「だ、だれかあぁぁぁ」「い、嫌っあああ」

「じ、ジヌぅぅ、だずげでぇ」


声のする方に走って行くとそこは、阿鼻叫喚の状況に陥っていた。炎猿が複数の人間達に対して攻撃している。

ある者は、炎猿の猛攻に耐え。

ある者は、炎猿に攻撃を加え。

ある者は、炎猿に灼かれ。

ある者は、炎猿に貪り喰われ。

そんな地獄絵図のような光景がそんざいしていた。

人間の中に黒い羽根を生やし、煌びやかな服に身を包んだ少女がいる。他の人間達はその少女を護るように戦っている。いや、これは戦いではない、炎猿による一方的な虐殺だ。

僕はこの場から立ち去ろうと、ハクモフ達を胸の中に帰還させた瞬間、僕を爆風が包み込んだ。不意をつかれた。

視界の端に捉えたのは、狂熊並の大きさで、体全体を焔に身を包んだ炎猿だった。

そのまま視界はブラックアウトする。

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