10.5【おまけ小話】
3章のおまけエピソードです!
温泉上がりに、冷えたフルーツ牛乳を飲みながら一服しているヘンリーとヴィクター。
「っぷはー!うんめー!酒もいいけどたまにはいいな。ベルの“異世界あるある”面白いな」
「ああ。彼女の願いを叶えて喜ばすはずが、楽しんでる自分がいる」
「顔色もいいし、食事も睡眠も摂ってるようだな。いい嫁さんだ、うちのには負けるけど」
火照った体と乾いた喉にさっぱりとした喉越しが気に入ったヘンリーはご機嫌だった。
ヴィクターが学生時代の時よりもずっと顔色がいいことにも気づいていた。
「そういえば、ヴィクター。お前アガサを大分改造したけど、メアリーとジャスティンの体も弄ってんな」
「ああ。アイゴールが嫁を作るなら、警備を強化しろと煩くてな。……メイドたちは、ベルフェリアの思い出残しの完全プライベート利用だ」
「小型魔道カメラは本来なら盗撮用だ。外出る時は気をつけろよ。まあどうせ、ほぼ屋敷の中か」
実はメアリーとジャスティンに使われている、小型魔道カメラは、軍用の物で本来個人向けに使っていいものではなかった。
ヘンリーはつまり、隊長という立場を使ってヴィクターに横流ししていた。
「つーか、お前気をつけろよ。アガサにつけた超強力防護魔術も、メアリーとジャスティンのカメラも一般的に見れば軍用だ。また変な噂に尾ひれが付くぞ」
「ふむ。“怪物”伯爵が、人造人間の創造の成功の次は、軍事力の強化だ、とかか?……はっ!そんなことしてる暇があるわけがないだろ」
ヴィクターは、外の噂好きの人間たちを鼻で笑う。
ヘンリーはヴィクターが人から勘違いされやすいことばかりするのを悔しく思っていた。
ただ、人から干渉されることを嫌う性格や、一度内側に受け入れた人間から影響を受けやすいことを知っていた。
……他人が思うより、面白い奴なんだけどな。
「ブランケンシュタイン家の数週間前に起こった、爆発実験の様子見て来いって言われたんだが。……大方、温泉掘る時の衝撃波なんだろうな」
「よくわかっているじゃないか。流石だな、ヘンリー」
「珍しく褒められてるのに、全然嬉しくないのはなんでだ?」
問題なしって報告しとくよ、とやれやれと首を振るヘンリー。
皮肉を言うヘンリーがふと卓球台を見つけ、ラケットを手に握るまで、あと数秒のことだった。
***
一方ジャスティンとペップス。
「ぺ、ペップスさん!お願いですから温泉からそろそろ出てください〜!お掃除できないですぅ…!!」
「ブァァァ!」
「ひぇぇええ!あ、遊んでるんじゃないんですよぉ!!」
温泉の清掃にきたジャスティンは、すっかり大きなお風呂が気に入ってしまったペップスと格闘していた。
***
寝る支度を整えていたベルフェリアと付き添っていたメアリー。
「あら、ジャスティンさんが何か連写を送ってきてます」
「無意識シャッター押しまくっているようですわね。まったく、ジャスティンは本当に不器用なんだから困りますわ」
「……こうしてジャスティン視点から見ると、ペップスさんがちょっと怖く見えますね」
戯れついてジャスティンにまとわりつくペップスのドアップ写真が何枚も連続してタブレットに送られていたのだった。
撮影時間が、卓球で遊んでいた頃の時間で、屋敷のみんなが遊んでいた頃、ちゃんと真面目に仕事していたジャスティンだった。
入れたかったけど、上手く入れれなかったところです笑




