39 ニワトリを探して、さらに南に向かいます
ボクは、牧場で飼育する動物を、天空城を使って集めることにしたんだ。
牧場にいる動物といえば……ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ……あとは牧羊犬かな。
どれも野生のものを集めてこなきゃいけないんだけど……野生というと、警戒心が強くて気性が荒いというイメージがある。
まずは……想像するに危険の少なそうな、ニワトリから集めてみようかな。
野生のニワトリって、たしか……『セキショクヤケイ』っていうんだよね。
たしか熱帯地域のジャングルみたいな所にいるって本で呼んだ。
ボクはホコラの天空石を操作して、地図で気温と湿度を調べた。
すこし南に行ったところに赤道があって、そのあたりの土地には気温が高くて、湿度も高い森がある。
地図を拡大して調べてみると……森の中にはいろんな動物がいた。
その中にはセキショクヤケイの姿もある。
よし……ここまで行ってみよう。
でも、すこし遠いから、一応集落のみんなに知らせてから出かけることにする。
すると、海の集落と森の集落から、それぞれひとりずつ男の子と女の子を連れていってほしいと頼まれた。
森の集落からはクルミさんという、おとなしそうなおかっぱ頭の女の子。
海の集落からはノボルさんという、わんぱくそうな短髪の男の子。
かつてボクの天空城の集落で暮らしていた、リーダーたちが推薦したようだ。
「我々の今の暮らしは、ソラ様の力によって作られた。偉大なるソラ様に同行し、素晴らしい勇気と知恵を学ばせていただくんだ」
なんてことを言い聞かせていて、ボクは照れてしまった。
いつの間にか、みんなはボクのことをかなり尊敬してくれていて……なんだか背筋がくすぐったい。
ノボルさんもクルミさんも、ボクより歳上なのに、
「そ……ソラ様! どうか連れていってください!」
跪いて祈りのポーズをとる始末。
ボクはちょっと気後れしてしまう。
「一緒に行くのはいいんだけど、そんなにかしこまらなくても……それにソラ様じゃなくて、ソラでいいんだけど……」
と言ったんだけど、ふたりして「ソラ様を呼び捨てだなんて、とんでもない!」と押し切られてしまった。
ボクは新たにふたりの同行者を得たので、集落の人たちにお願いして、改めて天空城の庭にノボルさんとクルミさんの住居を作ってもらった。
もちろん、ボクの家で一緒に寝泊まりするのを勧めてみたんだけど……ふたりから全力で遠慮されちゃったんだよね。
そこで、さらにふたつの問題に気づく。
ひとつめは、捕まえた動物を牧場に運ぶまで、天空城のどこに置いておくかということだ。
これは、思いきって牧場ごと天空城にくっつけることにした。
集めてきた動物を天空城の牧場に入れ、集め終わったら地上で切り離せば……すぐに牧場がはじめられる。
ボクは何度かに分けて、『ジオグラフ』で牧場の土地を切り取り、天空城にくっつけた。
そして、ふたつ目の問題……こっちは、もっと重大だった。
今までにない遠出になるので、ゴハンをどうするかということだ。
行き先がどんな所かわからないので、自給自足ができるかどうかわからない。
家庭菜園や保存食はあるんだけど、ちょっと不安だ。
するとアンジュさんが、
「『現界の声』にもう1ポイント振れば、集落のホコラがパワーアップするよ。お供え物をすると、天空城に転送されるようになるの」
と教えてくれた。
そこでボクはさっそく、『神通の奇跡』の『現界の声』にもう1ポイント振った。
それから集落のリーダーに、毎日食べ物をお供えしてほしいとお願いする。
海の集落のリーダーも、森の集落のリーダーも、ふたつ返事でOKしてくれた。
よし、これで準備は整った……!
