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第三話「3人の神様」

ーーーー






「……。」



イケオジ「俺様は神様だって。」



「……。」



イケオジ「信じたか?」



「……。」



イケオジ「おい。」




「手品?」



イケオジ「は?」



「手品ですよね?」



イケオジ「違う。」



「ワイヤーとか。」



イケオジ「ねぇよ。」



「じゃあ超能力?」



イケオジ「神の力だ。」



「うわぁ……。」



イケオジ「なんで引くんだよ!?」




私は答えられなかった。



だって確かに私は転んだ。



確かに地面にぶつかるはずだった。


なのに。



痛くなかった。



理由がわからない。



説明がつかない。




イケオジ「じゃあな。」



イケオジは満足そうに笑うと背を向けた。



「え?」



イケオジ「今日は帰る。」



「ちょ、ちょっと待って!」



イケオジ「なんだ?」



「今の何だったんですか!?」




イケオジ「だから神の力だって言っただろ。」


そう言ってひらひらと手を振りながら去っていく。



私はその場に立ち尽くした。



遠ざかる金髪を見つめながら。






――いや。



意味わかんないんだけど!



私は彼を追いかけた。



「……今の、!何だったんですか?」


イケオジ「なんべんも言ってんだろ?神の力だって」


「いやいやいやいや!!」

「納得できないんですけど!!」



イケオジ「納得できないのか」



「できるわけないでしょ!」



イケオジ「じゃあ」



「?」



イケオジ「ついてくるか?」




「は?」




イケオジ「俺達の家に」



「いやいやいや、行きませんよ!?」

「普通知らない人の家行かないでしょ!!」

「しかも“俺たち”って誰!!」




矢継ぎ早に私がそう叫ぶとイケオジはちょっとめんどくさそうに私を手招きしながら歩き出した。




イケオジ「納得できないんだろ?じゃあ行くしかないじゃないか。あいつらもお前に会いたがってたし丁度いいじゃねぇか。」



「丁度いいってなにが!?」



とは言ったが気になってしまっている。

だってあんなの科学的に証明できない。


それに彼は言ったのだ。

「ずっと見てたからな」と。


このまま放置していて良いのか、こんな得体の知れない人を野放しにしていいのか。


しかも彼が言うには複数人。

迷ったが、、。危なくなったら警察を呼ぼう。

そう誓い、携帯の画面を110番にすぐ繋げられるようにして彼に着いていくことにした。






彼が向かったのは龍松拳から程なく歩いた階段がある神社の横。

もうしばらく誰も住んでいないような古民家だった。


これは、、。逃げた方がいいかもな。

我ながら迂闊なことをしてしまった。



「あの、やっぱり私、帰ります」



イケオジ「いいから!入れよ。中は意外と綺麗だぜ?」




そう言うと彼は家の門を開けて、さっさと家に入ってしまった。



「えー、」



置いてかれてしまった、どうしよう。

でもここまで来てしまったし、、

ええい!ままよ!





(キーッ)

家の門を閉め、玄関を開けると扉からそんな悲鳴が上がった。

やはりかなり古い建物らしい。

しかし中に入ると確かに意外と綺麗だ。


ちゃんと掃除をしてあり、

丁寧に手入れされている階段の手すり。

ピカピカと光る洋灯のランプ。

穴一つない障子の扉。

その障子の前にイケオジは立ってまっていた。





イケオジ「ようやく来たな!

ようこそ結衣。

神様の家へ」





そういうと彼は障子に手をかけ私を部屋に招き入れた。

そこにいたのは綺麗な女性と制服をきた男子生徒だった。





「あの、、お邪魔します?」



イケオジ「おう!遠慮すんな!入れよ!」



女性「ちょっと、いきなり連れて来たの?早すぎるんじゃない?」



男子生徒「......。」



イケオジ「いいじゃねぇか!いつかは連れてこようと思ってたし!」



女性「まったく。相談くらいしなさいよね。あんたもなんか言えば?」



男子生徒「...別に、いいんじゃない?」



女性「はぁーもう。」





どうやらこの2人も私のことをご存知らしい。

全く驚いた感じがしない。

誰なんだろう。


女性は二十代後半?くらいの黒髪ロングで目元のほくろが色っぽいナイスバディなレディーだ。こんなに綺麗な女性、女優さんでもなかなか見ない。黒のノースリーブのワンピースからはスラリとした足が伸びている。


男子生徒は見たことがない制服だが、シンプルな半袖のカッターシャツに黒ズボン。胸元のポケットにはススキの紋章がある。

青のヘッドホンに黒の縁のメガネ。髪は銀髪?のような薄い色だが逆に神秘的に見えて綺麗な髪だ。




イケオジ「この女が玲香!女神だ!

