↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪女ですが、初恋の人に再会したら女の子でした  作者: 卯月つぎ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/25

番外編1 女子高生なら気にすること

女子四人が休み時間におしゃべりしているだけの話。

 一年二組の教室。一時間目と二時間目の間の短い休み時間に、早弁をしている生徒が何人かいる。

 運動部の男子が多いが、女子もいる。バレー部の湊である。友人の一人である吉乃が、意味ありげな視線を向けながら言う。


「湊ちゃん、毎日この時間におにぎり食べるよね」

「だってお腹空くんだもん」


 湊のお昼ご飯は、たいてい購買で買ってきたパンだ。それは、持ってきたおにぎりを昼休み前に食べてしまうからである。


「それで太らないの羨ましい!」


 なんだか、差し迫った様子である。


「もしかして、吉乃ちゃんダイエットしてる?」


 そう真冬が聞く。ここ数日、吉乃のお弁当が小さいし、お菓子も食べていない。


「してる。ちょっと太った……」

「全然太ってないよ。ダイエットなんかしなくていいよ」

「湊ちゃん、無責任な男子みたいなこと言わないで」


 周りからみて、全然太っていなくても体重や体型を気にするのが女子である。数日前に体重計に乗ったら、不本意な数字になったらしい。


「湊ちゃん、それだけ食べてなんで太らないの?」

「動いてるから。部活あるし、自転車通学だし」


 とてもわかりやすい回答だった。ただし、真似するのは難しい。

 湊は毎日練習のあるバレー部。吉乃は週一で活動する茶道部だ。通学は電車である。


「贅肉じゃなくて、筋肉になってるんだ……」


 体重は減らしたい。でも、鍛えてムキムキになりたいわけじゃない、そんな女心。

 湊は別に、ムキムキではないが、スポーツをやっているので引き締まった体つきである。そして、女子としては背が高い。170弱だろうか。


「あたしより、真冬の方が参考になるんじゃない?」


 おにぎりを食べ終わった湊が言う。運動部の自分がやっているメニューを、吉乃に提示する気はないようだ。

 真冬は、吉乃と同じ茶道部だ。身長は真冬の方が吉乃より少し高く、ほっそりしている。湊よりは近いだろう。


「真冬ちゃん、何かやってる?」

「ダイエットはしてないけど……モモの散歩かな? 拒否柴発動されると抱っこするし。あと休みの日は、畑手伝ったりしてるよ」

「拒否柴?」

「散歩から帰りたくない、ここにいたい、とかで動かなくなっちゃうの」


 モモは真冬の家で飼っている黒柴の名前である。柴犬の体重は、10キロ前後。それを抱っこして歩く。カロリーを消費しそうだ。

 そして畑仕事。具体的に何をやるかはわからない。でも重労働っぽい。……それで、なぜ可憐な外見をしているのだろう。ある意味、湊より参考にならない。


「うち、犬も何も飼ってないしなあ……」


 畑仕事には触れないことにした。

 湊、真冬は参考にならなかった。それなら、もう一人にも聞いてみる。なぜか大人しくしている奏音だ。


「奏音は? 細いっていうか、小さいっていうか、軽いよね?」


 奏音は小柄だ。私服のとき、小学生に間違われたこともあるくらい。ダイエット中の吉乃からみたら、軽そうなのはとても羨ましい。


「吉乃ん、贅沢言うもんじゃないですよう」

「贅沢? 何が?」

「吉乃んの、増えた体重は、女子の唯一おにくがついていいとこに、ついてますう」


 奏音は、じとっとした目で、吉乃の胸元を見ながら言った。

 冬服のブレザーは、それなりに厚みがあるためわかりにくかった。でも夏服のブラウスになった今ならわかる。


「あー、うん……ちょっと、羨ましい」

「でかいよね」


 真冬と湊の反応である。二人は、まあ、平均的だ。


「……これも肉だし、体重だし。胸ばっか見られるのイヤなんだってば!」

「巨乳ギャルで茶道部で数学得意って、属性盛りすぎですよお! その恥ずかしそうに、胸隠すとこ、なんかえっちですう!」


 全体的に小さい奏音にとっては、羨ましい。体重が少しくらい多くても。ちょっとではなく、かなり羨ましい。


「これのせいで、服とか着られないのあるんだよ?」

「小さくて着られないより、マシですよう!」


 胸囲のせいで、普通体型にあわせてデザインされた服が入らない。入っても似合わない吉乃。

 体が小さいせいで、同世代の流行ファッションができない奏音。


「隣の芝生は青い、っていうのかな?」

「背ちっちゃくても、胸でっかくてもスポーツには向かなそうだなあ」


 湊は、体を動かすことが基準になっている。ショートヘアなのも、それが理由だそうだ。毎月カットにいくのは面倒だと言いつつ、キープしている。そのため、二人が相手を羨ましがっているのは、完全に他人事である。


「今日の吉乃ちゃん、いつもと違うよね。いっぱいいっぱいっていうか」


 吉乃は、このメンバーの中では冷静な方である。いってみればツッコミ役。奏音は、こんなものだ。


「だね。っていうか、この話そろそろやめたほうがいいね」


 と、湊が違う方向を見ながら言う。


「男子、興味ないふりしてるけど。めっちゃ聞いてる」


 数日後、吉乃の食事量は元に戻っていた。

 周りから見て、太ったようには見えない。やっぱり、胸についているのではないだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。