ボクらは集落のみんなに見送られながら、天空城を空に飛ばす。
大きな牧場がくっついているので、かなり巨大になった天空城が浮くことになる。
その様はかなり壮観で、見送りのみんなは跪いて祈りのポーズをとっていた。
天空城の移動速度はあげてあるから、大きくても空を飛ばすのは問題はなかったんだけど……今回の目的地はすこし遠いんだよね。
『高速移動』もあるんだけど、これは『奇跡力』をたくさん使って、一時的に天空城のスピードをあげるというものだ。
短い距離を急いで移動したい場合とかに便利なんだけど、長い移動には向かない。
途中で『奇跡力』が尽きちゃって、回復まで立ち往生することになるんだ。
そこでボクは思いきって、『天空城の奇跡』の『速度』に2ポイント振ってみる。
これで『速度』は3ポイントになり、だいぶ速く移動できるようになった。
かなり高速になり、まるで飛行機みたいにグングンと進むようなったんだけど……不思議なことに、天空城に強い振動があったり、風当たりが強くなることはない。
まるで天空城が見えない力で守られてるみたいに、乗っていて実に快適なんだ。
「うわあ……すげええええっ! 本当に……空を……空を飛んでるよっ!?」
「ソラ様は、お家を大鷲みたいに飛ばせるって……本当だったんだ!」
ノボルさんとクルミさんは、天空城の手すりに張り付いて興奮しっぱなしだ。
まるでシーソーに乗ってるみたいに、交互にピョンピョン跳ねていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
それからボクらは、しばらく空の旅を楽しんだ。
毎日供えられる新鮮な肉や魚を、ラヴィさんとクルミさんが料理してくれて、食べ物もおいしい。
そうしてひたすら南に進む。
海の集落がある浜辺が見えなくなり、大海原に出ると……全方位が海になった。
見渡すかぎりの海、海、海……! 本当に水しかない……!
ドームのような青空が海とくっついて、まるで水の中にいるみたいだ……!
ボクはノボルさんとクルミさん、そしてポポと一緒になって大はしゃぎする。
そのうち、あるものに気づいた。
遠くのほうに、トグロを巻く巨大な生き物が見えたんだ。
「わあっ!? なにあれっ!?」
ボクが指さして叫んでいると、アンジュさんが教えてくれた。
「……あれはね、海の神獣ナントカカントカね」
「海の神獣『リヴァイアサン』ですね」
隣にいたフルールが、すかさず補足してくれる。
「「「り……リヴァイアサン……!?」」」
ボクとノボルさんとクルミさんは、揃ってハモってしまった。
『リヴァイアサン』……!
旧約聖書に出てくる、海に住む巨大な怪物のことだ……!
本とかのイラストでは、クジラだったりワニだったり、竜だったり海蛇みたいな姿で描かれるんだけど……。
遠目にいるリヴァイアサンは、竜と海蛇を足したような生き物……まさしく『龍』だったんだ……!
かっ……カッコいいっ!!
「ち……もっと近くで見てみたい! そばまで行ってみよう!」
ボクは天空城の進路変更をするべく、ホコラに向かおうとしたんだけど、アンジュさんに慌てて止められた。
「ちょっと! リヴァイアサンは気性が荒いから、襲われちゃうよ!?」
ボクは早くホコラに行きたくて、ソワソワしながら返す。
「そうなの? 神獣っていうから、ポポみたいにやさしいんじゃ……?」
するとアンジュさんは、ツインテールを鞭みたいに振り回して首を左右に振った。
「とんでもないっ! 近く船が通るだけで、あっという間に沈められちゃうんだよ!?」
「……ポポみたいに仲良くなるのは無理なの?」
「神獣だから、いずれはソラが従えないといけない相手だけど……でもアイツは、戦って勝たないと言うことを聞いてくれないんだって」
「いま戦いを挑んでも、この天空城ごと海の藻屑とされるでしょう」
フルールにつけ加えられて、ボクは急に冷静になった。
さすがにあんな大きそうな龍に襲われて、勝てる自信なんてない。
比べるなら、マーマンママが桜エビだとすると、リヴァイアサンはウナギくらいに大きい。
ボクたちはマーマンママを倒すのですらギリギリだったから、リヴァイアサンには鼻息だけでやられちゃうだろう。
「わ……わかった。いまは、ここから見ておくだけにする……」
ボクは名残惜しかったけど、我慢した。
せめて、目に焼きつけておこうと……海に浮かぶ山みたいな存在を、粒になるまで見送った。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
それからさらに数日かけて、天空城は目的地のジャングルまでたどり着いた。
途中、大きな山脈が横たわっていて、天空城の性能では越えられなかった。
そこでボクは、『天空城の奇跡』の『高度』に1ポイントを振って、ギリギリで乗り越えた。
「ハァ、なんだか暑いわねぇ……火のそばにいるみたい」
ラヴィさんをはじめとして、みんなしてバテている。
こんな暑い場所に来るのは、アンジュさん以外は生まれて初めてだから無理もない。
「だらしないなぁ、このくらいの暑さで……みんな、しっかりして!」
背中の翼をバサバサやって、扇いでくれるアンジュさん。
「ああ~、いい! もっとして、アンジュちゃん……!」
「ああもうっ! これじゃアタシが暑いじゃない! こうなったら……みんな、水浴びしよっ!」
とうとう我慢できなくなったのか、アンジュさんは女の子たちを引き連れて家の陰へと消えていった。
裏のほうにある池で、水浴びをするみたいだ。
ボクはホコラの天空石で、周囲の安全を確認する。
大丈夫そうだったので、ボクも水浴びをしようかなぁ、と思っていたら……ノボルさんが家に壁に寄りかかって、ひとりモジモジしていた。
「あれ? どうしたの? いっしょに水浴びに行こうよ」
すると、ノボルさんは頬を染めた顔を、ブルブル振った。
「い、いいえっ! お、俺は、ここにいますっ!」
「どうして? 暑いんだからいっしょに行こうよ!」
「そ……そんな……! ソラ様、ああっ!?」
ボクはノボルさんの手を引っ張って、家の裏へと向かう。
するとそこには……貝殻の水着を身に着け、池の中ではしゃぐ女の子たちがいたんだ。
■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:22)
今回は『速度アップ』に2ポイント、『現界の声』と『高度アップ』に1ポイントずつ割り振りました。未使用ポイントが1あります。
括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。
●天空城の奇跡
高度
(1) LV1 高度アップ … 天空城をさらに高く飛ばせる
(0) LV2 天空界 … 「天空界」まで飛ばせるようになる
(0) LV3 ??? … ???
