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第4話 魔境をワンクリックで【楽園】へ。一方その頃、勇者パーティーは……

赤黒く濁った空と、ひび割れた荒野。

ここはどう見ても、人間が住める環境じゃない。

「シエル、この辺りの瘴気はどうにかならないのか?」

「……申し訳ありません。神狼族の力をもってしても、この魔境の浄化には数百年はかかると言われています」

シエルが悔しそうに耳を伏せる。

「数百年か。待ってられないな」

俺は再び、脳内に広がるシステム画面を呼び出した。

【Area_Status: Extreme_Poison / Miasma_Level: 99 / Terrain: Barren】

「なるほど、土地全体にデバフがかかってる状態か」

ならば話は早い。

俺は文字列を一気に書き換えた。

【Area_Status: Holy_Sanctuary / Miasma_Level: 0 / Terrain: Rich_Soil】

さらに、追加で【Object_Create: Modern_House】と入力しておく。

実行エンター

パァァァァァッ!

俺が指を鳴らした瞬間、荒野を覆っていた赤黒い瘴気が一瞬で霧散した。

透き通るような青空が広がり、ひび割れた大地からは青々とした草花が芽吹く。

おまけに、俺の背後には地球の現代建築を思わせる、快適そうな二階建ての一軒家がポンッと出現していた。

「え……? あ、あり得ません……!」

シエルが腰を抜かし、地面にへたり込む。

「たった一瞬で、死の魔境が……精霊の楽園よりも澄んだ土地に……!?」

「まあ、システムの数値をいじっただけだからな。それより、あの家で少し休もう」

「……主様は、本当に創造神の生まれ変わりか何かですか……?」

シエルは震える声で呟きながら、俺を畏敬の眼差しで見つめていた。

こうして、俺の超快適な異世界スローライフが幕を開けたのだ。

【一方その頃】

勇者ザイードは、王都近郊の森で苛立ちを隠せずにいた。

「おい、どうなってんだ! なぜ俺の聖剣がスライム相手に弾かれる!?」

ザイードが全力で振り下ろした剣は、ぷるぷるの青いスライムの表面でボヨンと跳ね返された。

「ザイード様、私の魔法も威力がガタ落ちしています! まるで火の粉です!」

魔法使いの女が、小さな炎を見つめながら悲鳴を上げる。

「くそっ! なんだって急に俺たちの力が……!」

彼らは気づいていなかった。

これまで彼らが放っていた【百倍の威力】も、【絶対命中の補正】も。

すべては、追放された【翻訳家】のレクトが、裏でこっそりシステムを書き換えて付与していた【バグ】のおかげだったということに。

「おい、あのスライム……合体して巨大化してないか!?」

「ひぃっ!? に、逃げましょうザイード様!」

無能な勇者パーティーの没落が、今まさに始まろうとしていた。

【キャラクター・プロフィール】

【レクト】

役割:主人公

状況:魔境の環境設定を書き換え、毒の荒野を一瞬で「聖域」に変えてしまった。ついでに現代風の家も召喚し、スローライフの準備を整える。

【シエル】

役割:メインヒロイン

状況:数百年かかるはずの浄化を1秒で終わらせたレクトを見て、彼を本物の神だと確信しつつある。

【ザイード】

役割:勇者

状況:レクトの裏サポート(バグ付与)がなくなったことに気づかず、最弱モンスターのスライム相手に大苦戦中。プライドが粉々に砕け始めている。

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