こっちの暗いやつが朔弥だ!こいつこう見えて一番こん中じゃ古株の神だな!」



「えっ!」




一番古株の神様?どういうこと?神様ってなろうとしてなれるの?なんだかよくわからない。



隆臣「んで!俺様が隆臣!信仰と運の神だ!よろしくな!」



「えーと、ちょっと状況が理解できないんですけど、お二人も神様なんですか?」



玲香「ええ、そうよ。隆臣が無理矢理連れて来てしまったのはごめんなさいね。」



「いや、それはいいんですけど、

やっぱり理解できなくて、、普通の人にみえますし、名前も普通?というか神様って、ほら!何か名前が長いイメージで、、」



朔弥「...元々は長い名前だよ。もう、長いこと呼ばれていないから誰も覚えてないけど。

僕は月夜見朔弥命と呼ばれていた。」



「えっ、つくよみ、なんて?」



朔弥「覚えなくていいよ。別に...」



「あっ、はい。......いや、じゃなくてっ!あの、隆臣?さん!私をなんでここに連れて来たかったんですか?」



隆臣「神だと信じられないなら、直接会った方がいいかと思ってよ!」



玲香「答えになってないわよ。」




その通りだ。このレディーまともそうだな。

この3人なんで一緒にいるんだ?全然性格合わなさそうなのに。一緒に暮らしてるの?

えっ、お姉さんが心配。


なんて目の前の苦労人そうなレディーに要らぬ心配をしていると、




朔弥「別に隠さなくてもいいんじゃない?どうせわかることだし。」



「はい?」



朔弥「僕たちが神だということ。君は僕たちのお気に入りなんだよ。たまに君の願いを叶えてあげてたでしょ?」



「願い?そんなものお願いした覚えないんですが?」



朔弥「昨日、暑いから水が欲しかったんでしょ。だから僕が雨を降らして涼しくしてあげた。」



「は?」


 

ん?雨、?昨日の豪雨のこと?別に頼んでませんが?てか普通にびしょ濡れになるわ、バスは遅れるわ大変だったし。



隆臣「ちなみにそのバスは俺が呼んどいた!

お前が早くバス来い!って言ってたからな!もちろんラーメン屋も俺!俺が一番役に立っただろ?」




いや、いやいやいやいや!




「ありがた迷惑ですよ!!頼んでないでしょ!」



朔弥「......君が望んでるのかと思った。」



「だから望んでないって!てか!信じられないし!

神様とか!お気に入りとか!」



隆臣「なんでだよ!良かれと思ってしたんだぞ!」

朔弥「......うるさい、耳が痛い。」


玲香「ちょっとあなたたち、落ち着きなさい。」


「落ち着けないです!怖いし、意味わかんないし!もう帰ります!」



隆臣「あっ!おい!!」




そんな声を無視して玄関まで向かう。

「お邪魔しましたぁ!!!」

半端叫ぶようにして古民家を飛び出し自分の家まで走った。






残された部屋で3人は立ち尽くす。



玲香「だから、言ったじゃない。早すぎなんじゃないのって。」



隆臣「だって仕方ねぇーだろ。俺だって早く会いたかったんだ。朔弥だってそうだろ?」



朔弥「......別に。」





朔弥は2人を置いて自分の部屋に戻った。



彼女が無事に家に帰れるか見たかった。

やっと会えたのに怒らせてしまったから。





暗い部屋。



朔弥はまた鏡を出す。



光る鏡には結衣が走っている様子が見える。





朔弥「...わからない。」



朔弥はそれだけ呟くと、目を伏せた。







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