表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/66

30、開店中〜女性困惑〜

この作品はフィクションです。


「その………、今日は、お話を、聞いてもらおう、と思って、来たので、あの………、………持ち合わせが…」




………。




「あ、なんだ。そんなこと?」


思わず素で答えていた。使命感に燃えている最中だったから、もう少し熱く答えた方がよかったのかもしれないけど。でも実際、そう言いたくなってしまうような発言だったし。


「別に持ち合わせ少なくてもいいわよ。これに関しては、お金もらうつもりないし。」

「…え………、?」


きょとん、と、こちらを見つめる彼女。そして、自分の手に乗っかっている、書籍やフィギュアやCDを見て、


「………だ、だ、だ、ダメですよっ!!??」


突然、あわあわしだした。


「なんで?店主がいいって言ってんだから、もらっときなさいな。」

「い、いえ!そ、そんな、知り合ったばかりの人に、急に、こんな、あの、その、」


…まぁ、気持ちはわかる。私だって、最近知り合ったばかりの相手に、あれやこれやと物を貰ってしまったらびっくりするし、何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまう。


…じゃあ、なんでやるんだ、って話だけどさ。


それは仕方ないじゃない!使命感が為せる行為というやつなんだから!




「ん〜、確かに、知り合ったばかりの相手から、あれやこれやと物を貰うなんて、普通は不自然なことよね。それは、わかる。」

「は、はい…。」

「じゃあ、こうしましょ。」


我ながら咄嗟に名案を思い付いた気がした私は、レジカウンターに引き返し、そこからシールとマジックペンを持ってきた。本来は、袋の口をとめたりするのに使うシールなのだが、そこに、




『レンタル品』




と、書き込み、


「はい、はいはい、はい〜、っとね。」


彼女の持っている商品に、ペタペタと貼っていった。




「あ、あの………」

「これなら問題ないでしょ?レンタル品だから。」

「で、でも、」


突然の私の行動に、明らかに動揺している様子。


「レンタル品だから、いずれ返してもらうわけだし。だから、買ってもらう必要はなくなったわけよ。ね?」

「いや、あの、でも、」

「まだ気が引ける?」

「その…、お気持ちは、嬉しいの、ですが………その………親に、どう、説明すれば、いいか…」

「レンタルしてきた、って。」

「そ、それじゃあ、納得してくれませんよ…。」


完全に困った顔になってしまった彼女。どうやら、かなり厳格な親のようだ。


う〜ん、困らせるのは本意ではないしなぁ…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