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第二話「神様、襲来」



「隆臣。」


「んー?」


「龍松拳に何をした。」


「繁盛させてやった。」


「……。」


「結衣が毎日でも飽きないって言ってたからな。」


「だから人を集めた。」


「結衣は食べられなかった。」


「......え?」




...............




次の日今日は土曜日で学校が休みということもあり、お昼頃に龍松拳の前に来ていた。リベンジ。

だって!やっぱりラーメン食べたい!

あんだけ行列できてたし!新メニューあるかも!


「今日は空いてる!!」


やったぁぁぁ!!

念願のラーメンを堪能じゃい!!


昨日汗水垂らしていた店主は今日はなんだか余裕そう。

昨日は華の金曜日とはいえ、やはりあの行列はなんだったのか。


少し疑問を思いながら券売機の前に立ち、どこにも新メニューらしき名前がないことを確認し、またもや頭に?を浮かべつつもいつもの醤油ラーメンを頼んだ。

店には私を除き1人客が4組くらいしかおらずよくも悪くもいつも通りの光景に安堵しながら

いつも座るカウンターの端に座る。


すると数個席が離れた隣に妙に目立つイケオジがいる。

しかもなんだかニヤニヤしながら時折こちらをチラチラ見ている。


変な人だなぁ

なんて思ったができるだけ目を合わせないようにし、頼んだラーメンが届くのを待った。


届いたラーメンはやっぱり味も変わらず普通の美味しいラーメン。じっくり堪能はしたが、どこもいつも通り変わったところはない。


昨日は、たまたま?

なんて思いながらすぐに食べ終えてしまった。

隣の客はとうに食べ終えているのに相変わらずこっちをチラチラ見てくる。

なんだか寒気で、あったかいラーメンを食べて出てきていたはずの汗が引っ込むのを感じる。


もう帰ろう。なんだかわからないがすぐ入れたのは良かったし。家で昨日見たアニメの続きを見よう。

そう思い立ち店を出たところで、


「満足したか?」

と話しかけられた。


「はい?」

振り向くと戸を閉めながらこちらを見ている先程のイケオジさんだ。

パーカーにジーンズ。いかにも若者のファッションだがおそらく三十代半ばほど。しかし、スタイルと顔立ちが良いせいか妙にしっくりくるほど似合っている。

知り合いではないし、私のことを呼んでたのではないかもしれない。


イケオジ「昨日は食べられなかったんだろ?」


「えっ!?なんで知ってるんですか!?」


思わず叫んでしまった。

やっぱり私か?周りを見ても誰もいない。

えっ、何?怖いんだけど。


イケオジ「どうだ?龍松拳。」


「え?」


イケオジ「昨日は大繁盛だっただろう?」


「えっ?あぁ、そうでしたね?」


イケオジ「俺が人気にした。」


「へ?」


イケオジ「俺が人気にしたんだ。」


「ん?いやいや〜そんなの口コミとかSNSとかでしょ?」


イケオジ「違う。」


「テレビ取材?」


イケオジ「違う。」


「インフルエンサー?」


イケオジ「違う。」


「じゃあ何!?」


イケオジ「俺様の力だ。」


「え????」


何を言ってるんだこやつは。

わけわからん。なんだ力って。

というかそうだとしてなんで私にそれを言う。

関係ないだろう。


イケオジ「感謝しろよー?お前が好きな店だろ?ここ。」


「私のこと知ってるんですか?どこかでお会いしましたっけ?」


いや、確実にこんなイケオジしらん。

お父さんの知り合いとか、かな?


イケオジ「いや、会ったのは初めてだな。」


「え?じゃあ知らないじゃないですか。」


イケオジ「知っている。」


「なんで!?」「ずっと見ていたからな」


被せるようにそう言われて私は恐怖を感じた。

怖すぎる。ストーカー?

警察を呼んだ方がいい?それじゃあ間に合わない。もしこの人が襲ってきたらなんて考えるとぞっとする。


でもこの人を撒いてからじゃないと家になんて帰れない。

家がバレるのはいやだ。


そう思い青褪めていると、前の男は意気揚々と先程の言葉を繰り返し呟いた。


イケオジ「感謝しろよ!感謝してるか?」


「あの、、なんですか?その感謝って。私別に何も感謝することないんですけど、、、。」


イケオジ「いやだから!お前がここのラーメンが好きだからって!お前のお気に入りの店を人気店にしてやったんだって!

なのにお前全然喜ばねぇし!意味わかんねぇわ。」


「いや、そりゃあお気に入りの店が人気店になったらなんとなく良いことだとは思いますけど、だからって、喜ぶようなことは、、別にここのお店の人と仲良くないですし、、」


イケオジ「そうなのか?」


意味わかんねぇのはこっちだ。

大体なんで私なんだ。ストーカーされる謂れはないぞ。


「あの、それをなんで私に言うんですか?正直怖いんですけど、、」


イケオジ「お前は俺のお気に入りだからな!

喜べ!この俺様の!神様のお気に入りなんだからな!」


「へ?」


この人はなんて言ったのか、紙様?いや、髪様?そういえば髪の毛綺麗な金髪だなぁ

って!そうじゃなく!


「神様?」


イケオジ「神様!」


「だれが?」


イケオジ「俺様が!」


「カミサマ?」


イケオジ「おう!」


「ゴット?」


イケオジ「?よくわかんねーけど!神だ!ちゃんと崇めろよ!」


うん。頭のダメな人なんだな。可哀想に。

なんだか恐怖より同情が湧いてきた。

関わっちゃダメだ。

もう帰ろう。


「あーそうなんですね!ありがとうございますー」


イケオジ「あっ!お前信じてないだろ!」


「そんなことないですよー?じゃあ私はこれで!」


イケオジ「待て。」


「嫌です!」


私はそのまま駆け出した。


意味のわからない人には関わらないのが一番だ。


そう思って走り出した瞬間、


「きゃっ!?」


足元の段差に躓いた。


しまった。


そう思った時にはもう遅い。


顔から地面に突っ込む――


はずだった。


「……え?」


痛くない。


恐る恐る目を開ける。


地面まであと数センチ。


まるで誰かに支えられているみたいに、私の体はそこで止まっていた。


「急に走るなよ。危ねぇだろ?」


聞き覚えのある声。


振り返るとイケオジが立っていた。


片手をひらひらと振りながら。


「だから言っただろ?」


「……。」


「俺様は神様だって。」

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