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第20話 悪徳商会の買収劇。42万Gの【株式譲渡】と、新たなる『サービス案内』

神竜の実地訓練(重度訪問介護)が大成功に終わり、日本創紀学園の評判はさらにうなぎ登りとなった。

生徒数が急増したことで、俺は新たな課題に直面していた。

生徒たちの衣食住や、事務的な手続きを包括的に支援する【日常生活サポート】部門の設立だ。

「そこで、学園の財務と経営を管理するプロフェッショナルを特別講師として招いた。俺の頼れるパートナー、アカザワだ」

俺が理事長室で紹介すると、スマートなスーツ(俺がシステムで錬成した)に身を包んだ、知的な眼差しの男が一礼した。

「アカザワです。レクト理事長の理念を、経済面から完全にバックアップいたします」

「おお! 理事長の右腕となるお方ですか! よろしくお願いいたしますぞ!」

ガルド騎士団長やミレナたちが、新たな【伴走者】を拍手で出迎える。

だが、アカザワは挨拶もそこそこに、手元のタブレットを開いて厳しい表情を見せた。

「理事長。学園の物流網を整備するにあたり、厄介な壁が立ち塞がっています」

「壁?」

「はい。この周辺の流通を独占している『エゾ商会』の代表、アオヤマという男です」

アカザワによれば、アオヤマは学園の足元を見て、物資の納入価格を不当に釣り上げようとしているらしい。

「しかも彼は、『学園の流通を握りたければ、エゾ商会の傘下に入れ』と要求してきています」

「なるほどな。じゃあ、ちょっとその商会ごと【最適化】しに行くか」

俺とアカザワは、エゾ商会の本部に直接乗り込むことにした。

応接室でふんぞり返っていたのは、脂ぎった顔をした強欲そうな商人、アオヤマだった。

「ひゃははっ! 学園の理事長サマが、わざわざ頭を下げに来るとはな!」

アオヤマは下品に笑いながら、机の上に足を乗せた。

「うちの商会の物流網がなけりゃ、お前らの学園は干上がるんだよ。大人しくうちの言い値で契約――」

「アオヤマさん。あんたの商会、俺たちが買収するよ」

「……は?」

俺の突然の提案に、アオヤマはぽかんと口を開けた。

「何をおかしなことを言っている? うちの商会を買い取るだと? 莫大な資金が必要だぞ!」

「アカザワ、例のデータを」

「はい。エゾ商会の内部帳簿の【裏データ】です」

アカザワがタブレットを操作し、空中にスプレッドシートの画面を投影した。

俺が事前にシステムでハッキングし、隠蔽されていた帳簿の【バグ】を暴き出したものだ。

「なっ……!? なぜ、秘密の裏帳簿がお前たちの手元に……!」

アオヤマの顔面から、一瞬にして血の気が引いた。

「アオヤマ代表。あなたの商会は、度重なる不正な投資で、もはや首の皮一枚で繋がっている状態です」

アカザワが冷徹な声で事実を突きつける。

「負債額を差し引いたエゾ商会の現在の適正価値は、底値まで落ちています。ここで我々が買い取らなければ、明日には倒産ですよ」

「そ、そんな……! 俺の築き上げた商会が……!」

俺は絶望するアオヤマの前に、あらかじめ作成しておいた【株式譲渡契約書】を突きつけた。

「エゾ商会の全株式のうち、経営権を握れる42株。つまり全体の42%を、こちらが買い取らせてもらう」

俺が指定した買収金額は、かつての繁栄からすれば信じられないほど低い額だった。

「提示額は、42万Gゴールドだ。これでサインしろ」

「よ、42万Gだと!? ふざけるな、そんなはした金で俺の商会を……!」

「サインしないなら、この裏帳簿のデータを王国騎士団に一括送信シェアするだけだが?」

「……っ! ひぃぃっ……!」

アオヤマはガタガタと震える手でペンを取り、泣きながら契約書にサインした。

ピィンッ。

【System_Log:エゾ商会の経営権(42%)を取得しました】

こうして、俺たちはわずか42万Gで、周辺一帯の物流ネットワークを完全掌握することに成功した。

アオヤマは代表の座を追われ、アカザワの下で平の事務員としてこき使われることになった。

数日後。

「レ、レクト理事長……! 学園の生徒たちに向けた、日常生活サポートのチラシが完成しました……!」

すっかりやつれたアオヤマが、理事長室にチラシの束を持ってきた。

そこには、デカデカと【新サービス案内!】という煽り文句が躍っていた。

俺はそれを見て、小さくため息をついた。

「アオヤマ。このタイトルの『新』って文字はいらない。削ってくれ」

「えっ? しかし、新しい試みですから、派手にアピールしたほうが……」

「無駄な煽り文句で誤魔化すのは、うちのやり方じゃない。必要な情報を、正確に届ける。だからタイトルはただの『サービス案内』でいい」

「は、はいぃっ! すぐにお刷り直しいたしますぅぅ!」

慌てて駆け出していくアオヤマを見送りながら、アカザワが苦笑した。

「さすがはレクト理事長。実直な情報開示こそが、信頼の基本ですからね」

「ああ。これで生徒たちの生活支援も完璧だ。また一歩、最高の学園に近づいたな」

俺たちは冷えたコーラで乾杯し、新たな事業の門出を祝うのだった。

【キャラクター・プロフィール】

【レクト】

役割:主人公(日本創紀学園・理事長)

状況:物流を牛耳る悪徳商会の不正をシステムで暴き、42株を42万Gというピンポイントな価格で買収。学園の流通網と生活支援部門を完全に盤石なものとした。

【アカザワ】(New)

役割:特別講師(財務・経営コンサルタント)

状況:レクトの頼れるビジネスパートナー。冷静沈着な分析力と、レクトのシステムを組み合わせることで、敵対的買収をスマートに成功させた。

【アオヤマ】(New)

役割:エゾ商会の元代表(ざまぁ完了)

状況:学園を食い物にしようとしたが、裏帳簿を暴かれて商会を乗っ取られる。現在はアカザワの下働きとして、チラシの文字校正(『新サービス案内』ではなく『サービス案内』への修正など)を泣きながらやらされている。

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