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第33話 魔獣の【一括フォーマット】と、完全環境都市(スマートシティ)の爆誕

東の商業都市から数十万人の市民を学園に避難させてから、一夜が明けた。

理事長室の巨大モニターには、上空に配置した監視用ドローンからの映像が映し出されている。

かつて活気に満ちていた商業都市は、完全に無数の魔獣の巣窟と化していた。建物を破壊し、我が物顔でうろつくSランク、Aランクの凶悪な魔獣たち。

「ひどい有様ですね……。あれほどの数の魔獣、王国軍が総出で討伐に向かっても数年はかかります」

映像を見つめながら、財務顧問のアカザワが渋い顔をする。

「普通に戦えば、の話だろ」

俺はデスクの前にホログラムのキーボードを展開し、指を鳴らした。

「魔獣どもが都市のインフラをこれ以上破壊する前に、一気に『お掃除』させてもらう」

俺が起動したのは、学園のシステム管理者権限を持つ者だけが使える、究極の領域指定ツールだ。

【Target_Area:East_Commercial_City】

【Command:System_Format(一括フォーマット)/Option:Target_Only_Monsters】

「一括……ふぉーまっと?」

首を傾げるミレナをよそに、俺は実行エンターキーを叩いた。

ピィンッ。

モニター越しの映像が、一瞬だけ真っ白な光に包まれた。

東の商業都市の全域を覆うほどの、巨大な魔法陣(システムの初期化プログラム)が展開されたのだ。

『グォォォォ……ッ!?』

『ギシャァァァッ!?』

次の瞬間。都市を埋め尽くしていた数万匹の魔獣たちが、悲鳴を上げる間もなく、足元からサラサラと光の粒子ポリゴンへと分解され、大気中へと完全に消滅した。

「な、なっ……!? 数万の魔獣が、一瞬にして……消えた!?」

モニターを見ていた特務チームのコイケたちが、目を剥いて絶句する。

「対象領域内の『不必要なデータ(魔獣)』だけを完全消去フォーマットしたんだ。建物や自然環境には一切傷をつけていない」

俺の言葉通り、モニターに映る都市には、静寂だけが戻っていた。魔獣の姿は一匹たりとも存在しない。

「さあ、お掃除は終わった。次は、壊された都市を前よりも住みやすく【アップデート】するぞ」

俺は息つく間もなく、システムに新たな設計図ブループリントを読み込ませた。

魔獣の襲撃という物理的バグによって破壊された旧市街。その瓦礫をシステムで回収・再利用し、まったく新しい都市基盤を自動構築していく。

【Execute:Smart_City_Compiler(完全環境都市の自動構築)】

ゴゴゴゴゴォォォォッ!!

無人の都市で、奇跡が起きた。

崩れた城壁が自動で修復されるだけでなく、より強固で美しい白亜の防壁へと進化していく。

入り組んで不衛生だった路地裏は、見通しの良い区画に再配置され、各家庭には清潔な上下水道(魔法水路)と、魔力によるクリーンな照明が自動で設置されていく。

「こ、これは……建物の配置から魔力エネルギーの循環まで、すべてが完璧に計算された理想郷……!」

アカザワが震える声で叫ぶ。

「地球の概念で言うところの『スマートシティ』だ。災害に強く、誰でも快適に暮らせるバリアフリーな街路。さらに、物流の動線まで完璧に最適化してある」

わずか数分。

東の商業都市は、魔獣の被害を完全に乗り越え、大陸で最も先進的で美しい【完全環境都市】へと生まれ変わったのだった。

【数時間後――再建された東の商業都市にて】

「嘘だろ……。俺たちの街が……」

学園の空飛ぶバスに乗って帰還したルーク院長をはじめとする市民たちは、目の前に広がる光景に足が震え、その場にへたり込んでいた。

魔獣に蹂躙され、すべてを失ったと絶望していた故郷が、昨日よりも何百倍も美しく、機能的な大都市へと変貌していたのだから。

「レクト理事長! これは一体……!」

駆け寄ってきたルークに、俺は新しく製本した一冊のパンフレットを手渡した。

「新しい都市のインフラと、生活補助機能の使い方をまとめたマニュアルだ」

ルークが表紙を見ると、そこにはシンプルに『サービス案内』とだけ印字されていた。

「新サービス案内、ではなく……ただの『サービス案内』なのですね」

「ああ。無駄に『新』なんて煽り文句をつける必要はない。本当に必要な情報だけを、誠実に市民に届ける。それがこのスマートシティの基本理念だからな」

俺が微笑むと、ルークはパンフレットを胸に抱きしめ、大粒の涙をこぼした。

「ありがとうございます……! レクト理事長、あなたは僕たちの命だけでなく、未来まで創ってくれた……!」

周囲の市民たちからも、割れんばかりの歓声と、俺たちを讃える声が湧き上がる。

「さあ、ルーク院長。あなたの治療院も、最新の魔導設備を備えたピカピカの施設にアップデートしておいたぞ。今日からまた、忙しくなるぞ」

「はいっ!!」

破壊の絶望を、ワンクリックで希望の未来へと上書きする。

日本創紀学園がもたらす革新は、もはや一つの学園の枠組みを超え、大陸全土を導く巨大な光となっていた。

【キャラクター・プロフィール】

【レクト】

役割:主人公(日本創紀学園・理事長)

状況:数万の魔獣が占拠する都市を【一括フォーマット】で数秒にして浄化。さらに【スマートシティ】の設計図をコンパイルし、完璧な都市を瞬時に再建した。市民に対して、誠実さを重視した『サービス案内』を配布し、絶対的な信頼を獲得する。

【アカザワ】

役割:財務顧問 兼 コンサルタント

状況:レクトの常識外れの都市開発スキルを目の当たりにし、もはや神の奇跡を見るような目つきになっている。新しいスマートシティの経済システムの構築に意欲を燃やす。

【ルーク】

役割:治療院院長

状況:故郷の消滅を覚悟していたが、あまりにも美しく再建された都市と、自分のピカピカの新しい治療院を見て号泣。レクトへの感謝と忠誠を胸に、新たな都市での医療福祉に身を捧げる決意を固める。

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