速度
(3) LV1 速度アップ … 天空城の移動速度があがる
(1) LV2 高速移動 … 高速移動ができる
(0) LV3 ??? … ???
流脈
(0) LV1 消費減少 … 奇跡力の消費を抑える
(0) LV2 放出 … 天空城から物体を放出できる
(0) LV3 ??? … ???
障壁
(0) LV1 防御障壁 … 天空城を守るバリアを張る
(0) LV2 水中潜行 … 水中に潜れるようになる
(0) LV3 ??? … ???
●神通の奇跡
神の手
(1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る
(1) LV2 ウェポン … 武器を出す
(0) LV3 マジック … 天空城の奇跡を手から出せる
神の叡智
(2) LV1 現界の声 … この世界の声を聞く
(0) LV2 異界の声 … 異界からの声を聞く
(0) LV3 天啓 … 人間に知恵を授ける
●創造の奇跡
魔法生物
(4) LV1 ゴーレム … ゴーレムを創る
(1) LV2 小人成長 … 小人を人間にする
(1) LV3 使徒成長 … 人間を使徒にする
有機生物
(1) LV1 絶滅 … 生命を絶滅させる
(1) LV2 成長促進 … 生命の成長を早める
(0) LV3 生殖 … 生命を親にする
回復
(1) LV1 治癒 … 病気や怪我を治す
(0) LV2 死者蘇生 … 死んだものを蘇らせる
(0) LV3 死者転生 … 異界から死者を蘇らせる
●水勢の奇跡
波浪
(0) LV1 小波 … 小さな波を起こす
(0) LV2 大波 … 大きな波を起こす
(0) LV3 津波 … 津波を起こす
水かさ
(1) LV1 減水 … 水を減らす
(1) LV2 増水 … 水を増やす
(1) LV3 海割り … 水を一時的に割る
操水
(0) LV1 霧散 … 霧を作り出す
(0) LV2 噴水 … 水を噴出させる
(0) LV3 渦 … 渦を作り出す
水中
(0) LV1 呼吸 … 水中で呼吸できるようになる
(0) LV2 浮力増 … 水中の浮力を増やす
(0) LV3 浮力減 … 水中の浮力を減らす
●天候の奇跡
雲
(1) LV1 雲 … 家の煙突から雲を出せる
(0) LV2 虹 … 虹を出せる
(0) LV3 ??? … ???
風
(0) LV1 風 … 風を起こせる
(0) LV2 竜巻 … 竜巻を起こせる
(0) LV3 ??? … ???
雨
(1) LV1 雨 … 雨を降らせる
(0) LV2 洪水 … 洪水を起こす
(0) LV3 ??? … ???
雪
(0) LV1 雪 … 雪を降らせる
(0) LV2 大雹 … 大きな雹を降らせる
(0) LV3 ??? … ???
雷
(1) LV1 雷 … 雷を落とす
(0) LV2 導雷 … 目標に誘導する雷を落とす
(0) LV3 ??? … ???
火
(0) LV1 火の粉 … 火の粉を降らせる
(0) LV2 火の玉 … 火の玉を降らせる
(0) LV3 ??? … ???
●太陽の奇跡
気温上昇
(0) LV1 気温上昇 … 気温を上げる
(0) LV2 猛暑 … 猛暑にする
(0) LV3 ??? … ???
気温下降
(0) LV1 気温下降 … 気温を下げる
(0) LV2 寒波 … 寒波を起こす
(0) LV3 ??? … ???




